FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:インフレ対応でFRBの信頼を取り戻し買い優勢

NYダウは303.70ドル高の30668.53ドル、ナスダックは270.81ポイント高の11099.16ポイントで終了した。6月小売売上高やニューヨーク連銀製造業景気指数が予想外のマイナスに落ち込み金利が低下したため、ハイテク中心に買われ寄り付き後は上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)が市場の思惑通り連邦公開市場委員会(FOMC)で1994年以降最大となる0.75%の追加利上げを決定し、インフレ抑制に努める強い姿勢を見せると一段と買いが広がった。FRBの金利見通しも市場予想との大きな乖離を縮小し、投資家はインフレ対応でFRBへの信頼を取り戻し終日堅調推移を維持した。パウエル議長が0.75%の利上げが異例であることを強調し、金利がさらに低下するとハイテクの買いも強まった。VIX指数は32.69から29.62へ低下した。

 

NY外国為替市場:FOMC後に米長期金利低下でドル売り

ドル/円は、米連邦準備理事会(FRB)は14-15日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FF金利の誘導目標を1.50-1.75%に引き上げることを決定した。通常の3倍となる0.75%の大幅利上げは1994年11月以来27年半ぶりとなった。歴史的な高インフレの抑制へ、異例の大幅利上げに踏み切った。声明文には『委員会はインフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている』との文言を追加し、インフレ抑制への本気度を強調した。また、FF金利見通しでは2022年末時点の中央値が前回3月の1.9%から3.4%に大幅に引き上げられた。FOMC結果公表直後は短期金利市場で次回7月会合での0.75%利上げがほぼ織り込まれ、米金利上昇とドル高が進行。ドル/円は134.91円付近まで値を上げた。ただ、パウエルFRB議長がFOMC後の会見で『0.75%の利上げが一般的になるとは予想しない』『7月会合では0.50%か0.75%の利上げが選択肢となる公算』と発言すると、一転して米金利低下とドル安が進み一時133.48円と日通し安値を付けた。市場では『パウエルFRB議長の発言は警戒したほど今後の大幅利上げに前向きではなかった』と受け止められた。米10年債利回りはFOMC直後に付けた3.44%台から3.27%台まで急低下した。

 

ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)はこの日、イタリアなどの南欧諸国の国債利回りが足もとで急上昇したことを受けて、臨時の理事会を開き、金融政策の伝達メカニズムの機能を維持するためパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した債券の満期償還金再投資に柔軟性を適用する方針を表明した。この結果を受けて欧州債利回りが大幅に低下すると全般ユーロ売りが優勢となった。FOMC公表直後はドル高が進んだこともあり、一時1.0359ドルと5月13日以来約1カ月ぶりの安値を付ける場面があった。ただ、パウエルFRB議長の発言後に米金利低下とドル安が進むと、1.0470ドル付近まで持ち直している。

 

NY原油先物市場は大幅続落:需要見通しの不透明感強まる

NY原油先物市場は114.60ドル-119.61ドルのレンジ相場となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計で原油在庫が減少予想に反して積み増しとなったことで需給関係の緩みを意識した売りが強まった。米連邦公開市場委員会(FOMC)が大幅利上げを発表すると一時114.60ドルまで下落する場面があった。アジア市場で119.61ドルまで戻したが、ニューヨーク市場の中盤にかけて116ドル台前半まで反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果判明後に118ドル台に戻したが、需要見通しの不透明感は消えていないことから、売りが再び強まり、通常取引終了後の時間外取引で一時114.60ドルまで一段安となった。 

 

NY金先物市場は3営業日ぶりに反発:時間外鳥域で上げ幅拡大

NY金先物市場は1808.40-1845.40ドルのレンジ相場となった。米中長期金利が大幅に低下したことで金利が付かない資産である金には買いが入った。その後は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を前に調整売りが出たが、取引終了後にFOMCは0.75%の利上げを発表し、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が次回会合での大幅利上げに慎重姿勢を示すと、米金利が一段と低下した。金は買いが優勢となり、一時1845.4ドルまで買い上げられた。アジア市場の序盤に1808.40ドルまで売られたが、ドル高一服を受けて反転した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果判明前までは上げ渋っていたが、結果判明後に長期金利が大幅に低下したことから、一時1845.40ドルまで戻した。通常取引終了後の時間外取引では主に1830ドル台で推移した。

 

米国債券市場は大幅反発:過度な金融引き締めに対する警戒が後退

米国債券市場で中長期ゾーンは大幅反発(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.20%低い(価格は上昇)3.21%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.19%低い3.28%で終了した。米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍にあたる0.75%の利上げが決まると売りが強まる場面もあったが、パウエルFRB議長が会見で『0.75%の利上げが一般的になるとは予想しない』と発言すると一転買い戻しが優勢となった。市場では『警戒していたほどFRBが急激な金融引き締めを続けることに前向きではない』と受け止められたようだ。 

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