FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:ウクライナ戦争激化への懸念から売り優勢

NYダウは179.86ドル安の33614.80ドル、ナスダックは224.50ポイント安の13313.44ポイントで取引を終了した。ロシアがウクライナ、欧州で最大の原発を制圧したことを警戒したアジアや欧州市場の流れを継いで寄り付き後は下落した。その後、2月雇用統計の予想以上に強い結果を受けて、下げ幅を縮小した。しかし、ウクライナ戦争激化への懸念を拭えず終日軟調に推移した。また、紛争の長期化が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念も強まり、一時540ドル超下げた。VIX指数は30.48から31.98へ上昇した。

 

NY外国為替市場:地政学リスクの高まりからドル買い・円買い優勢に

ユーロ/ドルは、ロシア軍はこの日、ウクライナ南東部にある欧州最大規模のザポリージャ原子力発電所を制圧した。ロシアによる原発攻撃で地政学リスクへの懸念が一段と強まり、ユーロ売り・ドル買いが広がった。また、緊迫化するウクライナ情勢を背景に、欧州の天然ガス価格は連日で史上最高値を更新した。ユーロ圏経済の物価上昇と景気悪化が同時進行するスタグフレーションへの懸念も強まり、ユーロ売りを誘い一時1.0886ドルと2020年5月以来の安値を付けた。もっとも、NY午後に入ると下げ渋る展開になった。足もとで相場下落が続いたあとだけに、週末を控えたポジション調整目的の買いが入った。なお、ウクライナとロシアの3回目の停戦協議は5日または6日に開かれる予定と伝わったが、停戦実現に向けた両国の立場は大きく異なり、進展が望めるかは不透明となっている。プーチン露大統領はショルツ独首相との電話会談で『ロシアの要求がすべて満たされることが条件』と改めて強調した。

 

ドル/円は、ウクライナ情勢の一段の緊迫化が投資家心理を冷やし、欧州株中心に株価が下落した。リスク回避の円買いが優勢となり、一時114.62円と2月24日以来の安値を付けた。米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りも入った。なお、米労働省が発表した2月米雇用統計では非農業部門雇用者数は前月比67.8万人増と予想の40.0万人増を上回り、失業率は3.8%と予想の3.9%より強い内容となったが、ウクライナ情勢への警戒感が強く相場への影響は限られた。

 

NY原油先物市場は大幅に反発:米国がロシア産原油の輸入禁止を検討

NY原油先物市場は107.25-116.02ドルのレンジ相場となった。ウクライナにある欧州最大の原子力発電所でもあるザポリージャ原発をロシア軍が占拠したことで、ウクライナ情勢の悪化懸念が高まり堅調に推移していた。引け前には一部通信社がツイッターで『ホワイトハウスがロシア産原油の輸入禁止を検討中』と報じたことで、上げ幅を広げて引けた。ロンドン市場で107.25ドルまで下落したが、なったが、米国はロシアからの石油輸入を禁止することを検討していると報じられたことから、需給ひっ迫の懸念が高まり、通常取引終了後の時間外取引で一時116.02ドルまで一段高となった。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週比3基減少の519基となった。

 

NY金先物市場は大幅に続伸:リスク回避の動き強まり買い優勢

NY金先物市場は1931.50-1973.70ドルのレンジ相場となった。ウクライナにある欧州最大の原子力発電所・ザポリージャ原発を、ロシア軍が占拠したことで、リスク回避の動きが加速した。安全資産とされる金先物は徐々に上げ幅を広げ、大幅に続伸して引けた。アジア市場で1931.50ドルまで売られたが、ロンドン市場で1950ドルを回復した。安全逃避の買いが強まり、ニューヨーク市場でも堅調に推移した。株安を意識して通常取引終了後の時間外取引で1973.70ドルまで買われている。 

 

米国債券市場は上昇:ウクライナ情勢の一段の緊迫化で買い優勢

米国債市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は上昇)1.48%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.11%低い1.73%で終了した。ウクライナ情勢の一段の緊迫化で、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。市場では『週末にウクライナ情勢が動くことを見越して米国債に資金を逃避させる動きがあった』との声が聞かれた。

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