FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:値ごろ感による押し目買いが下支え

NYダウは5.14ドル高の32661.84ドル、ナスダックは76.06ポイント安の11379.48ポイントで取引は終了した。2月米ISM製造業景気指数は予想を若干下回ったものの、項目別で投入価格指数が予想を上回り、インフレが当面高止まりする可能性が示された。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が警戒され、株売りを誘った。ただ、相場は約4カ月ぶりの安値圏にあるだけに値ごろ感からの買いが入ると、指数は上げに転じた。VIX指数は20.70から20.58へ低下した。

 

NY外国為替市場:独長期金利上昇でユーロ買い優勢に

ユーロ/ドルは、独10年債利回りが一時2.728%前後と2011年7月以来約12年ぶりの高水準を更新するなど、欧州債利回りが上昇したことを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行した。2月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を上回ったことが分かると、欧州中央銀行(ECB)の利上げ長期化観測が強まり一時1.0691ドルまでユーロ高が進んだ。その後の下押しも1.0644ドル付近にとどまった。

 

ドル/円は、米10年債利回りが3.91%台まで低下したことを受けて円買い・ドル売りが先行し、一時135.26円と日通し安値を付けた。ただ、米10年債利回りが4.0082%前後と昨年11月10日以来約4カ月ぶりの高水準を記録すると買い戻しが優勢になり、136.32円付近まで持ち直した。2月米ISM製造業景気指数は47.7と予想の48.0を若干下回ったものの、項目別で投入価格指数が51.3と予想の46.5を上回り、インフレが当面高止まりする可能性が示された。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識され、相場を下支えした面もあった。

 

NY原油先物市場は続伸:時間外取引で再上昇

NY原油先物市場は76.12ドル‐77.85ドルのレンジ相場となった。2月のロシア産油量が増加したとの報道が重しとなるも、中国の2月製造業購買担当者景況指数(PMI)が予想以上に上昇し、中国の景気回復に伴うエネルギー需要の拡大期待が改めて意識され、買いが優勢となった。米エネルギー情報局(EIA)の石油在庫統計は、原油在庫が116.6万バレル増と予想以上の積み増しとなった一方で、ガソリンは在庫増の予想に反して87.4万バレル減少し、まちまちの結果となった。アジア市場で77.74ドルまで買われた後、ロンドン市場で76.12ドルまで下げたが、米国市場の序盤に77ドル台を回復した。米長期金利の上昇を受けて伸び悩んでいたが、通常取引終了後の時間外取引で77.85ドルまで再上昇した。

 

NY金先物市場は3日続伸:中国で需要高まるとの思惑買い

NY金先物市場は1829.60‐1852.50ドルのレンジ相場となった。為替相場でドルが対ユーロで弱含み、ドル建ての金は割安感から買いが優勢となった。また、中国の景気回復期待を背景に金の主要消費国である中国で現物需要が高まるとの思惑も金の買いを後押した。アジア市場で1829.60ドルまで売られたが、ドル高が一服したことから米国市場の前半にかけて1852.50ドルまで買われた。ただ、米長期金利の上昇を受けて上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では主に1845ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は続落:米FRBによる金融引き締め長期化観測から売り優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.08%高い(価格は下落)4.89%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%高い3.99%で終了した。2月米ISM製造業景気指数は予想を若干下回ったものの、項目別で投入価格指数が予想を上回り、インフレが当面高止まりする可能性が示された。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が高まり、債券売りが広がった。利回りは一時4.0082%前後と昨年11月10日以来約4カ月ぶりの高水準を付けた。

 

3月日銀会合は現状維持がベースケース:モルガン

日銀が9~10日、黒田総裁の下での最後となる金融政策会合を開く。モルガン・スタンレーMUFG証券は1日付のリポートで『金融政策の現状維持を蓋然性の高いベースケースとして予想する』との見解を示した。リポートでは、3月会合でもイールド・コントロール(YCC)のサプライズ修正リスクが残るとしながら、『この確率は20%程度とみている』と指摘。同社としてはYCC修正時期のベースケースは23年7月頃との見方を維持した。その上で、仮に3月会合でYCCが修正される場合、『YCCの撤廃や目標年限の短期化ではなく、市場機能の改善を目的として10年物国債利回りの変動幅を±100bpに広げる可能性の方が高いだろう』とみていた。

 

日本の10年債利回りは23年末には90bpになると予想=ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは1日付のリポートで、新日銀総裁候補の植田和男氏が国会での所信聴取で金融緩和を続ける姿勢を示したことについて『日銀の金融政策の正常化が慎重かつ徐々に進むであろうという見方を補強するものである。日本のインフレ率が上振れするようなことがあれば、この考えは変わるかもしれないが、日銀の現在の2%のインフレ目標の枠組みの下では、マクロの状況はまだ政策の大きな転換を正当化するものではないと我々は考えている』との見解を示した。リポートでは、『とはいえ、植田氏がイールドカーブ・コントロール(YCC)の継続を望んだとしても、その持続性を強化するためには技術的な調整が必要だ』とも指摘した。10年国債よりも短い利回りの方がフォワードガイダンスの効果が高いとし、『コントロールもしやすく、日銀の国債購入額を大幅に削減できる可能性が高いからだ』という。したがって、日本国債10年物利回りは今年後半に75~80bpのフェアバリューに収束し、オーバーシュートの可能性も含め、23年末には90bpになると予想した。その一方、日銀の柔軟性により円高リスクは軽減されるものの、『日銀の政策よりも米国の実質金利が円相場の最大の変動要因であることから、戦略的な円安の可能性を引き続き見込んでいる』とも指摘した。

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