FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続伸:金利が低下に転じると買い優勢に

NYダウは141.43ドル高の32859.03ドル、ナスダックは87.24ポイント高の12013.47ポイントで取引を終了した。利上げ停止が近いとの期待や金融混乱の深刻化が回避可能との見方に買戻しが先行し、寄り付き後は上昇した。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)高官が引き続き追加利上げを支持する姿勢を示したため金融セクターが再び売られ、NYダウは一時下落に転じた。一方、ハイテクは終日堅調に推移した。終盤にかけて、金利が低下に転じると相場全体を再び押し上げ、主要株式指数はプラス圏で終了した。VIX指数は19.12から19.02へ低下しました。

 

NY外国為替市場:ECBは利上げ継続の見方からユーロ買い優勢に

ユーロ/ドルは、金融システム不安の後退に伴って、欧州株相場が上昇するとリスク選好のユーロ買い・ドル売りが先行した。3月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を上回ったことが分かると、欧州中央銀行(ECB)が利上げを継続し、高い金利水準を維持するとの見方から、ユーロ買い・ドル売りが加速し、一時1.0926ドルと日通し高値を付けた。ただ、23日の高値1.0930ドルがレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。なお、コリンズ米ボストン連銀総裁はこの日、『米連邦準備理事会(FRB)は年内にあと1回利上げを実施し、その後は年末までその水準を維持する公算が大きい』との見通しを示したほか、バーキン米リッチモンド連銀総裁は『インフレはなお高すぎる。低下するには予想以上に時間がかかる』『インフレが続く場合、FRBはさらなる利上げが可能』などと発言した。また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は『インフレをより低下させるため、1年を通して金利を高く維持する必要がある』などと語った。

 

ドル/円は、欧米の金融システム不安や米景気減速に対する警戒感が和らぎ、欧米株価が上昇すると、投資家のリスク志向が改善し円売り・ドル買いが優勢になり、一時132.97円と日通し高値を更新した。ただ、22日の高値133.00円が戻りの目処として意識されると上値が重くなり、132.32円付近まで押し戻された。もっとも、米国株相場が底堅く推移したこともあって、下押しも限定的だった。

 

NY原油先物市場は反発:需給の引き締まりが意識され買い優勢に

NY原油先物市場は72.61ドル‐74.63ドルのレンジ相場となった。欧米の金融システム不安が和らぎ、投資家のリスク志向改善を意識した買いが先行した。イラクとトルコを結ぶパイプラインの稼働停止が続くなか、需給の引き締まりも意識された。アジア市場の前半に72.61ドルまで売られたが、株高を意識した買いが入ったことで反転し、米国市場の後半にかけて74.63ドルまで上げ幅を拡大した。通常取引終了後の時間外取引でも主に74ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は反発:株高を意識した売りが優勢に

NY金先物市場は1971.60‐2002.40ドルのレンジ相場となった。外国為替市場でドルが対ユーロなどで下落し、ドル建てで取引される金の割安感に着目した買いが入った。一時は2000ドル台を回復する場面も見られた。アジア市場の序盤に1971.60ドルまで売られたが、その後はじり高となり、米国市場の中盤にかけて2002.40ドルまで買われた。その後は株高を意識した売りが観測され、1995.90ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に2000ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:長期ゾーンにポジション調整の買い優勢に

米国債券市場で中期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)4.13%で終了した。また、長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)3.55%で終了した。米欧の金融システムに対する不安が一段と和らぐ中、相対的に安全資産とされる米国債には売りが先行したものの、売り一巡後は徐々に下値を切り上げた。月末・四半期末を控えて機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入ると上げに転じた。

 

後退しつつある米利下げ転換観測:US Dashboard

金融システム不安の和らぎとともに、米利下げ転換観測が後退しつつある。フェデラルファンド(FF)金利先物が織り込む政策金利は、米10年物国債利回りが3.3%台まで低下した24日には2023年央の利下げ転換を見込み、年末には4%を割り込むことを想定していた。しかし、足元では利下げ転換は年後半を見込む。リッチモンド連銀のバーキン総裁は30日、「早すぎるインフレ対策緩和はインフレをさらに強まるリスク」と述べ、ボストン連銀のコリンズ総裁も年内にもう1回0.25%の利上げを実施した後、年末まで金利をそのままに保つとの見方を示していた。

 

GPIFなど3共済の売り越し余地は1.8兆円か:大和証券

大和証券は30日付のリポートで、「12月末以降の資産価格の変動のみを考慮すると年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と3共済の売り越し余地の合計を約1.8兆円と推計」との見解を示した。前週から国内株が上昇したことになどにより、日本株の売り越し余地が拡大したという。前週は1.4兆円の売り越し余地と指摘していた。なお、東証の投資主体別売買動向によれば、年金の売買を反映するとみられる信託銀行は19週ぶりに買い越しとなっていた。

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