FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米国の積極的な金融引き締め継続警戒感が重し

NYダウは3.07ドル高の33852.53ドル、ナスダックは65.72ポイント安の10983.78ポイントで取引を終了した。中国の厳しい新型コロナウイルス規制が微修正されるとの期待から29日の中国株が大幅に上昇し、投資家心理が改善した。半面、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの警戒感が相場の重しとなった。中国の衛生当局は29日、新型コロナの防疫措置に関する記者会見で、高齢者へのワクチン接種強化や防疫措置の微調整の継続の方針を発表した。感染拡大を封じ込める『ゼロコロナ』政策への抗議活動が中国の主要都市で相次いだことを受け、前日には同国経済の悪化を懸念した株売りが広がっていた。過度な警戒感が和らぎ、株が買い直された。最も、市場では『中国経済を巡る懸念はしばらく続く』との見方は根強く、買いの勢いは鈍かった。30日にパウエルFRB議長の講演を控え、積極的な金融引き締めが続くと警戒されたのも相場の重しとなった。VIX指数は22.21から21.89へ低下した。

 

NY外国為替市場:米国の金融引き締めの長期化観測からドル買い優勢

ドル/円は、欧州時間に一時137.87円まで売られた影響が残ったものの、前日の安値137.50円が目先サポートとして働くと買い戻しが進み下げ幅を縮めた。米10年債利回りが3.76%台まで上昇したこともドル買いを促し、一時138.85円付近まで値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値139.35円には届かず、大きな方向感は出なかった。明日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を前に、積極的な売買が手控えられた面もあった。パウエル氏の講演は12月13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)前の最後の発言機会になる見通しで、市場では『今後の金融政策に関する新たな示唆を得たいとして注目が集まっている』との声が聞かれた。 

 

ユーロ/ドルは、前日にFRB高官らが米金融引き締めの長期化を示唆したことが引き続き相場の重しとなったほか、『ユーロ圏のインフレ率がピークに近い』との観測から欧州債利回りが低下したことがユーロ売りを誘った。5時過ぎには一時1.0320ドルと日通し安値を更新した。なお、この日発表の9月米ケース・シラー住宅価格指数は予想を下回った一方、9月米住宅価格指数や11月米消費者信頼感指数は予想を上回った。 

 

NY原油先物市場は続伸:中国政府の『ゼロコロナ』政策の緩和期待

NY原油先物市場は76.29ドル-79.65ドルのレンジ相場となった。中国政府が高齢者のワクチン接種強化を表明し、政府のコロナ防疫対策に対する市民の不満に対しても聞き入れる姿勢を示したことを受けて『ゼロコロナ』政策の緩和期待が強まり、原油先物は買いが先行した。また、12月4日の石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する『OPECプラス』会合を控え、増産をめぐり思惑が交錯し、神経質な動きも見られた。中国情勢が引き続き警戒されたことによってアジア市場で76.29ドルまで売られたが、中国株式の上昇を意識して79.65ドルまで買われた。ただ、ニューヨーク市場場では上げ渋り、一時77.08ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に78ドル台で推移した。 

 

NY金先物市場は反発:上値は重いものの換金目的の売りが縮小

NY金先物市場は1752.90-1773.40ドルのレンジ相場となった。為替相場でドル売りが先行したことを受けて、ドル建ての金は底堅く推移した。ただ、その後はドルが買い戻されたことや、明日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え小動きにとどまった。アジア市場の序盤で1752.90ドルまで売られた後、終盤にかけて1773.40ドルまで戻したが、その後はもみ合いとなった。ニューヨーク市場では米長期金利の上昇を受けて伸び悩み、1760.70ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1765ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は下落:重要イベント前のポジション調整売り

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)4.46%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.06%高い3.74%で終了した。前日に米連邦準備理事会(FRB)高官らが金融引き締めの長期化を示唆したことが引き続き売りを誘った。明日のパウエルFRB議長の講演や週末の11月米雇用統計など重要イベントを前に、ポジション調整目的の売りも出た。 

 

米住宅価格の上昇率は大幅に減速:FHFA

米連邦住宅金融庁(FHFA)が29日発表した9月の全米住宅価格指数前年同月比では11%上昇した。上昇率は2020年10月以来の低さで、住宅価格の上昇圧力の弱まりが示された。FHFAは『米国の住宅価格の上昇は大幅に減速している』と指摘した。この減速は『広範囲に及んでいる』と述べている。米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズ(S&P DJI)が同日発表した9月のS&Pコアロジック・ケース・シラー指数も前年比の上昇率が12.9%から10.6%に鈍化した。S&P DJIは『米FRBが金利を引き上げ続けているため、住宅ローンの調達コストは上昇し続け、住宅の購入価格は低下している』と指摘した。マクロ経済環境が引き続き厳しい見通しであることから、『住宅価格は引き続き弱含みとなる可能性がある』とみていた。

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