★米国株式市場は反落:米国による金利先高観強まり売り優勢に
NYダウ45.41ドル安の33700.28ドル、ナスダックは121.55ポイント安の11024.51ポイントで取引を終了した。コロナ感染急拡大で中国各地で都市封鎖が再開されたため世界経済への影響を懸念し売られ、寄り付き後、下落した。連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派姿勢を弱めておらず積極的な利上げを継続する断固とした姿勢を背景とした金利先高観に特にハイテクが売られ、相場の重しとなった。その後、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が行き過ぎた利上げに慎重な姿勢を見せたため下げ幅を縮小し終了した。VXI指数は23.12から22.36へ低下した。
★NY外国為替市場:FRBの金融引き締め姿勢の長期化の思惑からドル買い
ドル/円は、前週伝わったコリンズ米ボストン連銀総裁やブラード米セントルイス連銀総裁の発言を受けて、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め姿勢が長期化するとの見方が強まる中、円売り・ドル買いが優勢となった。対資源国通貨中心にドル高が進んだ影響も受けて、一時142.25円と日通し高値を更新した。
ユーロ/ドルは、米利上げペースの減速観測が後退する中、対資源国通貨中心にドル買いが進んだ流れに沿った。センテノ・ポルトガル中銀総裁が『12月の理事会では過去2回の会合で決定した0.75%の利上げから利上げ幅を縮小する可能性がある』との考えを示したことも相場の重しとなり、一時1.0223ドルと日通し安値を更新した。ただ、ホルツマン・オーストリア中銀総裁は『状況が変わらなければ0.75%の利上げを支持する』などと発言した。
産油国通貨はさえない展開だった。『石油輸出国機構(OPEC)プラスは12月4日開催の閣僚級会合に向けて増産を検討』との一部報道をきっかけに、WTI原油先物価格が一時6%超急落すると、カナダドルやノルウェークローネなどに売りが出た。米ドル/カナダドルは一時1.3495カナダドルまでカナダドル安に振れたほか、ノルウェークローネは対ドルで10.3034クローネまで下落した。
ただ、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相が同報道を否定すると、原油価格が下げ幅を縮小し、産油国通貨への売り圧力も後退した。
★NY原油先物市場は4日続落:増産協議観測が否定され下げ幅縮小
NY原油先物市場は75.27ドル-80.50ドルのレンジ相場となった。一部報道で『石油輸出国機構(OPEC)プラスは12月4日開催の閣僚級会合に向けて増産を検討』と伝わると、需給が緩むとの思惑から売りが強まり、一時75.08ドルと1月以来の安値を更新する場面があった。ただ、その後にサウジアラビアのエネルギー相が同報道を否定したため、80ドル台まで急速に買い戻しが入った。アジア市場の序盤で80.50ドルまで買われたが、中国における新型コロナウイルスの感染拡大を警戒した売りが観測され、反落した。ポジション調整的な売買が活発となったが、77ドル以下では押し目買いも観測されており、通常取引終了後の時間外取引では80ドルを挟んだ水準で推移した。
★NY金先物市場は5日続落:ドル高を嫌気した売り優勢に
NY金先物市場は1733.90-1755.00ドルのレンジ相場となった。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め姿勢が長期化するとの見方が再び高まるなか、外国為替市場では全般にドル高が進行。ドル建てで取引される金価格の割高感が意識された。アジア市場の序盤で1755.00ドルまで買われたが、主要通貨に対するドル高を意識した売りが次第に強まり、ニューヨーク市場の後半にかけて1733.90ドルまで下落。ただ、通常取引終了後の時間外取引では多少値を戻しており、1740ドルを挟んだ水準で取引された。
★米国債券市場は続落:FRBの金融引き締めの長期化懸念から売り
米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%高い4.53%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.01%高い3.83%で終了した。米国株相場の下落を受けて相対的に安全資産とされる米国債には買いが入った。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め姿勢が長期化するとの見方が強まる中、買い一巡後は伸び悩んだ。
★国際金利見通し:ゴールドマン・サックス
ゴールドマン・サックスは21日付の国際金利見通しのリポートで、各国中央銀行の利上げ休止が視野に入っているとの見解を示した。利上げサイクルが23年4~6月期(2Q)までにほとんどのG10諸国で休止する可能性が高いものの、利上げサイクル延長のリスクが小さい一方、場合によっては利上げ織り込みのピークが割高に見えた直後に緩和される可能性もあると見込んだ。
以下は見通しの概要。
・米10年国債利回りは23年に4.5%、独国債は2.75%でピークを付けるだろう。23年末に米国債利回りは4.3%より低い水準で終える可能性がある。
・イールドカーブはフラットニングからスティープニングにバイアスが掛かるだろう。まだスティープ化が進む時ではなく、スティープ化の材料としては、より差し迫った利下げの明確な証拠を必要とするかもしれない。
・欧州のインフレ率が米国を上回る見込みだ。市場は欧州のインフレ正常化を楽観視し過ぎており、米国のリスク、特に目標を上回る粘着性の強いインフレを十分に懸念していないようだ。
・金融政策の正常化のペースが遅くなり、最終的に利上げが一時停止されることでより低いボラティリティが許容されると考える。特に米国では穏やかなボラが持続的となる可能性が高く、ボラのプレミアムをマネタイズすることを検討する。
・グローバルな量的引き締め(QT)の影響としては、米連邦準備理事会(FRB)のQTはデュレーションの影響に変化をもたらさないが、フロントエンドのスワップ・スプレッドはタイトになるはずだ。イングランド銀行(BOE、英中銀)と、欧州中央銀行(ECB)による潜在的なQTもスプレッドに同様の影響を及ぼすが、利回りがやや上昇する可能性がある。
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