FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は反落:先週の大幅高を受けた利益確定目的の売り

NYダウは39.09ドル安の33553.83ドル、ナスダックは174.75ポイント安の11183.66ポイントで取引を終了した。CPI、PPIともにインフレがピークを打ったことを示唆する結果となった後で、今朝は寄り前に発表された10月の小売売上高が予想以上の上昇した。8ヵ月ぶりの上昇幅となり、高インフレで景気見通しが悪化していても消費需要が強いことが示された。GDP算出に使われるコントロールグループの伸びも加速し、第4四半期のGDPが3%を超える可能性があり、FEDの利上げペース減速期待が後退した。昨日の上昇を主導したグロースが売られて全体を押し下げ、主要指数はそろって反落して終了した。経済指標では小売売上高の他に10月鉱工業生産が発表され、予想を下回った。11月のNAHB住宅市場指数も予想を下回り、パンデミック直後を除いて10年ぶりの低水準となった。VIX指数は24.54から24.11へわずかに低下した。

 

NY外国為替市場:FRB要人によるややハト派発言がドルの重しに

ユーロ/ドルは、欧州市場では一時1.0438ドルまで買われる場面もあったが、NY市場では上値の重さが目立った。前日の高値1.0479ドルがレジスタンスとして意識されたほか、10月米小売売上高が予想を上回ったことが相場の重しとなった。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーから大幅な引き締め継続に慎重な発言が相次いだこともユーロの上値を抑えた。『ECB理事会メンバーらは来月の理事会で0.50%の利上げを支持』との観測報道が伝わると、一時1.0355ドル付近まで下押しした。なお、ビスコ・イタリア中銀総裁はこの日、『過去数カ間にしてきたほど積極的ではない方法を取るべき理由が高まっている』と述べたほか、デコス・スペイン中銀総裁が『政策金利が到達すべき具体的な水準は不確実で、完全にデータに依存する』などと発言した。

 

ドル/円は、NY市場では大きな方向感が出なかった。10月米小売売上高が予想を上回ったことで円売り・ドル買いが出ると一時140.03円付近まで上げたものの、10月米鉱工業生産が予想を下回ったことが伝わると139.05円付近まで下押しした。米10年債利回りが低下したことも相場の重しとなった。なお、ジョージ米カンザスティ連銀総裁は『利上げを継続する必要はあるが、ペースは緩めるべき』『景気後退を引き起こすことなくインフレを低下させることは困難』と述べたほか、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は『現在、利上げの一時停止は検討されておらず、ペースは議論中』『政策金利を4.75-5.25%の範囲に引き上げることは妥当』などと発言した。また、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は『0.50%の利上げ減速に対する違和感は薄れた』などと語った。 

 

NY原油先物市場は反落:世界的な景気後退懸念が相場の重し

NY原油先物市場は84.2ドル-87.51ドルのレンジ相場となった。米週間原油在庫は取り崩しへ転じたものの、買いの動きは一時的だった。中国での新型コロナウイルスの感染発生のニュースや、ウクライナ情勢の混迷を受けた世界的な景気後退への懸念から、需要への不安が台頭し、原油相場を重くした。ロンドン市場の序盤にかけて87.51ドルまで買われたが、需給ひっ迫を警戒した買いはロンドン市場で一巡し、ニューヨーク市場で84.20ドルまで下落。ただ、85ドル以下では押し目買いも観測されており、通常取引終了後の時間外取引では主に85ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は小幅に続落:米金利やドル相場をにらむ展開

NY金先物市場は1773.40-1788.20ドルのレンジ相場となった。米金利やドル相場をにらんで上下し、終盤に米10年債利回りやドル相場が下げ渋った。金利を産まない資産である金への相対的な投資妙味低下や、ドル建て金価格の割高感への意識が上値を重くした。アジア市場で1773.40ドルまで下げたが、ユーロが下げ渋っていることを受けて反転し、ロンドン市場で1788.20ドルまで買われた。その後は伸び悩み、ニューヨーク市場では1787.30ドルから1773.80ドルの範囲内で推移した。通常取引終了後の時間外取引では1780ドルを下回る水準で取引された。 

 

米国債券市場はまちまち:弱い経済指標受けると長期ゾーンに買い

米国債券市場で中期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)4.35%で終了した。また、長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.08%低い(価格は上昇)3.69%で終了した。10月米小売売上高が予想を上回ったことが伝わると売りが先行したものの、10月米鉱工業生産が予想を下回ったことが分かると買い戻しが優勢になった。11月NAHB住宅市場指数が予想より弱い内容となったことも相場の支援材料となった。

 

ターミナル・レート予想を5~5.25%に引き上げ=ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは16日付のリポートで、利上げ局面の最終的なFF金利の到達水準であるターミナル・レートの予想を5.00~5.25%とし、従来予想(4.75~5.00%)から25bp引き上げた。同社は12月に50bp、23年2月と3月に25bpの利上げを予想していたが、これに5月に25bpの利上げが行われるとの予想を追加したことを反映した。
 同社は従来から、今後の利上げ予想に関しては上振れリスクがあると指摘していた。具体的には①財政緊縮がほぼ一段落し、家計の実質可処分所得が再び増加している現在、潜在成長率を下回る経済成長率を維持するためにはさらなる利上げが必要かもしれない、②インフレ率は当面、不快なほど高い状態が続く可能性が高く、これが来年の小幅な利上げを長引かせる圧力となる可能性がある、③金融引き締めペースの減速や、より良いインフレニュースへの過剰反応は米連邦公開市場委員会(FOMC)が対抗しなければならないかもしれない金融状況の早期緩和を引き起こす可能性があるという。

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