FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米長期金利低下と銀行システム支援を好感

NYダウは90.50ドル安の31819.14ドル、ナスダックは49.96ポイント高の11188.84ポイントで取引を終了した。シリコンバレー銀やシグネチャー銀の破綻を受け、連鎖的な金融危機への警戒感がくすぶり寄り付き後は下落した。当局が連鎖的な破綻リスクを軽減するため週末に全預金者を保護する救済策を発表したことに続き、バイデン大統領が国民に向けた演説でシステムや預金の安全性を強調したため警戒感が後退し買戻しが優勢となった。また、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを停止するとの思惑も浮上し長期金利が大幅に低下したたこともハイテク株の買戻しに拍車をかけ、主要株式指数はプラス圏を一時回復した。しかし、終盤にかけ銀行への不安が拭えずNYダウは再び下落に転じまちまちで終了した。VIX指数は24.80から26.52へ上昇した。

 

NY外国為替市場:過度なリスク回避姿勢が後退でドル買い戻し

ドル/円は、米中堅銀行シリコンバレーバンクに続き、地方銀行シグネチャー・バンクの経営破綻で金融システムリスクへの警戒が広がると、欧州株相場が大幅に下落した。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが先行した。米銀2行の経営破綻を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が浮上したこともドル売りを誘い、一時132.29円と約1カ月ぶりの安値を更新した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、133.62円付近まで下げ幅を縮めた。一時は280ドル超下落したNYダウが持ち直し、330ドル超上昇したことで、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退し円売り・ドル買いが出た。3.41%台まで低下した米10年債利回りが3.58%台まで戻したことも相場を下支えした。なお、バイデン米大統領はこの日の演説『銀行システムも預金も安全なことは確実。私たちは必要なことは何でもしていく』と述べ、平静を呼びかけた。また、銀行システムの規制強化を議会に求めていく考えを示した。

 

ユーロ/ドルは、欧州株の急落を背景にリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.0651ドル付近まで下押ししたものの、週明け早朝取引で付けた日通し安値1.0640ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となった。米銀2行の経営破綻を受けてFRBが利上げ継続に慎重になるとの見方が強まると、金融政策の影響を受けやすい米2年債の利回りが65bp近く急低下。欧米金利差が縮小し、ユーロ買い・ドル売りが進み、一時1.0749ドルと約1カ月ぶりの高値を付けた。

 

NY原油先物市場は大幅に反落:リスク回避の売りがやや優勢に

NY原油先物市場は72.30ドル‐77.47ドルのレンジ相場となった。週末を挟み複数の米銀が破綻したことをきっかけに、市場がリスク回避の動きに動いた。リスク資産とされる原油先物価格にも売りが入り、2月22日以来の安値で引けた。アジア市場の序盤で77.47ドルまで買われたが、リスク回避の売りが次第に強まり、米国市場の序盤にかけて72.30ドルまで一段安となった。米国株式が一時反発したことから、金融不安の増大を警戒した売りは一巡し、76.26ドルまで戻した。しかしながら、米国経済の先行き不安は払しょくされていないため、通常取引終了後の時間外取引では主に74ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は3日大幅続伸:リスク回避の買いが優勢に

NY金先物市場は1875.70‐1919.50ドルのレンジ相場となった。週末にシリコンバレー銀などの破綻をきっかけに、米金融不安が高まっていることもあり、リスク回避の動きが強まり安全資産とされる金先物は大幅に続伸した。為替市場でドル安が進んだ影響も支えになった。米国株が反発する場面でも、金価格は堅調地合いを維持した。アジア市場で1875.70ドルまで下落したが、米国市場では米長期金利の低下を意識した買いが再び強まり、通常取引終了後の時間外取引で1919.50ドルまで一段高となった。

 

米国債券市場は大幅続伸:金融システムリスクへの警戒から買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年国債利回りは前営業日比0.62%低い(価格は上昇)3.97%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.13%低い3.57%で終了した。米銀2行の経営破綻を受けて金融システムリスクへの警戒が広がると、投資家がリスク回避姿勢を強め相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。利回りは一時3.4119%前後と2月3日以来の低水準を付けた。
 なお、市場では『米連邦準備理事会(FRB)が利上げ継続に慎重になる』との見方が強まり、米金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りが急低下し、一時3.9350%前後と昨年9月21日以来の低水準を付けた。

 

米金融当局の介入は正当性と耐久性を与えている:ユーラシア

米連邦準備理事会(FRB)と米財務省、米連邦預金保険公社(FDIC)が12日に共同声明を発表し、経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB)の預金を保護すると発表した。共同声明の中ではニューヨークのシグネチャー銀行(@SBNY/U)についても同様に預金保護の措置をとり、システミックリスク上の例外措置をとることも示された。
バイデン大統領は13日に演説し、『我が政権の過去数日間の迅速な対応のおかげで、米国民は銀行システムが安全であることに確信を持つことができる』とし、不安払拭に努めた。ユーラシア・グループは13日付のリポートで『(米金融当局の)介入の性質上、株主や社債権者、経営陣が罰せられる一方で、納税者の資金が危険にさらされる可能性は非常に低く、介入に正当性と耐久性を与えている』との見方を示した。
リポートでは、共和党は市場の混乱にもかかわらず、インフレ抑制のためのFRBの利上げを支持する一方、民主党は将来の銀行破綻によるシステミック・リスクを避けたいと考えていると現状を解説。いったんは預金保護の措置が取られたとはいえ、バイデン政権によって銀行規制の強化が進む可能性があるとみていた。

 

米逆イールドの幅が急速に縮小:US Dashboard

13日の米債市場では2年債と10年債の利回り格差が前日の0.9%弱から0.5%程度へ急速に縮小した。シリコンバレーバンク(SVB)など米銀が相次いで経営破綻したことを受け、米金利は軒並み低下したが、金融政策n影響を受けやすい2年債利回りの低下幅が0.5%超と大きくなったためである。市場は米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ停止を織り込み始めている。

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