FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米景気後退懸念くすぶり売り優勢に

NYダウは1.58ドル高の33597.92ドル、ナスダックは56.34ポイント安の10958.55ポイントで取引を終了した。景気後退懸念がくすぶり、寄り付き後は下落した。需要鈍化懸念を背景とした携帯端末のアップル(AAPL)の下落がけん引したハイテクセクターの売りが上値を抑制した。ただ、利上げ観測が緩和し、長期金利の低下やドル安が企業収益回復に繋がるとの期待が下支えとなり、終盤にかけNYダウは小幅高で終了した。ナスダック総合指数は終日軟調推移となった。VIX指数は22.17から22.68へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米経済の悪化懸念が根強く米長期金利低下からドル売り

ユーロ/ドルは、欧州時間発表の7-9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値が予想を上回ったことで、ユーロ圏の景気悪化への警戒感がやや和らぎユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.0550ドルと日通し高値を付けた。ただ、5日に付けた6月28日以来の高値1.0595ドルがレジスタンスとして働くと伸び悩んだ。プーチン露大統領が『世界で核戦争のリスクが上昇しつつある』と発言したことも相場の重しとなり、一時1.0488ドル付近まで下押しした。

 

ドル/円は、しばらくは137円台半ばでのもみ合いが続いていたが、NY勢が本格参入する時間外に入ると弱含んだ。米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが米経済を悪化させるとの懸念が根強い中、米10年債利回りが一時3.4006%前後と9月15日以来の低水準を記録した。円買い・ドル売りが優勢となり、一時136.22円と日通し安値を付けた。 

 

米ドルカナダドルは下げ渋った。カナダ銀行(BOC)はこの日、政策金利を0.50%引き上げて、4.25%にすると決めたと発表した。市場の一部では0.25%の利上げを予想する向きもあっただけに、金利発表後はカナダドル買いで反応し、一時1.3590カナダドルまで値を下げた。ただ、声明では『インフレは依然として高く、広範囲に及んでいる』『短期のインフレ予想は上昇している』として、高インフレが定着するリスクを改めて強調した一方、『利上げが必要』との文言を削除し、今後については『需給のバランスを取り戻し、インフレ率を目標値に戻すために、一段の利上げが必要かどうかを検討する』と説明した。利上げサイクルが終了に近づいている可能性を示唆したことで、カナダドル買いの勢いは長続きしなかった。

 

NY原油先物市場は4日続落:在庫増加を嫌気した売り優勢

NY原油先物市場は71.75ドル-75.38ドルのレンジ相場となった。中国政府が『ゼロコロナ』政策を一段と緩和する方針を決定したことを受けて、同国のエネルギー需要への期待から買いが先行したが、米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で、石油製品在庫の大幅な積み増しが嫌気され一転売りに押された。原油在庫は予想以上に減少したが、ディスティレート(留出油)とガソリン在庫が大幅な積み増しとなり、石油製品の需給の緩みへの警戒感が強まった。NY原油先物は年初来安値圏まで売られた。

 

NY金先物市場は続伸:ドル安・株安を意識した買い優勢

NY金先物市場は1780.50-1802.50ドルのレンジ相場となった。米長期金利が低下や米国株の重い動きが続いていることが支えとなり、買いが優勢となった。為替相場でドル安が進んだことも、ドル建ての金の買いを後押した。欧州委員会はロシアに対する追加制裁措置を提案したこと、為替相場のドル安反転が観測されたことが買い材料となった。通常取引終了後の時間外取引では1786ドルを上回る水準で推移した。

 

米国債券市場は上昇:米経済悪化懸念から買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.12%低い(価格は上昇)4.26%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.11%低い3.42%で終了した。米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが米経済を悪化させるとの懸念が根強く、相対的に安全な資産とされる米国債に買いが入った。利回りは一時3.4006%前後と9月15日以来の低水準を付けた。 

 

中国がゼロコロナ緩和も正常化への道険しい:テネオ

中国の新華社が7日、『中国共産党が6日に中央政治局会議を開き、様々な政策を調整して感染症の予防を最適化することなどを継続していく』などと報じた。中国のゼロコロナ政策の緩和が期待される中、助言会社テネオは7日付のリポートで『7日の政治局に関する報道ではダイナミック・ゼロへの言及が一切なく、ダイナミック・ゼロを放棄したことを示唆している』との見解を示した。リポートでは、『しかし、予想されたように共産党指導部は『ダイナミック・ゼロ』の終了を明確に宣言しておらず、最近の政策転換に民衆の抗議が何らかの役割を果たしたことも認めていない。それどころか、新華社は社説でウイルス対策における政府の成果を称賛し、この方針転換は新型コロナウイルスのり患率の低下と国の備えの強化への対応であると表現した』と指摘した。その上で『正常化への道は険しい。出口が加速すれば、避けられない感染者の急増を前に、ワクチン接種率を高める時間は少なくなる』とも指摘し、中国で開発されたワクチン12種のうちどのワクチンがオミクロン株に有効かは不透明としながら、『大規模なロックダウンや経済の混乱は、今後数ヵ月も続く可能性が高い』とし、先行きを慎重にみていた。

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