FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続落:景気後退への懸念が強まり売り優勢に

NYダウは764.13ドル安の33202.22ドル、ナスダックは360.36ポイント安の10810.53ポイントで取引を終了した。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された2023年末の政策金利見通しが前回から引き上げられ、市場の想定を上回るタカ派的な内容となったことを受けて、景気後退への懸念が強まった。欧州中央銀行(ECB)が本日の理事会で、説教k的ン亜金融引き締め姿勢を示したことも米国株の重しとなり、一時950ドル超下げる場面があった。VIX指数は21.14から22.83へ上昇した。

 

NY外国為替市場:欧米株価安でリスク回避のドル買い優勢に

ユーロ/ドルは、ECBはこの日の定例理事会で、政策金利を0.50%引き上げ、来年3月から量的金融緩和策として買い入れた国債など資産の規模縮小の開始を決めたと発表した。声明では『一段の金利上昇を見込む』『金利は安定したペースで大幅に上昇する必要がある』と指摘した。この結果を受けて欧州債利回りが大幅に上昇すると、ユーロ買いが先行した。また、ラガルド総裁が理事会後の会見で『今後の利上げ幅についてはデータ次第』としながらも、『当面は0.50%の利上げが予想される』『来年2月と3月も0.50%の利上げの可能性がある』と発言するとユーロ買いが加速した。前日の高値1.0695ドルを上抜けて一時1.0735ドルと6月9日以来約半年ぶりの高値を付けた。市場では『ECBは金融引き締めに積極的なタカ派姿勢を示した』と受け止められた。ただ、ECBの積極的な金融引き締めがユーロ圏景気の悪化につながるとの懸念から、ユーロ買いの勢いは長続きしなかった。欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は3.5%超下落し、NYダウは一時950ドル超下げると、リスク回避のドル買いが優勢となり、一時1.0593ドルと日通し安値を更新した。 

 

ドル/円は、前日の米FOMCで、2023年末時点の政策金利見通しが引き上げられたことから、米FRBによる金融引き締めの長期化が改めて意識されて円売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。ECBが想定よりもタカ派的な姿勢を示したことで、欧米株価が急落すると為替市場ではリスク回避のドル買いが活発化し、138.17円と11月30日以来約2週間ぶりの高値を更新した。なお、11月米小売売上高や12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ったことを受けて一時136.18円付近まで値を下げる場面もあったが、下押しは限定的だった。 

 

NY原油先物市場は4日ぶりに反落:欧米株安とドル高を嫌気した売り

NY原油先物市場は75.33ドル-77.77ドルのレンジ相場となった。欧米中央銀行の政策金利は大幅に上昇するとの見方が増えていること、欧米株安、ドル高を意識して75.33ドルまで売られた。需給ひっ迫の思惑はやや後退。通常取引終了後の時間外取引では主に76ドル台で推移した。欧米中銀が金融引き締め継続の意向を示すと、経済活動の冷え込みからエネルギー需要が減少するとの懸念が高まった。足もとで大きく値を上げてきた後だけに持ち高調整の売りも重なり、一時75ドル前半まで下押す場面があった。

 

NY金先物市場は大幅に続落:米国の金融引き締め長期化懸念で売り

NY金先物市場は1782.00-1819.70ドルのレンジ相場となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見を経て金融引き締めが長期化するとの見方が高まり、金利が付かない金への売り圧力が強まった。為替でドル高が進んだこともドル建てで取引される金の重しとなった。欧州銀行(ECB)の政策金利は大幅に上昇する可能性があることやドル高を意識した売りが強まり、一時1782.00ドルまで下落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1789ドルを下回る水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:リスク回避姿勢から長期債に買い

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)4.25%で終了した。また、長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)3.45%で終了した。欧米中銀の積極的な金融引き締めが長期化するとの警戒感から、投資家がリスク回避姿勢を強めると相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。

 

米小売売上高は大幅に下振れ

15日に発表された11月の米小売売上高は、前月比0.6%減と、2ヵ月ぶりの減少に転じ市場予想の0.15%減を下回った。前年同月比では6.5%増加したが、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で7.1%上昇している。インフレが続くなか個人消費の減速が進んでいる。年末商戦のピークでも消費の弱さが鮮明になったことで、市場では米国の景気後退懸念が広がり、この日の米国株式相場は大幅に下落した。

 

米国株大幅安で目先は1割下落、強気相場入りは23年末:ストーバル氏

金融リサーチ会社CFRAのサム・ストーバル氏、15日の株式相場の急落は、米FRBによる長期の金融引き締めが来年の米景気後退入りを招くとの警戒感によるものだ。米政策金利の最終的な到達点(ターミナルレート)が市場の想定より高くなり、足元の株価には相対的な割高感があると意識された。2023年前半にかけて下げの勢いが増し、足元からあと1割近く下げるのではないか。相場が持ち直すのはインフレの減速基調が鮮明となる23年後半と予想する。米機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は目先、10月につけた年初来安値(3377ポイント)を試しそうだ。その水準を下回れば3200ポイントまで下げると分析する。現在のS&P500の予想PERは17倍強で、景気後退入りとなれば14~15倍まで低下する。FRBは2月の米FOMCで0.5%、3月に0.25%利上げした後は、利上げを停止すると予想している。過去の経験則に沿えば、米株式相場は利上げ停止から平均して8カ月後にブルマーケット(強気相場)に転じる。FRB現時点で23年の金融緩和への転換を否定しているが、個人的に23年12月の利下げを見込む。23年末時点のS&P500は4575と足元から大幅に上げるとみる。

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