FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:売り一巡後はハイテク株に押し目買いで持ち直す

NYダウは92.07ドル高の33223.83ドル、ナスダックは436.10ポイント高の13473.59ポイントで取引を終了した。ロシアによるウクライナ軍事侵攻を受け投資家心理が悪化し、アジア、欧州市場からの流れを継ぎ、寄り付き後は大幅安となり、一時850ドル超下落した。その後、バイデン大統領が発表した対ロ制裁第2弾はプーチン大統領個人を対象とした制裁やSWIFTシステム、エネルギー関連の制裁が含まれず、厳しいものにならず、売り一巡後はハイテク株に押し目買いなどが入り、急速に持ち直した。引けにかけて下げを消し、プラスに転じた。VIX指数は31.02から30.32へ低下した。

 

NY外国為替市場:流動性の高いドルを買う動き

ユーロ/ドルは、ロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、世界的に株式相場が下落した。為替市場でもリスク回避の動きが強まり、ユーロ売り・ドル買いが進んだ。サポートとして意識されていた1月28日の安値1.1121ドルを下抜けて一時1.1106ドルと2020年6月以来の安値を更新した。ロシアのウクライナ侵攻でWTI原油先物価格は約7年7カ月ぶりに節目の1バレル=100ドルを突破した。エネルギーコストの上昇がユーロ圏経済の回復を妨げるとの見方からユーロ売りが出た面もあった。ただ、一時は850ドル超急落したNYダウがプラス圏を回復し、ナスダック総合が3%超上昇すると、投資家のリスク回避姿勢が後退しユーロ買い・ドル売りが優勢になり、一時1.1221ドル付近まで下げ幅を縮めた。バイデン米大統領はホワイトハウスで演説し、『プーチン露大統領は侵略者。追加の強力な制裁と新たな輸出制限を承認する』と発言した。『ロシアの主要銀行5行に制裁を科す』『ロシアがドルとユーロ、ポンド、円で取引する能力を制限する』と表明した。ただ、米大統領が発表した追加制裁に国際決済網からのロシア締め出しは含まれなかったことから、米国株には買い戻しが入った。 

 

ドル/円は、日本時間夕刻に一時114.41円と3日以来の安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢になった。対ユーロ中心にドル高が進んだ流れに沿って円売り・ドル買いが出たほか、市場では『欧米諸国とロシアとの緊張が高まるなか、不測の事態に備えて、流動性の高いドルを買う動きが強まった』との声が聞かれ、一時115.70円と日通し高値を更新した。一時は1.84%台まで低下した米10年債利回りが1.97%台まで低下幅を縮めたことも相場を下支えした。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時97.74と2020年6月以来の高値を付けた。 

 

NY原油先物市場は3日続伸:世界的な供給混乱が危惧され買い優勢

NY原油先物市場は91.45ドル-100.54ドルのレンジ相場となった。ロシア軍がウクライナの複数都市を攻撃したことが報じられると、世界的な供給混乱が危惧されて原油相場は急騰した。NY早朝には約7年7カ月ぶりに100ドル台に乗せる場面があった。もっとも米国勢が本格的に参入すると上値を切り下げる展開になった。急ピッチで上げた反動や、対露制裁を懸念してロシア産原油を買う動きが手控えられたとの報道も重石となった。ロンドン市場で100.54ドルまで買われたが、ニューヨーク市場の中盤以降は上げ渋り、終盤にかけて91.45ドルまで反落。通常取引終了後の時間外取引では主に93ドルを挟んだ水準で推移した。 

 

NY金先物市場は3日続伸:ドル高を嫌気した売りで上値切り下げ

NY金先物市場は1878.60-1976.50ドルのレンジ相場となった。ロシア軍がウクライナに侵攻したことが伝わると安全資産とされる金を買う動きが一気に強まり、時間外では1976ドル付近まで大きく値を上げた。ただNY勢が本格参入すると一転し売り戻しが優勢になった。為替相場でドル高が急速に進み、ドル建ての金には割高感が生じたことも重石となった。なお、リスクセンチメントの改善を受け、引け後の時間外取引きでは1900ドルを割り込んだ。ロシアによるウクライナ攻撃で1976.50ドルまで買われたが、ニューヨーク市場の終盤にかけて一時1878.60ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に1900ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は上昇:米国株の持ち直しで急速に伸び悩み

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)1.58%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い1.96%で終了した。ロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始したことを受けて、投資家のリスク回避姿勢が強まり、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。ただ、大幅安で始まった米国株が持ち直すと急速に伸び悩んだ。 

 

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ