FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続落:米国景気後退を懸念した売りが優勢

NYダウは281.76ドル安の32920.46ドル、ナスダックは105.11ポイント安の10705.41ポイントで取引を終了した。12月製造業・サービス業PMI速報値が想定外に11月から悪化したため景気後退を懸念した売りに寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)高官がインタビューや講演で、FRBの政策金利を高水準で長期にわたり維持する姿勢を再確認したため長期金利やドルが上昇したことも更なる売り圧力となり、相場をさらに押し下げた。年末にかけたポジションの手仕舞い売りも目立ったが、本日は4兆ドル規模と言われる大口オプションの満期日に当たり、テクニカル要因で終盤にかけては買戻しも見られ下げ幅を縮小して終了した。VIX指数は22.83から22.62へわずかに低下して終了した。

 

NY外国為替市場:米経済指標悪化で米景気減速意識され円買い強まる

ドル/円は、しばらくは137円台前半でのもみ合いが続いていたが、12月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を下回ったことが分かると円買い・ドル売りが優勢となり、一時136.30円と日通し安値を付けた。一時は3.55%台まで上昇していた米10年債利回りが3.46%台まで上昇幅を縮めたことも相場の重しになった。なお、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁はこの日、『米連邦準備理事会(FRB)はインフレを2%に戻すために必要な行動を取る』『政策金利は14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示した政策金利見通し(ドットプロット)よりも高くなる可能性がある』と述べたほか、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は『物価安定の目標には程遠い』『政策金利がピークに達した後、まずは11カ月間据え置くことが妥当。必要ならより長く維持する用意がある』などと語った。

 

ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融引き締めがユーロ圏景気の悪化につながるとの懸念から、ユーロを売る動きが広がった。欧米株価の下落を背景にリスク回避のドル買いが入ると、一時1.0585ドルと日通し安値を更新した。 

 

NY原油先物市場は続落:エネルギー需要の減少が懸念され売り優勢に

NY原油先物市場は73.40ドル-76.58ドルのレンジ相場となった。欧米で景気後退への警戒感が高まるなか、エネルギー需要の減少が懸念されて売りが先行した。弱い米経済指標も重しとなり、一時73ドル前半まで下げ幅を拡大した。もっともその後、75ドル後半まで切り返す場面があった。バイデン政権が、戦略石油備蓄(SPR)を補充するため原油の買い戻しを開始すると発表したことに反応した。ただ一巡後は再び売りに押され、弱含みのまま終えた。米国株安や世界経済の減速を警戒した売りが入った。アジア市場で76.58ドルまで戻したが、ニューヨーク市場の序盤に73.40ドルまで下落。通常取引終了後の時間外取引では74ドル台で推移した。 

 

NY金先物市場は反発:株安と自立反発狙いの買いが優勢に

NY金先物市場は1783.90-1804.20ドルのレンジ相場となった。ロンドン市場で1783.90ドルまで下げたが、自律反発狙いの買いが入った。株安も意識された。ニューヨーク市場の序盤に1804.20ドルまで買われた。通常取引終了後の時間外取引では1800ドルを下回る水準で推移した。12月米製造業・サービス部門PMI速報値が予想を下回り、2020年5月以来の低水準を記録すると安全資産とされる金に資金が向かった。もっとも買い一巡後は週末を控えた持ち高調整が中心となり、明確な方向感は出なかった。 

 

米国債券市場はまちまち:欧州債相場の下落に連れて売り優勢に

米国債券市場で中期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は上昇)4.20%で終了した。また、長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)3.49%で終了した。欧州中央銀行(ECB)の積極的な金融引き締め観測を背景に欧州債相場が下落すると、米国債にも売りが波及した。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め長期化も意識される。ただ、低調な米経済指標を受けて買い戻しが入ると下げ幅を縮めた。米景気後退への懸念が高まる中、安全資産とされる米国債に買いが入りやすい面もあった。

 

ラガルド発言が市場揺らす:世界株安と利上げ不況警戒

米欧中央銀行の政策決定を受け、15~16日に世界で株安が進んだ。インフレと景気の両にらみの局面に入り、各中銀は利上げ幅を縮小したものの、インフレこそが問題という姿勢は堅持した。市場は過度な引き締めによる不況への警戒を強めている。中銀と市場の『溝』が鮮明になり株価の乱高下につながり始めた。発端は欧州中央銀行(ECB)が15日に公表した声明文だ。『安定したペースでの大幅利上げをまだ続ける必要がある』と明記し、23年の物価上昇率の見通しは6.3%と9月時点の予測から0.8ポイント引き上げた。ラガルド総裁は記者会見で『ECBが方針を転換したと考える人は間違いだ。転換したわけではなく揺らいでもいない』と、利上げ幅を0.5%に縮小したことを引き締め減速局面に入ったと受け取られないようにクギを刺した。市場ではラガルド総裁が『かなりの(利上げに積極的な)タカ派に転じた』(オランダINGグループ)とショックが走った。ユーロ圏の物価上昇率は11月に10.0%と1年5カ月ぶりに減速した。景気も厳しいためにハト派に政策転換するとの期待が強まっていた。

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