★米国株式市場は上昇:停戦期待や原油下落を好感して買い優勢に
NYダウは94.65ドル高の34955.89ドル、ナスダックは185.60ポイント高の14354.90ポイントで取引を終了した。バイデン政権が28日公表した予算教書で、超富裕層や企業に対する増税が明らかになり、寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)の急激な利上げで、景気減速に陥るとの懸念も浮上し、終日軟調に推移した。しかし、引けにかけ、ロシアとウクライナの2週間ぶりの対面協議を控えた停戦期待に下げ幅を縮小した。また、原油先物相場の下落で消費関連銘柄の一角に買いが入ると相場はプラス圏を回復した。さらに、金利低下に伴うハイテク株の上昇が相場を押し上げた。VIX指数は20.81から19.63へ低下した。
★NY外国為替市場:日米金融政策の方向性の違いで円売り強まる
ドル/円は、日銀が金利上昇を強力に抑え込むための措置として、特定の利回りで国債を無制限に一定期間買い続ける『連続指し値オペ』を初めて実施すると通知した。大規模な金融緩和策を継続する日銀と積極的な金融引き締めに動く方針を示す米連邦準備理事会(FRB)の方向性の違いが改めて意識されて、円売り・ドル買いが広がった。節目の124.00円や125.00円を上抜けて断続的にストップロス注文を巻き込むと、一時125.10円と2015年8月以来約6年7カ月ぶりの高値を付けた。ただ、NY市場では123.17円付近まで伸び悩む場面があった。急ピッチで上昇した反動でポジション調整目的の売りが出たほか、米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが入った。125円台は黒田東彦日銀総裁が15年6月に懸念を示した『黒田ライン』としても意識される。もっとも、引けにかけては123.90円付近まで強含むなど、押し目買い意欲は旺盛で下押しは限定的だった。
ユーロ・ドルは、一時1.0947ドル付近まで売られる場面もあったが、アジア時間に付けた日通し安値1.0945ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢になった。ユーロクロスの上昇につれたユーロ買い・ドル売りが入り、一時1.0999ドルと本日高値に面合わせする場面があった。なお一部通信社が報じたところによると、ロシア代表団がウクライナとの停戦協議のためトルコのイスタンブールに到着した。停戦交渉は明日29日に始まる見通しとなった。市場では『キエフ攻防戦などで苦戦するロシア側が、交渉で態度を軟化させるかどうかが焦点』との声が聞かれた。
★NY原油先物市場は大幅反落:過度な供給懸念が後退
NY原油先物市場は102.83ドル-112.93ドルのレンジ相場となった。ロシア・ウクライナの停戦合意への期待感が強まり、過度な供給懸念が後退したことや、中国でロックダウン(都市封鎖)の地域が広がり、経済活動の減速に伴いエネルギー需要が鈍化するとの警戒感が原油相場の上値を圧迫した。アジア市場の序盤で112.93ドルまで買われたが、まもなく反落した。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成するOPECプラスは、石油消費国が供給増を呼び掛けているにもかかわらず、5月も小幅な増産ペースの維持を決定する可能性が高い。通常取引終了後の時間外取引で102.83ドルまで下落した。
★NY金先物市場は続落:リスク回避ムード後退で売り優勢に
NY金先物市場は1915.70-1959.80ドルのレンジ相場となった。ロシア・ウクライナの停戦協議への期待感でリスク回避ムードが緩んだことや、米長期金利が高止まりしていることが重しとなり、金先物は売りに押される動きとなった。アジア市場の序盤で1959.80ドルまで買われたが、その後は伸び悩みとなった。米長期金利は低下したが、米国株式の反転やドル高を嫌気した売りが強まり、通常取引終了後の時間外取引で1915.70ドルまで下落した。
★米国債券市場はまちまち:長期ゾーンは自立反発狙いの買い
米国債券市場で中期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.06%高い(価格は下落)2.33%で終了した。また、長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)2.46%で終了した。足もとで相場下落が続いたあとだけに自律反発狙いの買いが入ったほか、原油安でインフレへの懸念が和らいだことが債券買いを誘った。
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