FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅反落:イエレン財務長官の発言受け金融の下げ加速

NYダウは530.49ドル安の32030.11ドル、ナスダックは190.15ポイント安の11669.96ポイントで取引を終了した。連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表待ちで売り買い交錯し、寄り付き後はまちまちだった。その後、連邦準備制度理事会(FRB)はFOMCで市場の予想通り0.25%の利上げに踏み切ったが、同時に、最近の金融危機を受けた不透明感を考慮し声明の文言を変更するハト派利上げを好感し、一時上昇に転じた。しかし、パウエル議長が会見で、もし、必要となれば想定以上の利上げを実施する姿勢を見せたため過剰な利上げによる成長への懸念も広がり再び下落した。さらに、イエレン財務長官が上院小委員会での証言で、政府は預金保護拡大を検討していないと言及すると、地銀を含め金融の下げが加速し、全体指数をさらに押し下げた。終盤にかけ下落幅を拡大し終了した。VIX指数は21.38から22.26へ上昇した。

 

NY外国為替市場:パウエル米FRB議長の発言を受けドル売りが優勢に

ドル/円は、欧米の金融システム不安が後退する中、投資家のリスク志向が改善し円売り・ドル買いが先行した。アジア時間の高値132.78円を上抜けて、一時133.00円まで値を上げた。ただ、注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表後は軟調な展開となった。米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いたFOMCで、市場予想通り0.25%の利上げを実施した。声明では『インフレ目標達成のため、継続的な利上げが適切になると予想する』とした前回までの表現を削除し、『幾分かの追加引き締めが適切となる可能性がある』との文言を採用した。利上げが近くいったん停止される可能性があることが示唆されたことで、米金利の低下とともにドル売りが進んだ。さらに、パウエルFRB議長が会見で『利上げ休止を検討した』と明らかにするとドル売りが加速し、131.03円まで値を下げた。パウエル議長が『当局者らは今年の利下げを見込んでいない』『必要なら想定以上の利上げを実施する』と発言すると、131.68円付近まで下げ幅を縮める場面もあったが、戻りは鈍かった。イエレン米財務長官が『預金保険の適用範囲について、大幅な拡大は検討していない』と述べたことで、NYダウが一時540ドル超下落した。リスク回避の円買い・ドル売りが優勢となり、131.01円と日通し安値を更新した。

 

ユーロ/ドルは、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁などECB高官の発言を受けて、欧利上げ長期化観測が高まるとユーロ買いが進行した。FOMCで『利上げ休止』が検討されたことが伝わると、全般ドル売りが活発化し一時1.0912ドルと2月3日以来の高値を付けた。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.07と2月3日以来の低水準を付けた。ただ、パウエル議長が『年内の利下げを基本シナリオとしていない』と述べ、量的引き締め(QT)についても『変更すべき兆候はない』と指摘するとドル買い戻しが進み、1.0853ドル付近まで伸び悩んだ。

 

NY原油先物市場は3日続伸:将来的な需給ひっぱくの可能性残り買い優勢

NY原油先物市場は68.89ドル‐71.31ドルのレンジ相場となった。米週間原油在庫は積み増しが継続したものの、その他石油製品や、原油受け渡し地点の在庫取り崩しの継続が確認され、原油相場を下支えした。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安も、ドル建て原油価格の押し上げ要因となった。アジア市場の終盤にかけて68.89ドルまで売られたが、ドル安を意識した買いが入ったことで一時71.31ドルまで上昇した。米利上げ継続観測で米国株は下落したが、将来的な需給ひっ迫の可能性は消えていないことも買い材料となった。通常取引終了後の時間外取引では70ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は反発:米株安と米長期金利低下から買い優勢に

NY金先物市場は1936.50‐1982.30ドルのレンジ相場となった。引け後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えるなか、前日の大幅反落に対する調整の買い戻しが進んだ。FOMC結果公表後にドルが軟化するとドル建て金価格の割安感につながりさらに買われ、時間外取引で一段高となった。アジア市場で1936.50ドルまで下落したが、米利上げ継続による株安を受けて1982.30ドルまで買われた。長期金利の低下も意識されたようだ。通常取引終了後の時間外取引では主に1975ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は反発:FOMCのハト派的な声明を受け買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.23%低い(価格は上昇)3.93%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.17%引くい3.43%で終了した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で『米連邦準備理事会(FRB)の利上げはあと1回』と示唆されたことから、債券買いが強まった。市場では『基本的にはハト派的な声明で、引き締めサイクルの終了にかなり近づいている』との声が聞かれた。米国株相場の下落も相場の支援材料となった。金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは一時0.25%低下した。

 

ドットチャートの23年末は5.125%で据え置き:US Dashboard

米連邦準備理事会(FRB)は22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%の利上げを決めた。3カ月ごとに示されるメンバーの政策金利見通し(ドットチャート)では、2023年末時点の中央値が5.125%(5.00~5.25%)と前回(昨年12月)と同水準となり、24年末は4.25%と、前回の4.125%(4.00~4.25%)から引き上げた。FRBのパウエル議長は7日の議会証言で、今後のデータ次第で『利上げのペースを加速する用意がある』と述べ、最終的な利上げの到達点(ターミナルレート)の水準が従来より高くなる可能性にも言及していたが、従来ペースの利上げ見通しが示された。

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ