FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は続落:露への追加制裁と3月FOMCでの利上げを警戒した売り

NYダウ229.88ドル安の32944.19ドル、ナスダックは286.15ポイント安の12843.81ポイントで取引を終了した。ロシアのプーチン大統領がウクライナとの停戦交渉で前向きな動きがあると発言したとの報道で、停戦期待に寄り付き後は上昇した。しかし、3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想を下回ったほか、欧州訪問中のハリス副大統領やウクライナ外相がプーチン大統領が外交手段に前向きな姿勢は見られないと報道を否定したため停戦期待が後退し上げ幅を縮小した。バイデン大統領が追加制裁を発表したほか、3月FOMCでの利上げを警戒した売りも強まり、引けにかけて下げに転じた。VIX指数は30.23から30.75へ上昇した。

 

NY外国為替市場:日米金融政策の方向性の違いによる円売り強まる

ドル/円は、米労働省が前日発表した2月米消費者物価指数(CPI)は約40年ぶりの高い伸びを記録した。来週15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが確実視される中、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが優勢となり、一時117.36円と2017年1月以来約5年2カ月ぶりの高値を更新した。なお、17-18日の日銀金融政策決定会合では、足もとで物価の上昇圧力が高まる中でも、緩和的な金融政策スタンスの維持が見込まれている。

 

ユーロ/ドルは、欧州市場では、プーチン露大統領が『ウクライナとの交渉で一定の前向きな動きがあった』と述べたと伝わり、一時1.1043ドルと日通し高値を付ける場面があった。ただ、NYの取引時間帯に入ると軟調に推移した。ウクライナ情勢を巡る懸念が根強い中、クレバ・ウクライナ外相が『前日のロシアとの協議では、プーチン氏が言及した進展は見られなかった』との見解を示したことが相場の重しとなり、一時1.0902ドルと日通し安値を更新した。 

 

カナダドルは全面高となった。カナダ統計局が発表した2月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が33.66万人増と予想の16.00万人増を上回り、失業率が5.5%と予想の6.2%より強い内容となったことを受けてカナダドル買いが広がった。対米ドルでは一時1.2694カナダドル、対ユーロでは1.3858カナダドル、対円では92.31円まで上昇した。

 

NY原油先物市場は反発:地政学リスクが供給の妨げになるとの見方

NY原油先物市場は104.18ドル-110.29ドルのレンジ相場となった。プーチン露大統領がウクライナとの停戦交渉について『一定の前向きな変化』としたものの、ウクライナ外相は『前日のロシアとの協議では進展はゼロだった』と否定した。地政学リスクが供給の妨げになり続けるとの見方が、原油相場を押し上げた。アジア市場で104.48ドルまで下げたが、まもなく反転し、ロンドン市場で110ドル台に戻した。ニューヨーク市場の序盤で一時104.89ドルまで反落したが、ウクライナ情勢は流動的であり、中盤にかけて110.29ドルまで買われた。通常取引終了後の時間外取引では109ドルを挟んだ水準で推移した。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週比8基増加の527基となった。

 

NY金先物市場は反落:ウクライナ情勢に振れる展開

NY金先物市場は1960.60-2004.00ドルのレンジ相場となった。ウクライナ情勢について、プーチン露大統領が停戦交渉に『一定の前向きな変化』としたことで、安全資産の金を売る動きが先行した。しかし、ウクライナ外相が『前日のロシアとの協議では進展はゼロだった』と否定したことで買い戻された。一時1964.80ドルまで売られたが1998.50ドルと、昨日終値2000.4ドル手前まで戻す場面もあった。アジア市場の序盤で2004.00ドルまで買われたが、利食い売りが増えたことで伸び悩み、ニューヨーク市場の序盤にかけて1960.60ドルまで売られた。ただ、ウクライナ情勢は流動的であり、安全逃避の買いが再び増えたことで1994.30ドルまで反発した。通常取引終了後の時間外取引では1990ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

米国債券市場はまちまち:プーチン露大統領の発言で売り先行

米国債券市場で中期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.05%高い(価格は下落)1.75%で終了した。また、米長期ゾーンは変わらずで終了した。米10年物国債利回りは前営業日比変わらずの1.99%で終了した。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げがほぼ確実視される中、プーチン露大統領の発言が材料となり債券売りが先行した。ただ、クレバ・ウクライナ外相がプーチン氏の発言を否定すると買い戻しが入り持ち直した。米国株の失速も相場を下支えした。 

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