FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅反発:ソフトランディング期待による安心感から買い

NYダウは596.40ドル高の33891.35ドル、ナスダックは219.56ポイント高の13752.02ポイントで取引を終了した。ロシアとウクライナが2回目の停戦協議を計画していることが明らかになったほか、民間雇用動向を示すADP雇用統計の2月分の予想を上回る強い結果を好感し、寄り付き後は上昇した。その後、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が下院金融サービス委員会での半期に一度の証言において、3月連邦公開市場委員会(FOMC)での25ベーシスポイントの小幅利上げを支持する姿勢を見せると同時に、ウクライナ戦争を巡る不透明性が強く、注意深く利上げを実施していく方針を示したため、過剰な利上げにより景気が損傷するとの警戒感が後退した。さらに、ソフトランディングが可能と自信を示したため安心感が強まり終日堅調に推移した。VIX指数は33.32から30.74へ低下した。

 

NY外国為替市場:パウエル米FRB議長のインフレ警戒発言からドル買い

ユーロ/ドルは、WTI原油先物価格が1バレル=112ドル台半ばまで急伸し、2011年5月以来約10年10カ月ぶりの高値を更新すると、エネルギーコストの上昇がユーロ圏経済の重しになるとの見方から全般ユーロ売りが先行し、一時1.1058ドルと20年5月以来の安値を付けた。良好な米雇用指標を受けて米長期金利が大幅に上昇したこともユーロ売り・ドル買いを誘った。一方、本日行われる見通しだったウクライナとロシアの2回目の停戦交渉は3日以降になりそうだとの報道が伝わった。両国の立場は隔たりが大きいものの、停戦交渉の継続自体は投資家心理の改善につながり、NYダウが一時710ドル超上昇した。ユーロ/ドルにも買い戻しが入り、一時1.1143ドルと日通し高値を更新した。なお、停戦交渉を巡ってロシア側は『2回目の交渉に向けてウクライナ代表団が3日朝にベラルーシに到着し、停戦について協議する見込み』との見解を示したものの、『ウクライナ側は3日の交渉開催に疑問を投げ掛けた』と報じられている。 

 

ドル/円は、2月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が47.5万人増と予想の38.8万人増を上回ったことが分かると円売り・ドル買いが先行した。前月分が30.1万人減から50.9万人増に大幅に上方修正されたことも相場の支援材料となり、一時115.69円と日通し高値を更新した。なお、市場では『大幅な修正はADPの信頼性を損なう』『1月の大幅修正はADPの数値にノイズが多いことを示している』との指摘があった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこの日、米下院金融サービス委員会で『今月のFOMCでは0.25%の利上げを支持する方向に傾斜』と述べた一方、『インフレ高止まりなら、1回もしくは複数回の会合にわたり0.50%の利上げを行い、積極的に対応する』『ウクライナ情勢でも利上げ意欲は変わらない』と語り、随所にインフレへの警戒感をにじませた。米10年債利回りが1.90%台まで大幅に上昇したこともドル買いを誘った。 

 

NY原油先物市場は3日続伸:OPECプラスワンで大幅追加増産なく買い

NY原油先物市場は105.18ドル-112.51ドルのレンジ相場となった。ウクライナ情勢の悪化による供給懸念で、WTI原油先物は一時2011年5月以来約10年10カ月ぶりとなる112.51ドルまで急騰した。また、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による『OPECプラス』は、4月の生産を日量40万バレル引き上げると発表したが、市場が期待する大幅な追加増産ではなかったことも原油先物の上げ幅を広げた。なお、米エネルギー省(EIA)週間原油在庫は積み増し予想が、取り崩しとなった。一方で、ガソリン在庫の取り崩し幅は予想よりも少なかった。原油先物はニューヨーク市場の序盤で2011年5月以来となる112.51ドルまで買われた後、一時105.18ドルまで反落したが、需給ひっ迫の状態が短期間で解消される見込みは薄いとの思惑が広がり、通常取引終了後の時間外取引で112ドル台まで戻している。 

 

NY金先物市場は反落:パウエル米FRB議長発言で米長期金利上昇を嫌気

NY金先物市場は1916.00-1951.40ドルのレンジ相場となった。連日ウクライナ情勢の悪化で、リスク回避の動きで堅調に推移していた金先物価格だが、原油先物以外はリスク回避の巻き戻しが入ったことで3日ぶりに反落した。パウエルFRB議長が下院の議会証言で、インフレに対する警戒感を示したことにより、米債の売りが進み、米金利が上昇したことで、金利のつかない金先物は下げ幅を広げた。アジア市場で1951.40ドルまで買われたが、ロンドン市場で1916.00ドルまで反落した。ニューヨーク市場では、米長期金利の反発や欧米株高をにらんで1938.00ドルまで戻した後は上げ渋った。通常取引終了後の時間外取引では1930ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は大幅反落:米国株高やインフレ警戒発言から売り優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは大幅反落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.17%高い(価格は下落)1.51%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.13%高い1.87%で終了した。ウクライナとロシアによる第2回停戦協議への期待から米国株が大幅に反発すると、相対的に安全資産とされる米国債には売りが出た。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言で、インフレに対する警戒感を強く示したことも債券売りを促した。

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