FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:先行き景気後退懸念が強まり売り優勢に

NYダウは198.77ドル安の33402.38ドル、ナスダックは63.12ポイント安の12126.33ポイントで取引を終了した。新規の買いが支え、寄り付き後はまちまちとなった。その後発表された2月JOLT求人件数が予想を下回り2021年5月来で最低となったため、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測の後退と同時に、景気後退懸念が強まり、売りに拍車がかかった。また、JPモルガン銀(JPM)のダイモン最高経営責任者(CEO)が株主宛て年次書簡で金融危機が進行中で影響が長期化する可能性を警告し、同セクターが下落したことも相場をさらに押し下げた。終盤にかけても戻り鈍く下落して終了した。VIX指数は18.55から19.00へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利低下からドル売り優勢に

ドル/円は、一時133.17円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は一転売りが優勢となった。米労働省が発表した2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が993.1万件と予想の1040.0万件を下回り、2021年5月以来の1000万件割れとなったことが分かると、米長期金利の低下とともにドル売りが進行した。アジア時間の安値132.17円を下抜けて一時131.52円まで値を下げた。米長期金利の指標である米10年債利回りは一時3.3312%前後と約1週間ぶりの低水準を付けた。なお、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する『フェドウオッチ』によると、5月2-3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きを予想する確率が60%近辺まで上昇した。前日は43%近辺だった。0.25%の利上げを予想する確率は40%近辺まで低下した。

 

ユーロ/ドルは、低調な米求人件数を受けて、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が高まると、全般ドル売りが優勢となり、一時1.0973ドルと2月2日以来約2カ月ぶりの高値を付けた。その後の下押しも1.0943ドル付近にとどまった。

 

NY原油先物市場は4日続伸:減産による需給ひっ迫を警戒した買い

NY原油先物市場は79.61ドル‐81.81ドルのレンジ相場となった。OPECプラスによる減産合意を受けた買いが継続し、一時81.81ドルまで上昇する場面があった。ただ、米国株安で投資家心理が悪化すると次第に利食い売りに押された。OPECプラスによる追加減産による需給ひっ迫が引き続き警戒されており、米国市場の前半にかけて81.81ドルまで買われた。株安を意識して79.61ドルまで下げたが、押し目買い興味が残されており、通常取引終了後の時間外取引で80.97ドルまで戻している。

 

NY金先物市場は続伸:米雇用指標悪化を受け米金利低下で買い

NY金先物市場は1994.00‐2043.40ドルのレンジ相場となった。終値ベースでは昨年3月以来、約1年1カ月ぶりの高値を更新した。米雇用指標の悪化に伴って米利上げ観測が一段と後退すると、金利を生まない金に買いが集まった。アジア市場で1994.00ドルまで売られたが、ドル高は一服し、米長期金利が低下したことを受けて米国市場の後半にかけて2043.40ドルまで一段高となった。その後、2035.90ドルまで値を下げたが、押し目買い興味は残されており、通常取引終了後の時間外取引では主に2040ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は続伸:米雇用指標が予想を下回ると買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.13%低い(価格は上昇)3.86%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%低い3.34%で終了した。2月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を下回ったことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止観測が高まると債券買いが広がった。利回りは一時3.3312%前後と約1週間ぶりの低水準を付けた。

 

銀行危機「まだ終わっていない」株主への書簡で:JPモルガン

米銀最大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイヤモン最高経営責任者(CEO)は4日に公表した株主への書簡で、米銀シリコンバレー(SVB)の破綻などをきっかけに広がった金融システム不安をめぐり「危機はまだ終わっていない」との認識を示した。その上で、「悪影響は今後何年にもわたって続くだろう」と強調した。ダイモンシはSVB破綻のほか、スイス金融大手USBに救済買収されたクレディ・スイス・グループについても言及し「銀行システム不安の高まりは(金融機関が)単に規制要件を満たすだけでは十分でないことを強調している」と指摘した。リスクは『大量にある』とし『用心深い監視によるリスク管理が必要だ』と述べた。一方で、今回の金融システム不安は「2008年に起きた金融危機とは全く異なる」とも付け加えた。レバレッジが拡大し、保険会社などを含む幅広い金融機関に影響が及んだ当時に比べ「関係者はより少なく、解決すべき問題も少ない」という。

 

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