FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:パウエル米FRB議長のタカ派発言を警戒した売り

NYダウは574.98ドル安の32856.46ドル、ナスダックは145.40ポイント安の11530.33ポイントで終了した。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が上院銀行委での証言で、想定以上に強い経済でピーク金利引上げや利上げペース加速の可能性に言及したため警戒感から売りが先行し、寄り付き後は下落した。長期金利も上昇し、2年債利回りが2007年来の高水準に達し、売りが一段と加速した。終日、FRBの大幅利上げを織り込む売りが継続し、終盤にかけて下げ幅を拡大して終了した。VIX指数は18.59から19.59へ上昇した。

 

NY外国為替市場:パウエル米FRB議長のタカ派発言受けドル買い強まる

ドル/円は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控える中、『発言がタカ派寄りの内容になる』との思惑から全般ドル買いが先行し、しばらくは底堅く推移した。パウエルFRB議長が米上院銀行委員会で『最新の経済データは予想より強く、金利の最終到達水準(ターミナルレート)が従来想定より高くなる可能性が高いことを示唆』『経済データが全体として、より速い引き締めペースを正当化するのであれば、利上げペースを加速させる用意がある』と述べたと伝わると、米金利の上昇とともにドル買いが活発化し、一時137.19円と昨年12月20日以来の高値を付けた。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時5.0190%前後と2007年6月以来の高水準を記録した。なお、パウエルFRB議長の発言を受けて、短期金利先物市場では今月21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利上げが決定されるとの観測が高まった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する『フェドウオッチ』によると、0.50%の利上げ確率は70%を超えた。

 

ユーロ/ドルは、独長期金利の低下などを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが先行した。パウエルFRB議長が議会証言で利上げペース加速や利上げ長期化の可能性を示唆すると、全般ドル買いが加速し、一時1.0546ドルと日通し安値を付けた。

 

NY原油先物市場は6営業日ぶりに反落:ドル高と米国株安から売り優勢に

NY原油先物市場は77.06‐80.94ドルのレンジ相場となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言内容がタカ派的な発言だったことを受けてドルが上昇すると、ドル建てで取引される原油に売りが集まった。アジア市場で80.94ドルまで買われたが、利食い売りが増えたことによってロンドン市場で80ドルを下回った。米国市場の前半時点で80.24ドルまで戻したが、米利上げペース再加速の思惑が浮上し、株安となったことから、77.06ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では77ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は下落:ドル全面高を嫌気した売り優勢に

NY金先物市場は1817.10‐1856.90ドルのレンジ相場となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が半期に一度の議会証言で政策金利の到達点(ターミナルレート)が「従来の想定よりも高くなる」と発言したことを受けて外国為替市場でドルが全面高になった。ドル建てで取引される金の割高感が意識され、売りが優勢となった。アジア市場で1856.90ドルまで買われた後は利食い売りが強まり、米利上げペース再加速の思惑が浮上したことから、米国市場の後半にかけて1817.10ドルまで下落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1820ドルを下回る水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:パウエル米FRB議長のタカ派発言受け売り優勢に

米国債券市場で中期ゾーンは大幅下落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.12%高い(価格は下落)5.01%で終了した。また、長期ゾーンは変わらずだった。米10年物国債利回りは前営業日と同様の3.96%だった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で、利上げペース加速や利上げ長期化の可能性を示唆すると債券売りが出た。ただ、積極的な金融引き締めが米景気に及ぼす影響が懸念されて、相対的に安全資産とされる長期債に買いが入ると相場は持ち直した。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時5.0190%前後と2007年6月以来の高水準を記録した。

 

ターミナル・レート予想を引き上げ:ゴールドマン

7日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米上院銀行委員会で議会証言を行い、今後のデータ次第で『利上げのペースを加速する用意がある』と述べたほか、『最終的な政策金利の水準が従来の予想よりも高くなる可能性がある』とタカ派的な見解を示した。政策金利との連動性が高い米2年債利回りが5%台に乗せ、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での50bp利上げ織り込み度が31.4→70.5%に上昇する一方、FF金利先物市場でのターミナル・レート予想も5.6%近辺に上昇した。ゴールドマン・サックスは7日付のリポートで「パウエル議長は事前原稿で、最近の成長・インフレデータを踏まえ、ターミナル・レートが『従来予想より高くなる可能性が高い』と指摘し、利上げペースを加速する用意があるとの見解を示した。3月FOMCに向けたデータはまちまちだが、馴らせば堅調に推移すると予想しており、3月に25bpの利上げを行うとした立ち位置の予想は危うく、代わりに50bpの利上げを行うリスクもあると見ている」との見解を示した。その上で3月FOMCでの利上げ幅が25bpだろうが50bpだろうが、四半期経済見通し(SEP)のドットプロットは中央値が50bp上昇し、23年のターミナル・レートは5.50~5.75%になると予想した。同社のターミナル・レート予想も従来のものから25bp引き上げ、5.50~5.75%へ上方修正し、7月FOMCで25bpの利上げを予想した。

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