FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米経済指標の悪化やウクライナ情勢の混迷で売り優勢

NYダウは96.69ドル安の33794.66ドル、ナスダックは214.08ポイント安の13537.94ポイントで取引を終了した。ロシアとウクライナの停戦交渉2回目への期待に、寄り付き後は上昇した。しかし、2月ISM非製造業景況指数が予想外に悪化、さらに、ロシアのプーチン大統領が軍事作戦の目的を必ず遂行すると、強硬姿勢を維持する姿勢を強調したため警戒感が再燃し、下げに転じた。ロシア、ウクライナ両国代表が次回交渉開催で合意したとの報道を受けて一時下げ止まったものの、警戒感は払しょくせず終日軟調推移が継続した。航空機のボーイングが大きく下落し、1銘柄でNYダウを55ドルほど押し下げた。VIX指数は30.74から30.48へ低下した。

 

NY外国為替市場:停戦実現への進展の不透明感からユーロ売り優勢

ユーロ/ドルは、ウクライナとロシアの第2回停戦協議への期待から、いったんは下げ渋る場面もあったが、プーチン露大統領がマクロン仏大統領と電話会談し、『いかなる場合でもウクライナでの軍事作戦の目的は遂行される』と強硬姿勢を表明したことから、市場のリスク警戒ムードは払拭されず戻りは鈍かった。停戦協議中にもかかわらず、ロシア軍によるウクライナでの軍事行動が継続されたことも嫌気され、一時1.1034ドルと20年5月以来の安値を更新した。なお、ウクライナ大統領府顧問は『交渉で期待した結果は得られなかったが、民間人避難のための人道的回廊を共同で設置する案について理解が得られた』『両国は近く3回目の停戦協議を実施することで合意した』と明らかにした。また、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は停戦交渉継続の意思は示しつつも『妥協できない点もある』と述べ、難航を示唆した。停戦実現に向けた両国の立場は大きく異なり、今後の対話で進展が望めるかは依然として不透明だ。

 

ドル/円は、緊迫化するウクライナ情勢を背景に欧州株相場が大幅に下落すると、リスク回避の円買い・ドル売りが先行した。2月米ISM非製造業指数が56.5と予想の61.0を下回ったことも相場の重しとなり、一時115.39円と日通し安値を更新した。ただ、対ユーロなどでドル高が進んだ影響を受けたため、ドル/円の下値は限定的だった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、前日の米下院での証言に続き、米上院銀行委員会で議会証言に臨んだ。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを行う意向を改めて表明したほか、『インフレ高止まりなら、1回もしくは複数回の会合にわたりそれ以上の利上げを行う用意がある』と述べ、今後の物価動向次第では利上げ幅が変わる可能性に改めて言及した。

 

NY原油先物市場は4日ぶりに反落:利食い売り増加で上値の重い展開

NY原油先物市場は106.43ドル-116.57ドルのレンジ相場となった。ウクライナ情勢の混迷化で一時2008年9月以来となる116ドル台まで原油先物は上昇した。しかし、ウィーンで開かれているイランとの核合意再建交渉について『イランが72時間以内で合意を受け入れる』との報道が流れると、106.43ドルまで急落した。なお、会談後イランは『残された問題が全て解決するまで、合意に達したとはだれも言えない』と慎重な姿勢を見せた。アジア市場で116.57ドルまで一段高となったが、ニューヨーク市場の序盤にかけて利食い売りが増えたことによって106.43ドルまで反落した。ただ、需給ひっ迫の状態が短期間で解消される見込みは薄いことから、111.70ドルまで戻す場面があった。通常取引終了後の時間外取引では、主に108ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は反発:ウクライナ情勢の混迷で買い優勢

NY金先物市場は1923.10-1944.60ドルのレンジ相場となった。ロシア軍が欧州最大の原子力発電所でもあるザポリージャ原発の占拠を企てようとしている、と報じられるなどウクライナ情勢が混迷を含めている。欧州株も大幅に反落するなど、リスク回避の動きが優勢となり、避難通貨としての金先物価格は反発した。アジア市場で1923.10ドルまで売られたが、ロンドン市場で1941.40ドルまで反発した。ニューヨーク市場で一時1924.20ドルまで下げたが、株安を意識して通常取引終了後の時間外取引で1944.60ドルまで買われている。 

 

米国債券市場はまちまち:紛争の長期化への警戒感から買い優勢

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)1.53%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)1.84%で終了した。ウクライナとロシアの第2回停戦協議では『交渉継続で合意』したものの、紛争の長期化への警戒感は根強く、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。市場では『双方の歩み寄りは困難で、戦況の泥沼化への懸念が一段と高まっている』との声が聞かれた。


カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ