FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:ロシアとウクライナでの停戦交渉期待から買い優勢

NYダウは834.92ドル高の34058.75ドル、ナスダックは221.05ポイント高の13694.63ポイントで取引を終了した。ロシアのプーチン大統領がウクライナと高官レベルの協議に前向きだとの報道を受け投資家心理が改善し、寄り付き後は上昇した。停戦交渉への期待に加え、1月耐久財受注や個人消費支出(PCE)、2月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が予想を上回る経済指標の強い結果も手伝い、終日堅調に推移した。また、「米証券取引委員会(SEC)は新規制でヘッジファンドの株式ショートの情報開示拡大を求める」との報道も好感された。さらに引けにかけて、疾病管理予防センター(CDC)がマスク規制の緩和を発表すると、景気回復期待がさらに強まり、上げ幅を拡大した。VIX指数は30.32から27.59へ低下した。

 

NY外国為替市場:ウクライナの緊迫化和らぎドル売り・円売り

ユーロ/ドルは、ウクライナのゼレンスキー大統領が声明でプーチン露大統領に対して停戦交渉を提案したほか、ロシア側もウクライナと交渉するため『ベラルーシの首都ミンスクに代表団を送る用意がある』と表明し、協議に応じる姿勢を示した。ロシアとウクライナの停戦交渉への期待が浮上し、欧米株価が大幅上昇すると投資家のリスク回避姿勢が和らぎユーロを買い戻す動きが強まり、一時1.1274ドルと日通し高値を更新した。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁がユーロ圏財務相会合後に『ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ユーロ圏の物価安定と金融安定の確保に必要なことは全て実施する用意がある』と表明したことも相場を下支えした。同総裁は『インフレは短期的に高くなる公算が大きい』『次の措置について3月10日の理事会で分析する』とも語った。

 

ドル/円は、ロシア政府がウクライナとの停戦交渉に臨む考えを表明し、紛争が早期に終結するとの期待が高まると、欧米株価が大幅に上昇。投資家のリスク志向が改善し円売り・ドル買いが優勢になった。前日の高値115.69円を上抜けて一時115.76円まで値を上げた。ただ、16日の高値115.79円や15日の高値115.87円が目先レジスタンスとして働くと伸び悩んだ。世界的に株価は大幅上昇したものの、ウクライナ情勢は依然として流動的なうえ、欧米によるロシアへの経済制裁が世界景気を冷やすリスクも引き続き警戒される。なお、米連邦準備理事会(FRB)はこの日、半期に一度の金融政策報告書を公表し、『インフレがFRBの長期目標を大きく上回り、労働市場が好調に推移する中、政策金利の引き上げが近く適切になると見込んでいる』と表明した。報告書は来週3月2-3日のパウエルFRB議長の議会証言に先立ち公表された。 

 

NY原油先物市場は4日ぶりに反落:利食いやロングの投げ巻き込み売り

NY原油先物市場は90.06ドル-95.64ドルのレンジ相場となった。ウクライナ各地から同国軍とロシア軍の戦闘の様子が伝わり、東欧リスクの高まりは『買い』の原油先物は95ドル台まで上昇した。しかしながらその後、ロシアは停戦交渉の用意があると報じられると、一転し売り戻しが優勢になった。ロングの投げも巻き込み、一時90ドル手前まで下値を広げた。ただ節目の手前では下げ止まり、週引けにかけては下値を切り上げて終えた。アジア市場で95.64ドルまで買われたが、その後は利食い売りが増えたことで伸び悩み、ニューヨーク市場の中盤にかけて90.06ドルまで反落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引で買い戻しが入り、92ドル台半ば近辺まで戻している。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週比2基増加の522基となった。

 

NY金先物市場は 4日ぶりに大幅下落:リスク回避の巻き戻しの売り

NY金先物市場は1884.40-1925.00ドルのレンジ相場となった。ウクライナ情勢を眺め、市場のリスクセンチメントは強弱どちらにも大きく振れた。その影響を受けて、金先物は時間外でも1880ドル台から1920ドル台で荒い値動きとなった。NY勢の参入後、プーチン露大統領がウクライナとの交渉に前向きな姿勢を示したことが伝わると、金融市場全般にリスク回避の巻き戻しが進んだ。安全資産とされる金は上値重いまま週引けした。アジア市場で1925.00ドルまで買われたが、欧米株式の上昇を意識して上げ渋り、ニューヨーク市場の中盤に1884.40ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1890ドル台で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:停戦交渉実現への不透明感を意識

米国債券市場で中期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.01%低い(価格は上昇)1.57%で終了した。また、米長期ゾーンは変わらずだった。米10年物国債利回りは前営業日比変わらずの1.96%で終了した。ロシアとウクライナの停戦交渉への期待から債券売りが先行したものの、売り一巡後は買い戻しが入り持ち直した。ウクライナ情勢を巡る懸念は根強く、積極的に債券売りを進める状況にはならなかった。ロシアとウクライナの激しい武力衝突が報道され、停戦交渉実現への不透明感も意識された。 

 

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