FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅反発:10月CPIが予想を下回ったことを好感した買い

NYダウは1201.43ドル高の33715.37ドル、ナスダックは760.97ポイント高の11114.15ポイントで取引は終了した。10月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを減速するとの見方が強まると米長期金利が急低下した。そのため、株式の相対的な割高感が薄れ、株買いを誘った。VIX指数は26.09から23.53へ大幅低下した。

 

NY外国為替市場:インフレ和らぎ米長期金利低下とドル売り優勢

ドル/円は、米労働省が発表した10月米消費者物価指数(CPI)が前月比0.4%/前年比7.7%と予想の前月比0.6%/前年比8.0%を下回り、エネルギーと食品を除くコア指数が前月比0.3%/前年比6.3%と予想の前月比0.5%/前年比6.5%より弱い内容だったことが分かると、米国の記録的なインフレが和らぎ、米連邦準備理事会(FRB)の利上げのペースが減速するとの見方が強まった。米長期金利の低下とともにドル売りが優勢となり、一時140.21円と9月5日以来の安値を付けた。市場では『注目のコア指数が鈍化したことは米インフレがピークを付けつつあることを示唆。これが継続すれば、FRBは近く利上げをいったん停止するだろう』との声も聞かれた。 

 

ユーロ/ドルは、米重要指標の発表を控えて持ち高調整目的のユーロ売り・ドル買いが先行すると、一時0.9936ドルと日通し安値を付けたものの、10月米CPIの下振れをきっかけに一転上昇し、一時1.0222ドルと8月15日以来約3カ月ぶりの高値を付けた。 

 

NY原油先物市場は4日ぶりに反発:米長期金利低下とドル安を好感

NY原油先物市場は84.70ドル-87.35ドルのレンジ相場となった。10月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想より弱い結果となったことで、米金利の低下と共に原油先物は上昇した。その後弱含む場面もあったが、ドル安が進むとドルで取引される原油先物は割安感から再び買い戻しが入った。中国経済の停滞による需要減少を警戒してロンドン市場で84.70ドルまで下げたが、ドル安や米国株高を好感した買いが入ったことでニューヨーク市場の中盤にかけて87.35ドルまで上昇した。通常取引終了後の時間外取引では主に86ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は大幅反発:米中長期金利急低下を好感した買い優勢に

NY金先物市場は1705.50-1758.30ドルのレンジ相場となった。10月の米消費者物価指数(CPI)が発表されるまでは前日終値水準で小動きだった。しかし、CPIがコア指数を含め市場予想よりも低い結果になると、米国の中長期金利が急低下した。この動きに連れて、金先物は急騰した。ドルが全面安となるとさらに上げ幅を広げ大幅反発で引けた。アジア市場の序盤に1705.50ドルまで下げたが、米インフレ緩和を受けて米長期金利が低下し、ドル安が急速に進んだことから、ニューヨーク市場の後半にかけて1758.30ドルまで一段高となった。通常取引終了後の時間外取引では主に1755ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

米国債券市場は大幅続伸:米FRBの利上げペース減速の思惑から買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは大幅続伸(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.27%低い(価格は上昇)4.32%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.28%低い3.81%で終了した。10月米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを減速するとの見方が強まると債券買いが膨らんだ。 

 

FRB高官はCPI鈍化を歓迎も『金融引き締めは継続』

10日発表の10月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回った。米連邦準備理事会(FRB)高官からは歓迎する発言が相次いだが、インフレ抑制に成功したと確信するまで金融引き締め継続の方針は揺らがないとの姿勢が目立った。

 10日のFRB高官の発言

■サンフランシスコ連銀のデイリー総裁
10月のCPIの伸び低下は朗報だ。ただ、1カ月のデータで勝利宣言はできない。住居費などサービスは上昇が加速した。(インフレ鈍化で早々に利上げを止めた1970年代と)同じ間違いを犯すつもりはない。現在の議論の焦点は利上げ停止ではなく減速だ。政策金利は十分に引き締め的とされる水準(4.5~4.75%)をやや上回る水準に引き上げるべきだ。インフレ抑制に決意をもって臨む必要がある。

 

■クリーブランド連銀のメスター総裁
10月のCPIは総合とエネルギー・食品を除くコア指数がともにインフレがいくぶん和らいだことを示した。ただ、サービス価格は鈍化の兆しをみせていない。インフレ見通しはやや上振れリスクに傾いたままだ。現状のインフレ水準を踏まえると、2%に向かって低下基調を維持するために金融政策はより引き締め的にし、当面はそのスタンスを維持する必要がある。(引き締めすぎるよりも)十分にしなかったことのリスクの方が大きいとみている。

 

■カンザスシティー連銀のジョージ総裁
インフレ率は不快なほど41年ぶりの高水準に近い。(FRBは)明らかにまだやるべきことが残っている。インフレ期待の高まりを定着させないように、金融政策がインフレに断固として対応しなければならないことは疑う余地がない。ただ、今後の引き締めはより慎重に進めるべきだ。過度に金融市場のボラティリティーを高めるような影響を避けるため重要な時を迎えている。

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