FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続伸:金融混乱が制御可能との楽観的な見方から買い

NYダウは132.28ドル高の32237.53ドル、ナスダックは36.56ポイント高の11823.96ポイントで終了した。ドイツ銀のデフォルト(債務不履行)保証料の上昇をきっかけとした欧州金融不安再燃が国内金融への懸念に波及し、寄り付き後は下落した。その後、複数のアナリストがドイツ銀はクレディ・スイスと違い過去8四半期黒字を計上しており柔軟性があると楽観的なレポートを発表したため懸念が緩和、相場は上昇に転じた。終盤にかけて金融混乱が制御可能と注意深く楽観的な見方も広がり、上昇幅を拡大し終了した。VIX指数は22.61から21.74へ低下した。

 

NY外国為替市場:金融不安のリスク回避姿勢が和らぎドル買い戻し

ドル/円は、欧州市場ではドイツ銀行の株価急落などで金融不安が再び高まり、リスク回避の円買い・ドル売りが優勢となり、一時129.64円と2月3日以来の安値を付けた。ただ、NY市場に入ると買い戻しが優勢となった。一時3.2799%前後と昨年9月13日以来約半年ぶりの低水準を記録した米10年債利回りが3.39%台まで戻したことが買い戻しを誘ったほか、3月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を上回ったことが相場の支援材料となり、130.90円付近まで買われ、アジア時間に付けた日通し高値130.94円に迫った。下落して始まった米国株が持ち直したことで、投資家のリスク回避姿勢が和らいだことも円売り・ドル買いを促した。なお、ブラード米セントルイス連銀総裁はこの日、『経済が好調を維持し、金融セクターのストレスは緩和される見通しであることから、インフレ抑制に向けて予想以上の高金利が必要になる可能性が高い』『年末の政策金利の見通しを5.50-5.75%にした』などと発言した。今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)では投票権がないものの、21-22日のFOMC後にFRB高官が公の場で話したのは初めてとあって、ドル買いを誘った面もあった。また、イエレン米財務長官は金融安定監視評議会(FSOC)の緊急会合を開催するため米金融監督当局の責任者らを招集した。市場では『この会合は非公開だったが、株の買い戻しにつながったようだ』との声が聞かれた。

 

ユーロ/ドルは、クレディ・スイスの救済買収後も世界的な金融システムへの不安が拭えず、銀行株中心に欧州株が下落すると、投資家のリスク回避姿勢が強まり、ユーロ売り・ドル買いが進んだ。一時1.0713ドルと日通し安値を更新した。ただ、NY市場に限れば1.07ドル台半ばでのもみ合いに終始した。

 

NY原油先物市場は続落:景気の先行き不透明感から売り優勢に

NY原油先物市場は66.82ドル‐70.38ドルのレンジ相場となった。欧州の銀行についての不安要因に関するニュースが伝わるなど、金融システムに対する根強い不安を嫌気した株安が先行した。景気の先行きが不透明な中、エネルギー需要への期待感は持ちにくく、原油の上値は重かった。アジア市場の終盤にかけて70.38ドルまで買われたが、需給関係を巡ってロンドン市場で66.82ドルまで反落した。ただ、米国市場では押し目買いが観測され、67.08ドルから69.58ドルまで戻しており、通常取引終了後の時間外取引では69ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は3日ぶりに反落:米国株が持ち直したことで売り優勢に

NY金先物市場は1977.70‐2006.50ドルのレンジ相場となった。昨日、大幅に続伸した後を受けた週末の取引では、調整の売りが優勢になった。2000ドル割れの水準まで下値を探った。NYダウが一時300ドル超える下落となった後にプラス圏へ浮上するなど、売り先行となった米国株が持ち直したことも、安全資産とされる金の売りを誘った。米国市場の序盤にかけて2006.50ドルまで買われたが、週末前で利食い売りが増えたことによって反落した。米国市場の終盤にかけて1977.70ドルまで下げており、通常取引終了後の時間外取引では主に1980ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は続伸:世界的な金融システムへの不安から買い先行

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.06%低い(価格は上昇)3.77%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い3.37%で終了した。世界的な金融システムへの不安が根強い中、欧州株相場が下落すると安全資産とされる米国債に買いが先行した。利回りは一時3.2799%前後と昨年9月13日以来約半年ぶりの低水準を付けた。ただ、安く始まった米国株相場が持ち直すと売りが優勢になった。ブラード米セントルイス連銀総裁が金融ストレスの抑制に前向きな見方を示したことも相場の重しとなり、上げ幅を縮めた。

 

欧州銀行にくすぶる信用不安からドイツ銀行株は5カ月ぶり安値

24日の欧州市場ではドイツ銀行の株価が5カ月ぶりの安値を付けた。スイスの金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループの救済買収後も金融システム不安の広がりや業績悪化への懸念を払拭できずにいる。ドイツ銀行の株価は前日比0.796ユーロ(9%)安の8.54ユーロで引けた。ロイター通信によると、同社の債務不履行(デフォルト)リスクを織り込むクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は5年物が2.2%超と、22日の1.42%から上昇して2018年以来の高水準となった。欧州の銀行株で構成されるストックス600銀行指数は4%安だった。米銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻やクレディ・スイスの経営問題が表面化する前の2月末比で2割下げた。24日にはフランスのソシエテ・ジェネラルと英スタンダードチャータードが6%安、ドイツのコメルツ銀行が5%安となった。米株市場でも銀行株は不安定な動きを続ける。24日は経営不安の続くファースト・リパブリック・バンク(FRC)の株価が1%強下げた。SVBの危機が表面化する前と比べ、FRC株は約9割安となっている。銀行株が下げ止まらないのは、さらなる信用不安の拡大に投資家がおびえているためだ。「今後数週間のうちに不動産や自動車金融市場も含めて、裏付けに乏しい信用問題の発生が予想される」と米モルガン・スタンレーのグラハム・セッカー株式ストラテジストは指摘する。欧州当局は不安の火消しを試みる。ドイツのショルツ首相は24日、ドイツ銀行について「非常に収益性の高い銀行だ。心配する必要はない」と述べた。同行の22年12月期決算は3年連続の黒字だった。以前は経営不安も出ていたが、大規模なリストラの進展で収益構造が好転している。足元の銀行業界への不安は米欧の中央銀行による急ピッチの利上げで生じた面も大きい。高インフレが続くなか、欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)はSVB破綻後も利上げの継続を決めた。24日発表の米国やユーロ圏の3月の総合購買担当者景気指数(PMI、速報値)も改善が続き、インフレ圧力の根強さを示した。さらなる引き締めへの警戒から投資家は銀行株保有に慎重になっている。



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