FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続落:好悪材料あるもリスク回避の動きがやや優勢に

NYダウは252.40ドル安の33044.56ドル、ナスダックは104.74ポイント安10852.27ポイントで取引を終了した。景気後退懸念がくすぶり寄り付き後は下落した。週次失業保険申請件数が予想外に減少したため追加利上げを織り込む金利の上昇を警戒した売りも再燃したほか、イエレン財務長官が連邦債務が上限に達し特別策を講じ議会に上限引き上げなどの対応を要請したことが報じられると、政府機関閉鎖リスクを懸念した売りも強まり、一段安となった。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長が利上げ減速を支持する姿勢を見せると警戒感を受けた売りが後退した。一時下げ止まるも終日軟調推移となった。VIX指数は20.34から20.52へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ECBの利上げ継続観測を背景にユーロ買い

ユーロ/ドルは、1月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったことを受けてユーロ売り・ドル買いが先行すると、一時1.0784ドル付近まで値を下げたものの、下押しは限定的だった。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁はこの日、『インフレは高すぎる』『インフレ率を適時に目標の2%に戻すために十分な期間、制約的な領域に移行するまで政策方針を堅持する』と述べたほか、ECB理事会議事要旨(12月15日分)では『多くのメンバーが当初、政策金利を0.75%引き上げることを希望した』ことが明らかになった。ECBの利上げ継続観測を背景にユーロ買い・ドル売りが強まると、一時1.0840ドルと日通し高値を更新した。

 

ドル/円は、米フィリー指数など、この日発表の米経済指標が概ね堅調だったことを手掛かりに円売り・ドル買いが先行した。米長期金利の上昇も相場の下支え要因となり、128.81円付近まで値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値128.93円を上抜けることは出来なかった。日銀は前日に大規模な金融緩和策の維持を決めたものの、いずれは修正に動くとの思惑は消えず、相場の重しとなった面もある。

 

NY原油先物市場は反発:中国のエネルギー需要期待から買い優勢

NY原油先物市場は78.45ドル‐81.49ドルのレンジ相場となった。前日は米景気後退への懸念を背景に9日ぶりに反落したが、中国の景気回復に伴うエネルギー需要への期待感は根強くこの日は買いが先行した。米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で原油とガソリンの在庫が予想以上の積み増しとなり、一時売られる場面もあったが反応は限られた。アジア市場で79.48ドルから78.45ドルまで売られたが、まもなく反転し、ニューヨーク市場の前半に80ドル台に上昇した。米国経済の減速懸念で需要減少の見方はあるものの、81.49ドルまで一段高となった。通常取引終了後の時間外取引では主に80ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は3日ぶりに反発:リスク回避志向の強まりから買い優勢に

NY金先物市場は1902.00‐1934.60ドルのレンジ相場となった。米景気後退への懸念が高まり、投資家のリスク回避志向が強まったことが逃避資産とされる金の買いを後押した。アジア市場で1902.00ドルまで売られたが、ロンドン市場以降は買いが優勢となり、ニューヨーク市場では米国株安を受けて一段高となり、通常取引終了後の時間外取引で1934.60ドルまで上昇した。

 

米国債券市場は反落:持ち高調整の売りが優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米2年国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)4.13%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.02%高い3.39%で終了した。1月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことから、売りが優勢となった。前日に急伸した反動で持ち高調整目的の売りが出やすい面もあった。

 

低迷続く米住宅市場:US Dashboard

19日に発表された2022年12月の住宅着工件数は138万2000戸と前月の140万100戸から減り、22年7月以来5カ月ぶりの低水準になった。米住宅ローン金利は一時に比べ1%程度低下しているが、依然として高水準にある。先行指標となる許可件数も減少傾向が続いており、133万戸と2020年5月以来の低水準に落ち込んでいる。

 

米新規失業保険申請件数は22年9月以来の低水準:US Dashboard

19日に発表された米新規失業保険申請件数は19万件と前週から1万5000件減り、2022年9月以来の低水準になった。減少は3週連続で市場予想の21万5000件を下回った。4週間移動平均線も20万6000件と前週から6500件減り、米労働市場の堅調さを示す結果となった。一方、総受給者数は164万7000件と、前週から1万7000人増えた。

 

1970年代型のインフレではない:ブレナードFRB副議長

米FRBのブレナード副議長は19日の講演で『成長鈍化を背景にこの数カ月、インフレ率が低下してきた』と物価安定への取り組みを評価した。さらに『1970年型の物価と賃金のスパイラル的上昇ではないとの安心感を与えてくれるかもしれない』と指摘、インフレ沈静化に楽観的な見方を示した。『総需要の鈍化が続くことで、雇用の大幅な喪失を伴わない労働市場の緩和とインフレ縮小は可能だ』と、経済のソフトランディング(軟着陸)に前向きな見解も示した。半面、『インフレ率が2%に戻るには時間がかかる。我々は規定の路線にとどまることを決意している』と、現時点でインフレ退治の手綱を緩めていないとの姿勢も強調した。次回会合での利上げペースには言及しなかったが、0.5%から0.25%への利上げ幅縮小を否定しなかった前回会合で利上げ幅縮小したことについては『政策金利が十分に引き締め的な領域に近づくにあたり、我々が多くのデータを検証する時間を与えてくれる』と述べた。

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