FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:地政学リスク後退から買い優勢

NYダウは338.30ドル高の35294.19ドル、ナスダックは264.74ポイント高の14619.64ポイントで取引を終了した。ロシアとウクライナの停戦交渉でかなりの進展が報じられ、停戦期待に寄り付き後は上昇し一時410ドル超上げた。雇用や住宅価格関連指標が予想を上回ったほか、企業の合併、買収の報道が投資家心理の改善に繋がった。長期金利の低下でハイテク株も続伸して相場を後押しし、終日堅調に推移した。VIX指数は19.63から18.90へ低下した。

 

NY外国為替市場:地政学リスクの後退からドル買いの巻き戻し

ユーロ/ドルは、トルコのイスタンブールで行われたロシアとウクライナの停戦交渉では、双方の代表団が『一定の進展があった』との見解を示したと伝わった。また、ロシア国防省はウクライナの首都キエフなど同国北部での軍事作戦を大幅に縮小すると発表した。停戦交渉進展への期待から欧米株相場の上昇とともにユーロ買い・ドル売りが進み、一時1.1137ドルと日通し高値を更新した。ただ、そのあとは急ピッチで上昇した反動が出たため、やや上値が重くなった。ブリンケン米国務長官は『ウクライナとの和平模索に向けて、ロシア側からは真剣である兆候を確認できない』などと発言した。 

 

ドル/円は、露・ウクライナの停戦交渉が進展するとの期待からユーロ/ドルが上昇すると円に対してもドル売りが先行した。米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りも入り、一時121.95円と日通し安値を更新した。市場では『足もとで急速に進んでいた円安の調整も重なった』との声が聞かれた。ただ、前日の安値121.97円が目先サポートとして意識されると下げ渋る展開になり一時122.95円付近まで下げ幅を縮めた。ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁はこの日の講演で、『政策金利の慎重かつ整然とした引き上げを見込んでいる』『3月を含めて今年7回の0.25%の利上げを想定している』と述べた一方、『インフレ高進が示された場合は次回会合での0.50%の利上げの選択肢も排除しない』との考えを示した。なお、同総裁は現在空席となっているボストン連銀総裁の代わりにFOMC投票権を有する。 

 

NY原油先物市場は続落:上海市のロックダウンやウクライナ情勢改善期待売り

NY原油先物市場は98.44ドル-107.84ドルのレンジ相場となった。この日に行われたロシア・ウクライナの停戦協議に進展があったとの見方が広がり、エネルギー供給懸念が後退するとの期待感が原油の売りを強めた。また、中国最大の経済都市上海市がロックダウン(都市封鎖)を始めたことが引き続き上値を圧迫し、5月限は一時100ドルを割り込んだ。ロンドン市場で107.84ドルまで買われたが、ウクライナ情勢の改善が期待されたことで一時98.44ドルまで反落。ただ、主要産油国は5月も小幅な増産ペースの維持を決定する可能性が高いこと、ロシアとウクライナの停戦交渉で顕著な進展はなかったことから、一時105.47ドルまで戻した。

 

NY金先物市場は下落:地政学リスの後退から売り優勢

NY金先物市場は1893.20-1934.40ドルのレンジ相場となった。ロシア・ウクライナの停戦交渉が行われ、協議後に双方の代表団が協議進展に楽観的な見方を示したことを受けて、投資家のリスク警戒感が後退した。安全資産とされる金は売りに押され、約2週間ぶりの安値をつけた。アジア市場で1934.40ドルまで買われたが、その後は伸び悩んだ。欧米株式の上昇を警戒した売りが強まり、一時1893.20ドルまで下落した。ただ、ウクライナ情勢は流動的であり、一部で安全逃避的な買いが観測された。通常取引終了後の時間外取引で1926.40ドルまで戻している。

 

米国債券市場はまちまち:2年債と10年債が一時『逆イールド』

米国債券市場で中期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)2.37%で終了した。また、長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.07%低い(価格は上昇)2.39%で終了した。原油先物相場の下落でインフレ懸念が後退し、長期債が買われ利回り曲線の平坦化が進んだ。2年債利回りが一時10年債利回りを上回る『逆イールド』が発生する場面もあった。 

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