FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:米インフレピーク期待や中国の経済活動再開期待

NYダウは186.45ドル高の33704.10ドル、ナスダックは106.98ポイント高の10742.63ポイントで取引を終了した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がイベントで警戒されていたような直接的なタカ派金融政策の発言をしなかったため安心感から買われ、寄り付き後は上昇した。ただ、FRBのボウマン理事が最近の一部のインフレ減速にもかかわらずまだやるべきことがあると、追加利上げの必要性を主張すると長期金利が一段と上昇、売りが再燃し主要株式指数は一時下落に転じた。しかし、今週発表の12月消費者物価指数(CPI)ではインフレピーク達成が証明されるとの期待や中国の経済活動再開などで景気悪化への懸念が緩和し、再びプラス圏に上昇した。終盤にかけて上げ幅を拡大して終了した。VIX指数は21.97から20.58へ低下した。

 

NY外国為替市場:米債金利上昇からドルが強含む展開

ドル/円は、『パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はリクスバンク主催のイベントで、タカ派的な姿勢を示すのではないか』との思惑から、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行し、一時132.48円と日通し高値を付けた。ただ、パウエル氏が経済や金融政策について言及しなかったことが伝わると、一転ドル売りが優勢となり、131.73円付近まで下押しした。もっとも、米10年債利回りが3.63%台まで上昇すると再び強含む展開に132.34円付近まで持ち直した。市場では『12日発表予定の12月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの向きも多く、積極的な売買は手控えられた』との声が聞かれ、方向感が出にくい面もあったようだ。 

 

ユーロ/ドルは、パウエル氏の講演を巡り、市場の一部でタカ派寄りの発言が警戒されていたため、ユーロ売り・ドル買いが先行し、一時1.0712ドルと日通し安値を付けた。
ただ、パウエル氏が経済や金融政策について言及しなかったことが伝わると一転ドル売りが優勢となり、1.0759ドルと日通し高値を更新した。そのあとは米金利上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て伸び悩んだ。 

 

NY原油先物市場は4日続伸:エネルギー需要期待の高まりから買い優勢に

NY原油先物市場は73.84ドル-75.92ドルのレンジ相場となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した短期エネルギー見通しで中国・インドでのエネルギー需要期待が高まると、原油に買いが入った。アジア市場で73.84ドルまで下げたが、押し目買いが観測されており、まもなく75ドル台に上昇した。ニューヨーク市場では米長期金利の上昇が多少嫌気されたが、通常取引終了後の時間外取引で75.92ドルまで買われている。 

 

NY金先物市場は小反落:米長期金利の上昇を嫌気した売り

NY金先物市場は1872.00-1885.20ドルのレンジ相場となった。約8カ月ぶりの高値水準とあって上値では利益確定の売りが出た。半面、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長から金融政策についての発言がなかったことが分かると買いが入るなど下値も限られた。アジア市場の序盤で1872.00ドルまで下げたが、まもなく反転し、ニューヨーク市場の中盤にかけて1885.20ドルまで買われた。米長期金利の上昇を意識して一時1875ドル台まで下げたが、通常取引終了後の時間外取引で1882ドル台まで戻している。 

 

米国債券市場は反落:12月米CPI発表を控え持ち高調整売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)4.25%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.09%高い3.62%で終了した。このところ米連邦準備理事会(FRB)高官による利上げ継続に前向きな発言が目立っており、債券売りが出やすい地合いとなった。市場では『12日発表の12月米消費者物価指数(CPI)を前に持ち高調整目的の売りが出た』との指摘もあった。 

 

米卸売在庫は1.0%増、卸売売上高は0.6%減:US Dasboard

10日に発表された11月の米卸売在庫(メーカーの販売店と営業所を除く加盟店卸売業者の総在庫)の季節調整済みの確報値は9331億ドルと前月比で1.0%増加した。前年比では20.9%増だった。内訳では、家具、コンピューター、専門機器、電気機器、金属、ハードウエア、機械などの在庫が増加した。一方、10月に0.5%増加していた自動車の在庫は横ばいだった。GDP算出に用いられる自動車を除く卸売在庫は前月比で1.0%増加した。米FRBによる積極的な利上げを反映した借入コストの上昇を背景に販売は減少した。11月の卸売売上高は6937億ドルと前日比で0.6%減少し、非耐久財の売り上げは小幅に増加したが耐久財が減少した。

 

需給ひっ迫見通し強く白金は買い越し:1年9ヵ月ぶりの高水準

米国市場の白金(プラチナ)先物取引では、ファンドなど大口投機筋の買越残高が増加している。米CFTCがまとめた3日時点の買い越し幅は、前週比24%増の3万503枚と2週連続で増え、役1年9カ月ぶりの高水準となった。需給のひっ迫見通しや金利の低下を受け、相場上昇を見込んだ新規の買いが目立った。買いが強まった一因は中国需要の拡大観測である。中国では新型コロナウイルスを封じ込める『ゼロコロナ』政策が事実上終わった。

英国際調査機関のワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)は2023年の白金の世界需給が3年ぶりに供給不足になると予想している。主産地の南アフリカでは電力不足で生産が不安定になっている。需要が伸びれば不足幅の拡大が連想される状況である。白金の国際価格は9日一時1トロイオンス1115.6ドルと10ヵ月ぶり高値を付けた。

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