FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米FOMC議事要旨から景気後退の見方が強まり売り

NYダウは38.29ドル安の33646.50ドル、ナスダックは102.54ポイント安の11929.34ポイントで取引を終了した。予想を下回った3月消費者物価指数(CPI)を受けた金利低下で投資家心理が改善し、寄り付き後は上昇した。同時に、リッチモンド連銀のバーキン総裁やサンフランシスコ連銀のデイリー総裁が依然、追加引き締めが必要との考えを示すと、相場は下落に転じた。NYダウは一時プラス圏に回復も、終盤にかけ、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した3月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)の中で金融混乱を受けて経済が景気後退入りするとの見方を強めたことが明らかになると、再び売られた。金利の低下にもかかわらず、ハイテクも需要鈍化懸念に売られ、主要株式指数は下落で終了した。VIX指数は19.10から19.09へわずかに低下した。

 

NY外国為替市場:ドルは3月米CPIやFOMC議事要旨で上下に振れる展開

ユーロ/ドルは、3月米消費者物価指数(CPI)が前月比0.1%/前年比5.0%と予想の前月比0.2%/前年比5.2%を下回ったことが伝わると、米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの見方が広がり全般ドル売りが先行した。欧州中央銀行(ECB)高官の発言を受けて、欧利上げ長期化観測が高まったことも相場の支援材料となり、一時1.1000ドルと2月2日以来の高値を更新した。デギンドスECB副総裁はイベントで『基調インフレは予想以上に堅調』と述べ、インフレ率を目標の2%へと押し下げるECBの決意を改めて示したほか、ホルツマン・オーストリア中銀総裁はインタビューで『高止まりしているインフレが5月の理事会での0.50%利上げを正当化する』などと語った。

 

ドル/円は、3月米CPI総合が予想を下回ったことをきっかけに円買い・ドル売りが先行した。前日の安値132.97円を下抜けて一時132.74円まで値を下げた。ただ、エネルギーと食品を除くコア指数が市場予想通りの結果となったことから、一本調子で下落する展開にはならなかった。米10年債利回りが上昇に転じると買い戻しが優勢となり、133.40円付近まで下値を切り上げた。もっとも、米10年債利回りが再び低下するとドル円の上値も重くなっている。米連邦準備理事会(FRB)がこの日公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月21-22日分)では『米銀の経営破綻で広範な金融ストレスが引き起こされないと明確になるまで利上げを一時停止することが検討されたものの、最終的にはインフレ対応を優先すると結論付けた』ことが明らかになった。また、『多くの当局者がピーク金利の見通しを引き下げた』『スタッフは今年中に穏やかなリセッションを予測』などと伝わった。

 

米ドル/カナダドルは軟調だった。米CPIの下振れをきっかけに米ドル売り・カナダドル買いが進行した。WTI原油先物価格が約5カ月ぶりの高値を付けると産油国通貨とされるカナダドルの買いを後押しして、一時1.3428カナダドルまで値を下げた。なお、カナダ銀行(BOC)はこの日、市場予想通り政策金利を現行の4.50%で据え置くことを決めたと発表した。声明では『CPIは今年半ばに3%程度に急速に減速し、その後は徐々に低下して2024年末までに目標の2%に達すると予想する』と指摘した。同時に『必要があれば利上げを実施する用意がある』と表明した。

 

NY原油先物市場は続伸:需給ひっ迫を意識した買い

NY原油先物市場は81.28ドル‐83.53ドルのレンジ相場となった。米3月消費者物価指数(CPI)の結果を受けてドル安・ユーロ高となり、ドル建ての原油に割安感が生じ、原油は買いが優勢となった。米連邦準備制度(FRB)が早期に利上げを停止するとも見方が強まり、景気鈍化への懸念が緩んだことも買いを後押した。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫で原油在庫が予想に反して59.7万バレルの積み増しとなり、売りが入る場面もあったが反応は限定的だった。ロンドン市場で81.28ドルまで下落したが、3月米消費者物価指数の発表後に買いが強まり、一時83.53ドルまで一段高となった。需給ひっ迫の思惑は消えていないことやユーロ高が意識された。通常取引終了後の時間外取引でも83ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は続伸:ドル安が進んだことを好感した買い

NY金先物市場は2015.70‐2043.90ドルのレンジ相場となった。米3月消費者物価指数(CPI)がインフレの鈍化傾向を示唆する内容となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が早期に利上げ停止に動くとの見方が強まり、金利を生まない金に買いが入った。為替市場でドル安が進み、ドル建ての金は割安感を意識した買いも入った。3月米消費者物価指数の発表後に2043.90ドルまで買われたが、利食い売りも観測されており、2015.70ドルまで反落した。ただ、ユーロ高を意識した買いが入ったことで反転し、通常取引終了後の時間外取引で2032.80ドルまで戻した。

 

米国債券市場は反発:3月CPIの下振れを好感した買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.065低い(価格は上昇)3.96%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い3.39%で終了した。3月米消費者物価指数(CPI)の下振れを受けて米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの見方が広がると、債券買いが優勢となった。なお、市場では『5月2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では引き続き0.25%の利上げが見込まれるものの、6月には利上げが停止される可能性が高まった』との声が聞かれた。

 

米CPIの伸びは大きく鈍化したがコア指数は小幅に上昇:US Dashboard

12日に発表された3月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.0%と、前月の6.0%から大幅に上昇率を縮めた。伸びの鈍化は9カ月連続で、市場予想の5.2%も下回った。ただ、ガソリン価格下落の影響が大きく、エネルギーと食品を除くコア指数は5.6%と2月の5.5%から小幅に上昇した。前月比で総合指数が0.1%上昇と市場予想0.2%上昇を下回る一方、コア指数は0.4%上昇で市場予想と一致した。

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