FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は反発:米長期金利低下から買い戻し

NYダウは72.17ドル高の32889.09ドル、ナスダックは72.04ポイント高の11466.98ポイントで取引は終了した。製造業関連指標が冴えず金利低下を受けた買いに、寄り付き後は上昇した。その後、戻り高値から株価が依然過大評価されているとの見方を受けた売りに押され、一時NYダウは下落に転じる局面もあった。しかし、ハイテクが支え、主要株式指数はプラス圏で終了した。VIX指数は21.67から20.95へ低下した。

 

NY外国為替市場:米長期金利低下でユーロ買い戻し

ユーロ/ドルは、一時は3.9766%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録した米10年債利回りが3.89%台まで低下したことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行した。独10年債利回りが2.593%前後と2011年以来約12年ぶりの高水準を付けたこともユーロ買いを促し、一時1.0620ドルと日通し高値を更新した。なお、市場では『ユーロ圏経済の底堅さやインフレ基調の高止まりから、欧州中央銀行(ECB)による利上げの最終的な到達点が想定より引き上げられる』との見方が強まっている。

 

ドル/円は、NY市場に限れば136円台前半での狭いレンジ取引に終始した。ポンドやユーロ絡みの取引が中心となったため、ドル円自体は大きな方向感が出なかった。

 

ポンドは全面高。英国と欧州連合(EU)が北アイルランド問題で合意したと伝わると、ポンドを買う動きが広がった。ポンド/ドルは一時1.2066ドル、ユーロ/ポンドは0.8790ポンド、ポンド/円は164.35円までポンド高に振れた。スナク英首相とフォンデアライエン欧州委員長はこの日、『英国のEU離脱以降、両者の関係を険悪にさせていた英領北アイルランドの物流規則を巡り合意した』と発表した。

 

NY原油先物市場は反落:短期筋の利食い売り

NY原油先物市場は74.99ドル‐76.82ドルのレンジ相場となった。ロシアのポーランドへの原油輸出停止を背景とした買いが一巡し、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ長期化が米景気後退を招くとの警戒感で反落した。ロンドン市場で76.82ドルまで買われたが、米国市場の後半にかけて74.99ドルまで下げた。短期筋などの利食い売りが増えたことが要因となった。ただ、押し目買いも観測されており、通常取引終了後の時間外取引では75ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は6日ぶりに反発:ユーロ安一服を意識した買い

NY金先物市場は1812.70‐1827.30ドルのレンジ相場となった。米長期金利が低下し、為替相場でドル安・ユーロ高が進んだことを受けて、5日続落した金相場に反動の買い戻しが入った。アジア市場で1812.00ドルまで売られたが、ユーロ安が一服したことから米国市場の後半にかけて1827.30ドルまで値上りした。通常取引終了後の時間外取引では主に1825ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は反発:ポジション調整目的の買い優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年国債利回りは前営業日比0.01%低い(価格は上昇)4.78%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い3.91%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測が高まる中、債券売りが先行した。利回りは一時3.9766%前後と昨年11月10日以来の高水準を付けた。ただ、そのあとはポジション調整目的の買いなどが入り上げに転じた。市場では『利回りが節目の4%に接近したことで買いが入りやすかった』との声も聞かれた。

 

YCCを5年に短期化なら円安が助長される可能性も:BofAセキュリティーズ

2月に発表された1月分の強い米経済指標を受けてドル高円安基調が再開する中、BofAセキュリティーズは27日付のリポートでドル円相場の見通しを上方修正した。23年1~3月期(1Q)を130⇒133円と引き上げた一方、23年4~6月期(2Q)は138円で維持し、23年7~9月期(3Q)は136⇒142円へと上方修正した。リポートでは、FF金利が6月までに75bp引き上げられてターミナル・レート5.25~5.5%となり、来年3月に利下げが開始されると見ているとしながら、『米短期金利の上昇はドル円ショートのコストを引き上げ、ドル円ロングに余裕を与える』と指摘した。他の中銀も政策金利を大きく引き上げており、環境としては海外と日本の金利差が数カ月にわたり開いた状況が継続すると見込まれるといい、『キャリートレードが円を押し下げた2006年から2007年にかけての時期を彷彿(ほうふつ)とさせる』とみていた。植田氏が日銀総裁に就任した場合、イールドカーブ・コントロール(YCC)の調整リスクが高いとも指摘した。市場は日銀のYCC調整を待っている節があるとしながら、『実際、日銀がYCCの調整を行えば、政策不確実性と為替ボラティリティが低下し、円キャリートレードを後押しする可能性がある』とも指摘した。YCCの対象年限が10⇒5年に短期化された場合、『短期金利のフォワードガイダンスとしても機能し得るため、円安が助長される可能性がある』ともみていた。

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