FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:ウクライナ情勢への懸念を背景に値動きの荒い展開

NYダウは184.74ドル安の32632.64ドル、ナスダックは35.41ポイント安の12795.55ポイントで取引を終了した。バイデン大統領によるロシア産原油禁輸計画の発表を控えた原油高を警戒し、寄り付き後は下落した。その後、ウクライナのゼレンスキー大統領がNATO(北大西洋条約機構)加盟主張を断念する可能性など妥協姿勢を示したとの報道を受けて、停戦期待に一時買戻しが加速し大幅上昇に転じた。しかし、不透明感が払しょくできず、さらに、燃料価格上昇に伴うインフレ高進への懸念も重しとなり、引けにかけ再び下落した。ウクライナ情勢への懸念を背景に荒い値動きとなった。 VIX指数は36.45から34.95へ低下した。

 

NY外国為替市場:安全通貨としてのドルに資金流入

ユーロ/ドルは、『欧州連合(EU)は大規模な共同債発行を検討。調達した資金は防衛費やエネルギー価格高騰への対応にあてる』との報道を手掛かりにユーロ買いが入った半面、ウクライナ情勢への懸念を背景に商品価格が高騰するとユーロ圏経済への悪影響を警戒した売りが出たため、しばらくは1.0900ドルを挟んだもみ合いの展開が続いた。ただ、NY午後に入ると一時1.0958ドルの本日高値まで強含んだ。『ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)加盟を主張しない意向』との報道が伝わり、停戦への期待が高まると投資家のリスク回避姿勢が後退し、これまで売られてきたユーロを買い戻す動きが活発化した。もっとも、AFPが報じたこの報道は前日にABCが同様の内容を報じており、次第に『オールドニュース』との認識が広がった。一時は580ドル超急伸したNYダウが再び下げに転じるとユーロ/ドルも1.0895ドル付近まで下押しした。 

 

ドル/円は、エネルギー価格の高騰が世界景気を冷やすとの懸念から、安全通貨としてのドルに資金が流入し、一時115.79円と日通し高値を更新した。市場では『ウクライナ情勢悪化で有事のドル買いが入りやすい地合い』との声が聞かれたほか、『SWITF(国際銀行間通信協会)システムからの一部ロシア金融機関排除といった制裁をきっかけとしたドルタイト感の高まりも背景にある』との指摘があった。その後の下押しも115.42円付近にとどまった。なお、バイデン米大統領はウクライナに侵攻を続けるロシアへの追加経済制裁として、ロシア産の原油、液化天然ガス(LNG)などエネルギーの輸入を全面的に禁止すると発表。英政府もロシア産原油の輸入を年末までに打ち切る方針を示したことで、WTI原油先物価格は一時129.44ドルまで急伸した。 

 

NY原油先物市場は3営業日続伸:英米でロシア産原油の輸入禁止を発表

NY金先物市場は117.07ドル-129.44ドルのレンジ相場となった。欧米諸国がロシアのウクライナ侵略の制裁として、ロシア産原油の輸入停止を検討するとして、本日は英国、米国が禁輸を発表した。昨日の時間外取引でつけた2008年7月以来、13年8カ月ぶりの高値130.50ドルにはとどかなかったものの、一時129.44ドルと前日比で10ドルを超える上昇となった。しかし、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を主張しないとの報道が伝わった。露・ウクライナ停戦の期待で原油供給状況が改善へ向かうとの見方が浮上。119.62ドル前後へ下振れ、上昇幅をほぼ帳消しにする場面もあった。アジア市場で117.07ドルまで下げたが、ニューヨーク市場の序盤にかけて129.44ドルまで反発した。アメリカはロシア産原油の輸入禁止を決めており、一時120ドルを下回ったが、需給ひっ迫の状態が続くとみられており、121.88ドルまで戻した。通常取引終了後の時間外取引では、125ドルを挟んだ水準で推移している。 

 

NY金先物市場は4営業日続伸:停戦の期待高まり上げ幅縮小

NY金先物市場は1985.80-2078.80ドルのレンジ相場だった。ウクライナ情勢の緊迫化を材料に2078.8ドルまで上伸した。しかし、ウクライナがロシアの意向に沿って北大西洋条約機構(NATO)加盟を主張しないとの報道が伝わった。停戦の期待が高まり、リスク回避姿勢が後退した。安全資産とされる金を買う動きが弱まり、一時2027ドル付近まで上昇幅を縮小した。アジア市場で1985.80ドルまで下げたが、まもなく反転し、ロンドン市場で2027.80ドルまで買われた。ニューヨーク市場の中盤にかけて2078.80ドルまで一段高となった。その後、一時2027.10ドルまで下げたが、通常取引終了後の時間外取引で2060ドル台に再浮上している。

 

米国債券市場は続落:インフレ加速を警戒する売り優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.05%高い(価格は下落)1.59%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.08%高い1.85%で終了した。ウクライナ情勢の緊迫化でエネルギー価格が高騰すると、インフレ加速を警戒する売りが広がった。

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