FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:変異株感染拡大や不調な11月雇用統計受け売り優勢に

NYダウは59.71ドル安の34580.08ドル、ナスダックは295.85ポイント安の15085.47ポイントで取引を終了した。米議会がつなぎ融資延長案を可決、政府機関閉鎖が回避されたため安心感に寄り付き後は上昇した。しかし、国内でオミクロン変異株感染が拡大、さらに、11月雇用統計で雇用者数が予想の半分の伸びにとどまり失望感から、下落に転じた。同時に連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和解消の軌道に変わりはなく、時期尚早の金融緩和解除への警戒感も強まり、さらなる売りに繋がった。上場廃止への懸念を受けた中国ハイテク株の下落が重石となりナスダック総合指数も大きく下げた。もっとも、引けにかけては急速に買い戻しが強まり、下げ幅を縮めた。VIX指数は27.95から30.67へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利の低下で終盤ドル売り優勢に

ドル/円は、米労働省が発表した11月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比21.0万人増と予想の55.0万人増を下回り、平均時給が前月比0.3%上昇/前年比4.8%上昇と予想の前月比0.4%上昇/前年比5.0%上昇を下回ったことが分かると米長期金利の低下とともに一時113.00円付近まで売られた。ただ、そのあとは米長期金利の上昇に伴って113.61円と日通し高値を付けた。失業率が4.2%と予想の4.5%より強い内容となったこともドル買いを誘った。ただ、新型コロナウイルスの新たな変異株『オミクロン株』の感染拡大への懸念が高まる一方、米金融政策の正常化が前倒しで進むとの見方が維持されたことから、高く始まった米国株相場が一転下落すると、リスク回避の円買いが優勢になった。前日の安値112.66円を下抜けて一時112.52円まで値を下げた。米10年物国債利回りが一時1.3329%前後と9月23日以来の低水準を付けたことも相場の重石になった。なお、米雇用統計の結果について市場では『米連邦準備理事会(FRB)によるテーパリング加速を妨げるものではない』『FRBの考えを変えるようなものは見当たらない』との声が聞かれた。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の動向に一喜一憂する展開だった。米雇用統計発表直後に一時1.1333ドルの日通し高値を付けたものの、米長期金利が上昇した場面では1.1267ドルの日通し安値まで売られた。ただ、米長期金利が再び低下すると1.1327ドル付近まで持ち直している。 

 

カナダドル円は頭が重かった。カナダ統計局が発表した11月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が15.37万人増と予想の3.50万人増を大幅に上回ったほか、失業率が6.0%と予想の6.6%より強い内容となったことを受けてカナダドル買いが先行した。一時89.13円まで値を上げた。ただ、米国株の失速に伴ってリスク回避の円買いが強まると、一時87.71円まで一転下落した。

 

NY原油先物市場は小幅に反落:米国株下落に連れて売り優勢に

NY原油先物市場は65.60ドル-69.22ドルのレンジ相場となった。前日の石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合では、日量40万バレルの増産継続が決定された。一方、新型コロナ・オミクロン株の感染状況次第で今後の生産抑制もあり得ると示されたことを材料視し、NY序盤は買い優勢のまま一時69ドル台まで上値を伸ばした。もっともその後、米国株が軟調に推移してリスク回避地合いが強まると、リスク資産でもある原油は一転し売り優勢になった。週末を控えたポジション調整も巻き込み、66ドル割れまで下押す場面があった。通常取引終了後の時間外取引で65.60ドルまで下落した。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は円週末比変わらずの467基だった。

 

NY金先物市場は反発:米長期金利の低下を意識した買いが優勢に

NY金先物市場は1766.00-1788.00ドルのレンジ相場となった。高く始まった米国株が一転軟調に転じると、リスク回避ムードの強まりと供に安全資産とされる金に買いが集まった。米長期金利が低下幅を広げたことも金利の付かない金の支えとなり、前日に下げた分をほぼ取り戻して終えた。11月米雇用統計発表後に1766.00ドルまで売られたが、米国株式の下落や米長期金利の低下を意識して金先物は反転した。通常取引終了後の時間外取引で1788.00ドルまで買われた。 

 

米国債券市場は上昇:米国株が下落するとリスク回避の債券買い

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)0.59%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.10%低い1.34%で終了した。11月米雇用統計の発表後に債券売り(金利は上昇)が強まる場面もあったが、米国株が下落すると安全資産とされる米国債に買いが集まり大幅に反発した。利回りは一時1.3329%前後と9月23日以来の低水準を付けた。 

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