FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:タカ派発言を受け景気が損なわれるとの警戒感強まる

NYダウは613.89ドル安の33296.96ドル、ナスダックは138.10ポイント安の10957.01ポイントで取引を終了した。12月生産者物価指数(PPI)が予想以上に鈍化しインフレ圧力の低下で金利先高懸念が後退したため、寄り付き後は上昇した。12月小売売上高や12月鉱工業生産が予想以上に悪化し景気減速が明らかになる中、クリーブランド連銀のメスター総裁が追加利上げが必要とタカ派姿勢を再表明し、売りに転じた。さらに、セントルイス連銀のブラード総裁も次回会合での50BPの利上げの必要性を指摘するなど、FRB高官のタカ派発言を受けて過剰な利上げにより、景気が損なわれるとの警戒感が強まり終盤にかけ、売りが加速した。金利の低下で上昇していたナスダック総合指数も下落に転じ、主要株式指数は下げ幅を拡大し終了した。VIX指数は19.36から20.34へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ドル売り後にセントルイス連銀総裁発言で買い戻し

ドル/円は、日銀が大規模な金融緩和策の維持を決めたことで、アジア時間に131.58円まで急伸した影響が残った。ただ、NY市場に限ればさえない展開だった。12月米小売売上高や12月米卸売物価指数(PPI)、12月米鉱工業生産が予想を下回ったことで全般ドル売りが進行した。日銀の政策修正観測は依然として根強く、戻りを売りたい向きも多く、一時127.57円と日通し安値を更新した。もっとも、16日の安値127.23円がサポートとして働くと買い戻しが優勢になった。1月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数が予想を上回ったことも相場の下支え要因となり、128.95円付近まで持ち直した。ブラード米セントルイス連銀総裁が『米連邦準備理事会(FRB)は利上げ打ち止め前に可能な限り迅速に5%を上回る水準に引き上げるべき』と述べたうえ、メスター米クリーブランド連銀総裁が『金利は5-5.25%を若干超えて上昇するべき』『金利はまだ5%に達しておらず、5%を超えていない』と発言したこともドル買い戻しを誘った。

 

ユーロ/ドルは、ビルロワドガロー仏中銀総裁が『ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の0.50%利上げガイダンスは依然として有効』と述べ、前日に伝わった『ECB当局者は利上げペースの減速を検討し始めている』との観測報道を否定したことで、ユーロ買いが先行した。米経済指標が軒並み低調だったことが分かると米長期金利の低下とともにドル売りが活発化し、一時1.0887ドルと昨年4月以来9カ月ぶりの高値を更新した。ただ、買い一巡後は急速に伸び悩んだ。ダウ平均が一時640ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移したことでリスク回避のドル買いが強まり、一時1.0787ドル付近まで下押しした。

 

NY原油先物市場は9日ぶり反落:米国経済の減速懸念から売り優勢

NY原油先物市場は79.32ドル‐82.66ドルのレンジ相場となった。この日もエネルギー需要拡大期待を背景に買いが先行した。ただ、さえない米経済指標の結果を受けて米景気後退懸念が強まったことや、ドルに買い戻しが入ったことが重しとなり、前日まで8連騰の原油は利益確定の売りに押された。ニューヨーク市場の前半にかけて82.66ドルまで一段高となったが、米国経済の減速懸念が強まり、需要減少の見方が増えていることから、通常取引終了後の時間外取引で79.32ドルまで反落した。

 

NY金先物市場は小幅続落:利食い売り強まり上値の重い展開

NY金先物市場は1898.60-1929.80ドルのレンジ相場となった。弱い米経済指標の結果を受けて米長期金利が低下し、金利を生まない金は一時買いが優勢となったが、ドルに買い戻しが入ると金は利益確定売りに押された。アジア市場で1898.60ドルまで売られたが、米経済指標の悪化による長期金利の低下を受けて1929.80ドルまで買われた。ただ、その後は利食い売りも観測されており、1903.50ドルまで下げており、通常取引終了後の時間外取引では1905ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は大幅上昇:米利上げ減速観測が強まり買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは大幅上昇(利回りは低下)した。米2年国債利回りは前営業日比0.11%低い(価格は上昇)4.09%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.18%低い3.37%で終了した。前週発表の12月米消費者物価指数(CPI)に続き、本日発表の12月米卸売物価指数(PPI)が下振れしたことで、米利上げ減速観測が強まり債券買いが広がった。利回りは一時3.3662%前後と昨年9月13日以来約4カ月ぶりの低水準を記録した。

 

新総裁はYCCから退出する見込み:ユーラシア

17~18日に開かれた金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の再拡大や撤廃観測が根強い中で現状維持が決まった。市場の関心が新総裁・副総裁の体制での政策変更の可能性に移る中、ユーロシア・グループは18日付のリポートで『黒田総裁の任期が4月に終了するため、岸田首相が次期日銀総裁を誰にするかが注目される。岸田氏は2月10日までに表明し、その後に国会で審議される可能性がある』との見解を示した。リポートでは、岸田氏が指名する有力候補は、中曾副総裁(確率60%)、雨宮副総裁(同30%)の2人と従来予想を維持しながら、「最近、ダークホース的な孫愛として浮上しているのが、山口元日銀副総裁である」とも指摘した。今回の日銀の動きにかかわらず、「我々は新総裁はYCCから退出すると予想しており、この動きは世界の債券市場と円相場に大きな影響を与えるだろう」とみている。

 

米経済は前回から変化なし:ベージュブック

米連邦準備理事会(FRB)は18日、全米12地区連銀が管轄する地域の経済情勢をまとめた米地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表した。米経済活動は「ほぼ横ばいまたはわずかな伸び」とした前回11月の報告から「比較的変わらなかった」とした。5地区が「わずかまたは緩やかな伸び」、6地区が「変化なし、またはわずかな低下」、1地区は「大幅な低下」だったと総括した。先行きは「今後数カ月はほとんどせいちょうしない」との予想が多かった。消費はわずかに増えた。いくつかの小売業者は年末商戦を通じて好調な販売を報告したが、他の小売業者は中低所得層を中心にインフレが購買力を衰えさせたと指摘した。自動車販売は平均的に横ばいで、旅行業界はホリデーシーズンに穏やかから強い活動だった。製造業の活動は緩やかに低下した。住宅市場は悪化し続けた。商業用不動産もわずかに減速し、特にオフィス市場で悪化がより目立った。雇用は大半の地区で緩やかから穏やかなペースで拡大し続けた。多くの企業は商品やサービスの需要が鈍化しても従業員の解雇をためらっているという。労働市場のひっ迫が続くなか、賃金の上昇圧力は高止まりしている。物価は大半の地区で緩やかまたは穏やかなペースで拡大し続けたものの、多くの地区は上昇ペースが減速していると報告した。インフレで消費者の購買意欲が低下するなか、一部の小売業は余剰在庫を削減するため昨年を上回る割引を実施した。今後1年の物価上昇率は「さらに穏やか」になると予想した。

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