FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:ハイテク株上昇で下げ幅縮小して終了

NYダウは166.15ドル安の33892.60ドル、ナスダックは56.78ポイント高の13751.40ポイントで取引を終了した。ウクライナ危機を受け政府はロシア中銀との取引禁止を発表するなど、対ロ制裁を強化したため、寄り付き後は下落した。ロシアのプーチン大統領も報復制裁を発表すると、警戒感が強まり一時580ドル超まで下げ幅を拡大した。同時に、ロシアとウクライナが初の停戦協議を開催、一定の成果が見られ、近く2度目の開催で合意したことが報じられたほか、金利の低下に伴うハイテク株の上昇にも支えられ、引けにかけダウは下げ幅を縮小した。VIX指数は27.59から30.15へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利低下でドル売りやや優勢

ドル/円は、ウクライナとロシアの代表団が停戦を巡る協議を開始したと伝わると、停戦交渉への期待から米国株が下げ渋り、ドル/円にも買い戻しが入る場面があった。ただ、停戦実現に向けた両国の立場は大きく異なり、今後の対話で進展が望めるかは不透明。ロシア側は停戦の条件としてウクライナの非武装化・中立化、現政権の責任追及などを要求した一方、ウクライナ側はウクライナ領とクリミア半島からのロシア軍撤退を求めた。不透明感を嫌気してNYダウが580ドル超下落すると、リスク回避の円買いが優勢となり、週明け早朝取引で付けた114.90円を下抜けて一時114.82円まで値を下げた。なお、この日も首都キエフ近郊などウクライナ各地で両国軍の戦闘が報じられた。米国の衛星画像ではロシア軍がキエフに接近していることが確認されており、ロシア軍はキエフに突入する構えを崩していない。米国防総省高官は『ロシア軍が数日間でキエフの包囲を狙う』との見通しを示した。 

 

ユーロ/ドルは、ウクライナとロシアはベラルーシ南東部のウクライナとの国境地帯で停戦を巡る協議を実施したものの、双方の立場は隔たりが大きく、今後の対話で進展が望めるかは不透明。安全資産とされる米国債は買われ、米長期金利の指標である米10年債利回りは一時1.81%台まで低下した。米金利の動きに連れてドルも弱含み、ユーロドルは一時1.1246ドルと日通し高値を付けた。市場では『マーケット混乱回避のため米連邦準備理事会(FRB)が3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の大幅利上げに動きにくくなった』との見方が強まっており、ドルの重石となった面もあった。

 

NY原油先物市場は大幅反発:利食い売り後に再び買戻し

NY原油先物市場は94.43ドル-99.10ドルのレンジ相場となった。週末にロシアに対して国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する追加の金融制裁を科すことで合意したことで、早朝の時間外では99ドル台まで上昇して始まった。その後、ウクライナとロシアの和平交渉が始まったことなどもあり、上げ幅は大きく削ったが、依然として欧州でのエネルギー不安が高いことで先週末比では大幅に反発して引けた。アジア市場で99.10ドルまで買われたが、その後はウクライナウ情勢をにらんで利食い売りが増えたことで伸び悩み、ニューヨーク市場の中盤にかけて94.43ドルまで反落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引で買い戻しが入り、96ドル近辺で推移している。

 

NY金先物市場は反発:西側諸国とロシアの対立深まり買い優勢に

NY金先物市場は1892.20-1935.20ドルのレンジ相場となった。週末にロシアに対して国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する追加の金融制裁を科すことで合意するなど、ウクライナ情勢をめぐる西側諸国とロシアとの対立が深まり、リスク回避の動きで安全資産とされる金先物に買いが集まった。もっとも、ウクライナとロシアの和平交渉が第2ラウンドまで開かれることが決まると、徐々に上げ幅を縮めた。アジア市場で1935.20ドルまで買われたが、ウクライナ情勢の進展をにらんでニューヨーク市場の中盤に1892.20ドルまで反落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引では株安を意識して1900ドル台を回復している。 

 

米国債券市場は上昇:世界経済の先行き不透明感強まり買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.15%低い(価格は上昇)1.42%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.14%低い1.82%で終了した。ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米諸国がロシアに厳しい経済制裁を発動した。世界経済の先行き不透明感が強まり、相対的に安全資産とされる米国債には買いが集まった。市場では『月末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入った』との声も聞かれた。 

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