FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は反発:金融混乱深刻化への後退を好感した買い

NYダウは371.98ドル高の32246.55ドル、ナスダックは283.22ポイント高の11717.28ポイントで終了した。預金流出が懸念され投資不適格級に格下げされた地銀のファースト・リパブリック銀行(FRC)の行方を警戒した金融不安が再燃し、寄り付き後は大きく下落した。欧州中央銀行(ECB)が計画通り大幅利上げを決定すると、連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測も再燃し金融セクターのさらなる混乱につながるとの警戒感が強まり、一段安となった。その後、複数の銀行が同地銀支援を協議していると報じられると安心感から買戻しが加速した。金融混乱深刻化への懸念が後退して上昇で終了した。VIX指数は26.14から22.99へ低下した。

 

NY外国為替市場:金融不安が和らぎリスク回避の後退からドル買い

ドル/円は、欧州中央銀行(ECB)はこの日、定例理事会を開き政策金利を50bp引き上げることを決めたと発表した。声明では『現在の市場の緊張を注意深く監視している』としながらも、インフレ抑制を優先する姿勢を崩さなかった。市場では金融システムが不安定化するとの警戒が高まり、時間外のNYダウ先物が失速、米長期金利が低下し、一時131.72円と約1カ月ぶりの安値を更新した。米10年債利回りは3.3635%前後と2月3日以来の低水準を記録した。ただ、『JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど大手銀行は経営危機に陥っている米地銀ファースト・リパブリック・バンクへの支援策を検討。資本注入が含まれる可能性もある』『複数の銀行がファースト・リパブリックに約300億ドルを支援する』との報道が相次いで伝わると、一時は300ドル超下落したNYダウが400ドル超上昇した。投資家のリスク回避姿勢が後退し一転円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回りが3.58%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、一時133.83円と日通し高値を更新した。なお、ECBが銀行危機への懸念が高まる中でも大幅利上げを決定したことを受けて、米短期金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25bpの利上げを決定するとの観測が高まった。

 

ユーロ/ドルは、ECBが欧米の金融機関の経営不安が高まる中でもインフレ抑制を優先する姿勢を示したことで、金融システムが不安定化するとの警戒から株価が失速した。リスク回避のユーロ売り・ドル買いが先行し、一時1.0551ドルと日通し安値を付けた。ただ、ファースト・リパブリック支援に絡んだ報道が伝わると、安く始まった米国株が上昇に転じたことからユーロ買い・ドル売りが優勢となり、1.0626ドル付近まで持ち直した。もっとも、NY午後に入ると再び1.05ドル台後半まで下押しするなど、方向感に乏しい展開だった。

 

NY原油先物市場は4日ぶりに反発:米国株高を好感した買い戻し優勢

NY原油先物市場は65.71ドル‐69.38ドルのレンジ相場となった。アジア時間に『クレディ・スイスがスイス中銀から、最大500億スイスフランを借り入れをする』との報道が流れたことで、原油先物は堅調に推移していた。その後、米地銀ファースト・リパブリック・バンクが約36%安まで売られたことなどもあり、金融不安が払しょくできないことでリスク回避の動きとなり、原油先物が売られる局面もあった。しかしながら、複数の米銀が同行への支援策を検討しているとの報道が流れると、株高・債券売りに動き、同行株もプラス圏を回復したことなどが支えとなり、原油先物は4日ぶりに反発して引けた。米国市場の序盤にかけて欧米金融不安を受けたリスク回避の売りが強まり、65.71ドルまで下げたが、米国株式の反発を受けてリスク回避の売りは縮小し、69.38ドルまで戻した。通常取引終了後の時間外取引では主に68ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は反落:ECBの利上げや米国株高を受けて買い縮小

NY金先物市場は1911.50‐1938.00ドルのレンジ相場となった。欧米の金融不安から前日比プラス圏で取引される場面もあったが、米地銀ファースト・リパブリック・バンクへの支援報道が流れると、市場全体がリスク回避の動きの巻き戻しとなり、金先物も反落して引けた。アジア市場で1911.50ドルまで下げたが、金融不安の増大を警戒して米国市場の序盤にかけて1938.00ドルまで戻した。ただ、欧州中央銀行(ECB)が利上げを決めたことや米国株高を受けて買いは縮小し、一時1917.20ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では、1924ドルを挟んだ水準で推移して下げ渋った。

 

米国債券市場は反落:リスク回避姿勢が和らぎ売りが優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.31%高い(価格は下落)4.18%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.12%高い3.57%で終了した。金融システム不安が根強い中、投資家がリスク回避姿勢を強め相対的に安全資産とされる米国債には買いが先行した。利回りは一時3.3635%前後と2月3日以来の低水準を付けた。ただ、ファースト・リパブリック支援に絡んだ報道が伝わると、米国株相場が一転上昇。投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、米国債には売りが出た。

 

フィラデルフィア連銀製造業景況は予想下回る:US Dashboard

16日の米フィラデルフィア連邦準備銀行が発表した3月の製造業景況指数はマイナス23.2と2月のマイナス24.3から改善したものの、市場予想のマイナス15.1を大きく下回った。新規受注はマイナス28.2と前月比で14.6ポイント低下し、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んで2020年春以来の低水準となった。出荷もマイナス25.4と2月の8.7から大きく下落し、マイナスへ沈んだ。雇用も会いなす10.3とマイナスに沈み、20年5月以来の低水準となった。米サプライマネジメント協会(ISM)が公表するISM製造業景況感指数のベースで換算すると40.1と大幅な低下が示され、4月2日に公表されるISM指数の下振れを懸念する見方が強まりそうである。

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