FITS エコノミックレポート

★米国株式市場はまちまち：ディフェンシブ銘柄の買いが下支え

NYダウは80.34ドル高の33482.72ドル、ナスダックは129.47ポイント安の11996.86ポイントで取引を終了した。ADP雇用統計やISM非製造業景況指数が冴えず、追加利上げへの警戒感が後退し、寄り付き後は上昇した。その後、クリーブランド連銀のメスター総裁が利上げ軌道維持を支持する姿勢を示すと一時ダウは下落に転じた。しかし、景気減速に備えたディフェンシブ銘柄の買いが下支えとなり、プラス圏を回復した。一方で、ハイテクは需要鈍化懸念に売りが続き、ナスダック総合指数は終日軟調に推移し、主要株式指数はまちまちで終了した。VIX指数は19.00から19.08へ上昇した。

★NY外国為替市場：米景気の先行き懸念からドル売り先行

ドル/円は、前日の2月米雇用動態調査（JOLTS）求人件数に続き、この日発表の3月ADP全米雇用報告が予想を下回ると、米景気の先行きに対する懸念が高まりドル売りが先行した。3月米ISM非製造業指数が51.2と予想の54.5を下回ったことが伝わると、米金利の低下とともに円買い・ドル売りが活発化し、一時130.64円と日通し安値を更新した。ただ、売り一巡後は下げ渋る展開になり、一時は3.2627％前後と昨年9月12日以来約7カ月ぶりの低水準を記録した米10年債利回りが3.31％台まで低下幅を縮めたことが相場を下支えした。引けにかけては131.41円付近まで下値を切り上げた。なお、メスター米クリーブランド連銀総裁は『金利はもう少し上昇してから維持すると見込む』としながらも、『5月の米連邦公開市場委員会（FOMC）で利上げを実施する必要があるかどうかを判断するのは時期尚早』との認識を示した。

ユーロ/ドルは、低調な米経済指標が相次いだことで米景気の先行き懸念が高まると、ユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.0967ドル付近まで値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値1.0970ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。欧州時間発表の独・仏・ユーロ圏の3月サービス部門PMI改定値が予想を下回ったことも引き続き意識されて、1.0891ドルと日通し安値を更新した。

★NY原油先物市場は５日ぶりに反落：需要減少の警戒感から売り優勢に

NY原油先物市場は79.72ドル‐81.24ドルのレンジ相場となった。相次ぐ弱い米経済指標によりエネルギー需要減への警戒感から売りが強まった。一方、週間在庫統計にて予想を上回る取り崩しとなったため下値も限られた。アジア市場の終盤にかけて81.24ドルまで買われたが、米国市場の前半にかけて79.72ドルまで反落。81ドル近辺で利食い売りが増えた。ただ、需給ひっ迫の懸念は消えていないことから、通常取引終了後の時間外取引で80.77ドルまで戻している。

★NY金先物市場は３営業日ぶりに反落：利益確定売りが優勢に

NY金先物市場は2026.10‐2049.20ドルのレンジ相場となった。足もとで発表された米経済指標が軒並み弱い内容だったことを受けて安全資産とされる金に買いが集まり、一時2049.2ドルまで上昇した。ただ、一巡後は利益確定売りが優勢となり、マイナス圏に沈んだ。米長期金利が低下したことを受けて米国市場の前半にかけて2049.20ドルまで買われたが、利食い売りが入ったことで2026.10ドルまで反落した。その後、2040.30ドルまで戻したが、戻り売りの興味は残されており、通常取引終了後の時間外取引では2038ドルを挟んだ水準で推移した。

★米国債券市場は続伸：低調な米経済指標受け買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸（利回りは低下）した。米2年債利回りは前営業日比は0.03%低い（価格は上昇）3.80％で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03％低い3.31％で終了した。低調な米経済指標が相次いだことで米景気の先行き懸念が高まると、安全資産とされる米国債に買いが入った。利回りは一時3.2627％前後と昨年9月12日以来の低水準を付けた。

★ADP雇用リポートは大幅下振れ：US Dashboard

米民間雇用サービスADPが５日発表した３月の全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数は前月から14万5000人増えた。市場予想の20.5万人増を大幅に下回った。ADPのチーフエコノミストは今回の結果について「景気の減速を示すいくつかの兆候のひとつだ」と指摘した。「雇用主は１年間続いた好調な雇用から撤退し、給与の伸びも3ヵ月の停滞の後、じりじりと下がっている」と述べていた。7日発表の3月の雇用統計における非農業部門雇用者数の市場予想は23.5万人増と、2月の26.5万人増から伸びの鈍化が見込まれている。