FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:終盤に買い戻される展開

NYダウは58.06ドル安の32798.40ドル、ナスダックは45.67ポイント高の11576..00ポイントで取引は終了した。金利低下を好感した買いに、寄り付き後は上昇した。その後、予想を上回った雇用関連指標や、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が2日目の下院での議会証言において、3月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げも除外しない姿勢を示し、ピーク金利が引き上げられる可能性にも言及したことを受けて金利が上昇に転じたため売りが再開、相場を押し下げた。ただ、織り込み済みの内容で、NYダウは終盤にかけて買い戻され下げ幅を縮小した。ナスダック総合指数はプラス圏を回復し、まちまちで終了した。VIX指数は19.59から19.11へ低下した。

 

NY外国為替市場:パウエル米FRB議長発言でドルは乱高下

ドル/円は、アジア市場では一時137.91円と昨年12月15日以来の高値を付けたものの、欧米市場では利食い売りなどが優勢となった。米10年債利回りが3.89%台まで低下したことも相場の重しになった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で『21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)前に重要なデータの発表がある』『FOMCについてまだ何も決定していない。データ次第』などと発言すると円買い・ドル売りで反応し、一時136.48円まで値を下げた。ただ、パウエルFRB議長が『金利の最終到達水準(ターミナルレート)は予想以上に高くなる可能性がある』との考えを改めて示すと買い戻しが優勢となり、137.44円付近まで持ち直した。米10年債入札が『低調』だったことを受けて、米10年債利回りが3.99%台まで上昇したことも相場を下支えした。

 

ユーロ/ドルは、パウエルFRB議長が議会証言で『利上げのペースについて何も決定していない』と強調すると、全般ドル売りが先行し一時1.0574ドルと日通し高値を付けた。ただ、米金融引き締めが長期化するとの観測からユーロ売り・ドル買いが出やすく、上値は重かった。米長期金利が上昇に転じたことも相場の重しとなった。

 

カナダドルは全面安となった。対米ドルでは一時1.3815カナダドル、対ユーロでは1.4570カナダドル、対円では99.10円まで下落した。カナダ銀行(BOC)はこの日、市場予想通り政策金利を現行の4.50%で据え置くことを決めたと発表した。主要中央銀行としては初めて利上げサイクルを停止した。なお、声明では『これまでの累積的な金融引き締めが経済に与える影響を見極める』とした一方、『インフレ率を目標の2%に戻すために必要であれば、政策金利をさらに引き上げる用意がある』と記し、再利上げの余地も残した。

 

NY原油先物市場は続落:エネルギー需要減速を警戒した売りが優勢に

NY原油先物市場は76.11ドル‐77.73ドルのレンジ相場となった。米金融引き締めの長期化観測が高まるなか、エネルギー需要減速を警戒した売りが優勢となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した在庫統計で原油在庫が11週ぶりの取り崩しとなったが、買いでの反応は限定的だった。アジア市場で77.73ドルまで買われたが、調整目的の売りが増えたことによって米国市場の中盤にかけて76.11ドルまで下落した。米利上げペース再加速の思惑は消えていないため、上値の重さは消えなかった。通常取引終了後の時間外取引でも76ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は小幅に続落:米利上げ再加速を警戒した売りは一巡

NY金先物市場は1813.40‐1828.70ドルのレンジ相場となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で『利上げのペースについて何も決定していない』と強調したことでドルが売られると買いが入った。ただ、FRB議長が前日に続き、利上げの最終地点(ターミナルレート)の想定以上の高さを示唆すると失速した。アジア市場で1813.40ドルまで売られたが、米利上げペース再加速を警戒した取引はロンドン市場で一巡し、米国市場の中盤にかけて1828.70ドルまで買われた。ただ、1830ドル手前で戻り売りの興味も残されており、通常取引終了後の時間外取引では主に1820ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は下落:低調な10年債入札結果受け売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.05%高い(価格は下落)5.06%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03%高い3.99%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めが米景気に及ぼす影響が懸念されて、相対的に安全資産とされる長期債に買いが先行したものの、低調な10年債入札をきっかけに一転売りが優勢となった。

 

パウエル米議長は少なくともタカ派ではない:エコバス

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が8日に下院金融サービス委員会で議会証言を行い、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)に関して『何も決まっていないことを強調しておく』と述べ、前日の議会証言で『利上げのペースを加速する用意がある』と述べて50pb利上げの可能性を示唆したものをやや修正したが、好感する動きは限られた。CMEグループのFedウォッチツールで3月FOMCでの50bp利上げの織り込み度は69.8→79.4%で8割近くに達したままとなった。エバコアISIは8日付のリポートで『パウエル議長は議会証言の2日目、少しハト派的、あるいは少なくともタカ派的ではない方向に向かうコメントを述べて、3月に50bpの利上げが25bpと並んでライブであると考える我々の信念をさらに後押しした。50bpの利上げは強い初期設定値ではない』との見解を示した。リポートでは、FRBが3月に50bpの利上げを実施しないためには、新たなデータが直前の高いデータよりもかなり緩やかであるという点で、何らかの安心感を与える必要があると明確に示しているとしながら、『25bpの利上げペースを維持するためにはどの程度の緩やかさが必要かという点でのハードルは高くはないだろうというのが我々の見方である』と指摘した。その上で、3月FOMCでの利上げ幅については依然として25bpに傾いていると考えるとしつつも、1月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数が市場予想を上回る1082万4000件となったことは同社の予想を助けるものではないとし、労働市場の力強さに着目していた。

 

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