FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続落:金融システムへの不安から売り優勢に

NYダウは345.22ドル安の31909.64ドル、ナスダックは199.47ポイント安の11138.89ポイントで終了した。金融システムへの不安に寄り付き後は下落した。2月雇用統計で賃金の伸びが予想を下回ったため連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ観測が後退し長期金利が大幅に低下したため一時上昇する局面もあった。しかし、シリコンバレー銀の破綻が報じられると、金融セクター中心に売られ大幅続落した。その後、イエレン財務長官が金融監督当局幹部を招集、政府も声明で国内の金融システムの強さを強調したため下げ止まった。VIX指数は22.61から24.80へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米FRBの大幅利上げ観測後退からドル売り優勢に

ドル/円は、日銀が大規模な金融緩和策の維持を決めたことなどを背景に、136.99円まで円安・ドル高が進んだものの、2月米雇用統計の結果が伝わると米金利の大幅低下とともにドル売りが進み、134.12円まで大きく値を下げた。2月米雇用統計では非農業部門雇用者数が31.1万人増と予想の20.5万人増を上回った一方、失業率が3.6%、平均時給が前月比0.2%/前年比4.6%と予想より弱い内容となった。今月21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利上げ観測が後退し、ドル売りを促した。米金融政策の影響を受けやすい米2年債の利回りは29bpを超す大幅な低下となった。米シリコンバレーバンク(SVB)の持ち株会社であるSVBファイナンシャル・グループの経営難が、金融システム不安につながりかねないとの警戒も相場の重しとなった。なお、米連邦預金保険公社(FDIC)はこの日、SVBが経営破綻し事業を停止したと発表。FDICが破綻管財人となり、預金保護を発動する。

 

ユーロ/ドルは、米雇用統計で平均時給が市場予想ほど伸びず、賃金インフレへの警戒感が和らぐと、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ観測が後退した。米金融システム不安への警戒もドル売りを促し、1時前に1.0701ドルと日通し高値を付けた。引けにかけては1.0636ドル付近まで伸び悩んだ。

 

NY原油先物市場は4営業日ぶりに反発:米長期金利低下とドル安を好感

NY原油先物市場は74.77ドル‐77.11ドルのレンジ相場となった。2月米雇用統計の結果を受けて3月FOMCでの0.50%利上げ期待が後退するなど、金融引き締めに対する警戒感が和らいだことが相場を支えた。ロンドン市場で74.77ドルまで下げたが、米長期金利の低下やドル安を意識した買いが入った。米国市場の中盤にかけて77.11ドルまで買われた。株安を意識した売りも観測されたが、通常取引終了後の時間外取引では76ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は続伸:米地銀破綻報道でリスク回避の買い優勢に

NY金先物市場は1830.00‐1874.30ドルのレンジ相場となった。2月米雇用統計で平均時給の鈍化が確認されると米利上げ期待が後退。外国為替市場でドルが下落したため、ドルと『逆相関』とされる金に買いが入った。米雇用統計発表後に1830.00ドルまで売られたが、米地銀破綻の報道を受けて米長期金利は急低下したことから、安全逃避の買いが活発となった。通常取引終了後の時間外取引で1874.30ドルまで一段高となった。

 

米国債券市場は続伸:リスク回避姿勢が強まり買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年国債利回りは前営業日比0.28%低い(価格は上昇)4.59%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.20%低い3.70%で終了した。2月米雇用統計で平均時給が市場予想ほど伸びず、賃金インフレへの警戒感が和らぐと、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ観測が後退し債券買いが広がった。米中堅金融SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンクの経営破綻で、投資家がリスク回避姿勢を強め相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった面もあった。

 

米銀行指数が20年11月以来の安値:SVB破綻で売り波及

主要銀行で構成するKBW銀行株指数は10日に前日比3.9%安い92.21と2020年11月以来の安値を付けた。米中堅金融SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンクが10日、経営破綻した。金融システム不安につながりかねないとの警戒感から銀行株全般に売りが広がった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる金利の上昇(債券価格は下落)を背景に保有債券の含み損が膨らんだことなどが経営破綻につながった。他の銀行にも信用不安が及ぶとの警戒感が高まり、10日はシグネチャー・バンク(22.9%安)やウエスタン・アライアンス・バンコープ(20.9%安)、ファースト・リパブリック・バンク(14.8%安)など中堅銀行が大幅に下げた。SVBファイナンシャル株は終日、売買停止だった。市場では『銀行全体の危機に広がるとみるのはおおげさだ』との指摘もある。経営体力で勝る大手銀の株価は底堅く推移し、シティグループは0.5%安、バンク・オブ・アメリカは0.9%安で終えた。JPモルガン・チェースは2.5%上昇した。

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