FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は反落:景気減速の懸念が強まり失望売り

NYダウは646.89ドル下落の32513.94ドル、ナスダックは263.02ポイント安の10353.02ポイントで取引を終了した。中間選挙で下院での共和党勝利の勢いが期待された程ではなく依然不透明感が続き、景気減速への懸念も強まり失望感から売られ、寄り付き後は下落した。さらに、10日に発表予定の10月消費者物価指数(CPI)を警戒した売りも強まり、終日軟調に推移した。引けにかけて主要暗号資産取引所の破綻リスク上昇で金融市場への影響を警戒した売りが加速し下げ幅を拡大した。VIX指数は25.54から26.09へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米国株の大幅安でリスク回避のドル買い

ユーロ/ドルは、米10年債利回りが4.17%台まで上昇したことなどを手掛かりに全般ドル買いが先行した。NYダウが一時680ドル超下落するなど、米国株相場が軟調に推移したこともリスク回避のドル買いを促し、一時0.9993ドルと日通し安値を付けた。『ショイグ露国防相はヘルソン市からの撤退を命令した』との報道が伝わると、ウクライナ情勢を巡る懸念が和らぎ1.0086ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。アジア時間に付けた日通し高値1.0088ドルが目先レジスタンスとして意識されたほか、ウクライナ大統領顧問が『ヘルソン市にはまだ露軍が留まっており、増員されている』と明らかにしたことが嫌気された。

 

ドル/円は、米国株相場の下落に伴うリスク回避のドル買いが優勢となり、一時146.80円と日通し高値を更新した。米10年債利回りは米10年債入札後に4.17%台まで上昇したものの、引けにかけては4.05%台まで急低下した。なお、米中間選挙の開票結果については『大勢が明らかになるまでには時間がかかる可能性』と報じられており、市場の関心は『明日10日の10月米消費者物価指数(CPI)へと移行している』との声が聞かれた。

 

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインはこの日も売りが継続した。対ドルでは一時1万5665ドル前後と2020年11月以来約2年ぶりの安値を更新したほか、対円では230万円台と20年12月以来の安値を付けた。仮想通貨交換業最大手バイナンスが資金繰りに行き詰まっている同業大手のFTXトレーディングへの買収提案を『撤回した』と伝わると、売りが膨らんだ。バイナンスが買収に向けた査定を進めた結果、FTXの財務に大きな穴があることがわかり、発表後わずか1日で買収を取りやめる異例の事態となった。さらに、米当局はFTXと関連事業について『顧客資金や融資を巡る調査を実施する』との報道も伝わった。

 

NY原油先物市場は3日続落:原油在庫増を嫌気した売り優勢

NY原油先物市場は85.50ドル-89.24ドルのレンジ相場となった。前日発表の米石油協会(API)の週間原油在庫が積み増しになっていたことで上値が重かったが、本日発表された米エネルギー省(EIA)週間石油在庫も市場予想を上回る積み増しとなったことで売りに拍車が付いた。また、米金利が上昇し引け前には、円、欧州通貨やオセアニア通貨に対してドル買いが進んだことで、ドルで取引される原油先物には割高感となったことで下げ幅を広げた。アジア市場の序盤で89.24ドルまで買われたが、中国経済の停滞による需要減少の可能性や米国株安を意識して85.50ドルまで下落した。ユーロ安米ドル高の相場展開となったことも嫌気された。通常取引終了後の時間外取引では主に85ドル台で推移した。 

 

NY金先物市場は4日ぶりに反落:ドル高が嫌気され売り優勢に

NY金先物市場は1707.00~1725.80ドルのレンジ相場となった。米金利が低下する局面では、一時金先物は1725ドル台まで上昇する場面があった。しかしながら、米10年債の入札が低調に終わると、米金利が上昇に連れてドル買いが進み、ドルで取引される金先物は割高感で上値が抑えられ4日ぶりに反落して引けた。

 

米国債券市場は続伸:米国株安からリスク回避の債券買い

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.06%低い(価格は上昇)4.59%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い4.09%で終了した。米10年債入札が低調だったことが伝わると売りが優勢となったものの、引けにかけて持ち直した。米国株相場の大幅下落を受けて、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。 

 

10~12月期の米GDPナウは4..0%へ上昇

米アトランタ連邦準備銀行がリアルタイムに米経済成長を予測することを目的に独自に公表している『GDPナウ』は9日時点で4.0%と前回の3日時点の3.6%から引き上げられ、公表期間中での最高水準を更新した。10~12月期のGDPナウが初めて10月28日に公表された時点では3.1%だった。9日に発表された9月の米卸売在庫の改定値が前月比0.6%増と速報値の0.8%増から下方修正され、前年同月比では24.1%増となった。GDP算出に用いられる自動車を除く卸売在庫は前月比で0.4%増えた。9月の卸売売上高は8月の横ばいから9月は0.4%増えた。同指数を受けてGDPナウの10~12月期の実質個人消費支出の伸びは4.0%から4.2%へ、実質民間国内総投資の伸びは0.7%から2.1%へ増加した。

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