FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:世界景気が冷え込むとの懸念から売り

NYダウは797.42ドル安の32817.38ドル、ナスダックは482.48ポイント安の12830.96ポイントで取引を終了した。原油価格の高騰でインフレ高進や景気後退への懸念が強まり、寄り付き後は下落した。ロシアとウクライナの3回目の停戦交渉で進展がなかったほか、議会超党派がロシア産原油・エネルギー製品の輸入禁止と、同国およびベラルーシとの通常の貿易関係を解消する内容を盛り込む法案で合意したとの報道で引けにかけて下げ幅を拡大した。主要国によるロシアへの制裁強化で世界景気が冷え込むとの懸念から投資家心理が悪化した面もあり、一時800ドル超下落した。VIX指数は31.98から36.45へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇と有事のドル買い強まる

ユーロ/ドルは、緊迫化するウクライナ情勢を背景に、欧州の天然ガス価格が前週末比で一時60%超高まで急騰するなど、エネルギー価格が高騰した。ユーロ圏経済の物価上昇と景気悪化が同時進行するスタグフレーションへの懸念が強まり、ユーロ売りが広がった。欧州市場では一時1.0806ドルと2020年5月以来の安値を付けた。ただ、NYの取引時間帯に入ると下げ渋る展開になった。週明け早朝取引で一時1バレル=130ドルを超え約13年8カ月ぶりの高値まで急上昇したWTI原油先物価格が失速したためユーロを買い戻す動きが先行した。ウクライナとロシアの第3回停戦協議への期待も相場を下支えし、一時1.0932ドル付近まで持ち直した。もっとも、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。停戦協議では『有意義な結果は得られなかった』と伝わり、先行きの不透明感が高まると1.0846ドル付近まで押し戻されている。

 

ドル/円は、対ユーロ中心にドル買いが進むと、円に対してもドル買いが先行した。米10年債利回りが1.80%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、一時115.47円と日通し高値を更新した。資源国通貨に対してもドル高が進んだ。ただ、前週末の高値115.55円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。NYダウが一時800ドル超下落したことも相場の重しとなり、115.24円付近まで下押しする場面があった。

 

NY原油先物市場は続伸:需給ひっ迫懸念高まり買い優勢

NY原油先物市場は115.54ドル-130.50ドルのレンジ相場となった。欧米諸国がロシアのウクライナ侵略の制裁として、ロシア産原油の輸入停止を検討するとの見方から2008年7月以来、13年8カ月ぶりの高値水準130ドル台まで時間外取引で買いが先行した。ドイツが禁輸に慎重な姿勢を示したことから上昇幅を縮小したものの、高止まり状態といえた。アジア市場の序盤で130.50ドルまで買われており、一段高となった。ニューヨーク市場の序盤にかけて115.54ドルまで下げたが、ウクライナ情勢のすみやかな改善は期待できないため、需給ひっ迫の懸念が高まり、121.88ドルまで戻している。通常取引終了後の時間外取引では120ドルを挟んだ水準で推移している。 

 

NY金先物市場は3営業日続伸:リスク回避の動きが強まり買い優勢

NY金先物市場は1964.20-2007.50ドルのレンジ相場となった。ウクライナ情勢の緊迫化や世界的な株価下落など、リスク回避の地合いが強まっている。安全資産とされる金を買う動きが続き、時間外取引では一時2007.5ドルと2020年9月以来、1年半ぶりの2000ドル台乗せとなった。ロンドン市場で2007.50ドルまで買われた後、ニューヨーク市場の序盤にかけて1964.20ドルまで反落したが、株安を意識して通常取引終了後の時間外取引で2000ドル台に再浮上している。

 

米国債券市場は下落:インフレ加速懸念から売り優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.06%高い(価格は下落)1.54%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.04%高い1.77%で終了した。ウクライナ情勢の緊迫化でエネルギー価格が上昇傾向を強めると、インフレ加速を警戒する売りが広がった。 

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