FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:地政学リスクが再び意識され売り優勢に

NYダウは464.85ドル安の33131.76ドル、ナスダックは344.03ポイント安の13037.49ポイントで取引を終了した。良好な企業決算を好感した買いや、欧米の対ロ制裁がそれほど厳しいものではなく、さらに、ロシア、ウクライナ対立が地域的なリスクにとどまるとの見方も支援し、寄り付き後は上昇した。その後、政府がウクライナに48時間内のロシアによる本格侵攻を警告したと報じられ、さらに、ウクライナが全土非常事態宣言を発令する計画が明らかになると、警戒感を受けた売りが再燃した。引けにかけて、下げ幅を拡大し一時510ドル超下落した。VIX指数は28.81から31.02へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ウクライナ絡みの材料ではドル/円は方向感出ず

ユーロ/ドルは、欧米諸国は対ロシア制裁を相次ぎ表明したものの、限定的な制裁にとどめて外交的解決の道を残したことから、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ、欧州序盤は一時1.1359ドルまで買い戻される場面があった。ただ、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。NYの取引時間帯に入ると軟調に推移した。ウクライナ議会はこの日、全土に非常事態宣言を発令することを承認したほか、同国軍は市民の予備役招集を開始。また、バイデン米政権はゼレンスキー・ウクライナ大統領に『ロシア軍が48時間以内に本格的な侵攻を開始する可能性があると警告した』と伝わり、ロシアの本格的なウクライナ侵攻への警戒感が強まった。高く始まった米国株相場が下げに転じ、リスク回避のユーロ売り・ドル買いが進むと、1.1301ドルと日通し安値を更新した。なお、米政府高官は『ロシアはウクライナ国境沿いに集結させた軍部隊のうち80%が戦闘態勢を整えている』とし、ロシアはいつでもウクライナを全面的に侵攻できる状態にあるとの見方を示した。

 

ドル/円は、一時114.93円まで下げたあと115.20円の本日高値まで値を上げたが、再び114.89円の本日安値まで押し戻された。ウクライナ絡みの材料ではドルと円が同じ方向に動きやすく、ドル/円自体は方向感に欠ける動きとなった。また、本日は重要な米経済指標の発表などもなく手掛かり材料に欠けたことから、方向感が出にくい面もあった。 

 

NY原油先物市場は続伸:需給ひっ迫の可能性残り買い優勢に

NY原油先物市場は90.64ドル-93.90ドルのレンジ相場となった。ウクライナの領土保全を侵害したとし、欧米諸国から経済制裁を受けたロシアが、対抗措置で原油の供給を制限するとの根強い懸念が下値を支えた。ロシア軍の本格的なウクライナ侵攻への警戒感が高まった場面では93.90ドル付近まで急騰した。もっとも、主要産油国ロシアのエネルギー相が『市場にとっての最適な原油価格は、1バレル55ドルから70ドル』との見解を示したことが重石となり、一巡後は上げ幅を大きく削った。ロンドン市場で90.64ドルまで売られたが、ニューヨーク市場で93.90ドルまで買われた。 

 

NY金先物市場は続伸:ウクライナ情勢による地政学リスク高まり買い優勢

NY金先物市場は1891.10-1912.90ドルのレンジ相場となった。高値圏での推移が続くなか利益確定売りに押される場面はあったが、1900ドル割れでは再び下げ渋った。ロシアによるウクライナへの本格的な軍事侵攻に対する警戒感が高まっており、安全資産とされる金の需要は根強かった。ロンドン市場で1891.10ドルまで下げたが、ロシアに対する経済制裁が導入されたことから、安全逃避的な買いが入った。ニューヨーク市場で1912.90ドルまで反発した。通常取引終了後の時間外取引では主に1910ドルをやや上回る水準で推移した。

 

米国債券市場は続落:エネルギー価格の上昇でインフレ圧力が高まるとの見方

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)1.60%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.05%高い1.99%で終了した。ウクライナ情勢の緊迫化でエネルギー価格が上昇傾向を強め、インフレ圧力が一段と高まるとの見方が強まった。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のため積極的に金融政策の正常化を進めるとの観測から債券売りが広がった。 

 

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