FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:利上げ観測が後押しとなり終日軟調に推移

NYダウは9.42ドル安の35804.38ドル、ナスダックは70.09ポイント高の15845.23ポイントで取引を終了した。週次失業保険申請件数が52年ぶり低水準となったほか、10月PCEコアデフレーターが31年ぶりの大幅な伸びとなり早期の利上げ観測が強まったため、寄り付き後は下落した。また、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した11月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でも数人の高官が量的緩和(QE)縮小ペースの加速を支持したことが明らかになり利上げ観測を後押しし、終日軟調に推移した。ただ、引けにかけては感謝祭の祭日を控えた買戻しなどにNYダウは下げ幅を縮小した。金利上昇が一段落したためナスダック総合指数は上昇に転じ終了した。このところ買われていたゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株に利益確定の売りが出て、指数を押し下げた。VIX指数は19.38から18.58へ低下した。

 

NY外国為替市場:利上げ前倒しの思惑からドル買い継続

ドル/円は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が続投する見通しとなったことを受けた米利上げ前倒しへの思惑から、ドルを買う動きがこの日も継続した。ハト派として知られるデイリー米サンフランシスコ連銀総裁が『インフレ率が高止まりし、雇用の伸びが堅調に推移すれば、テーパリング加速を支持する』と述べたこともドル買いを促した。レジスタンスとして意識されていた2017年3月の高値115.51円をわずかに上抜けて、一時115.52円まで値を上げた。11月2-3日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、『複数の当局者は高インフレが続けばテーパリングのペースを加速させ、予想よりも早くFF金利を引き上げる準備をする必要があるとの認識を示した』ことが明らかになったことも相場の支援材料。なお、翌25日の米感謝祭休場を前に本日は米経済指標の発表が相次いだ。7-9月期米国内総生産(GDP)改定値や10月米耐久財受注額は予想を下回った一方、前週分の米新規失業保険申請件数や10月米個人消費支出(PCE)は予想を上回るなど強弱入り混じる結果となった。 

 

ユーロ/ドルは、新型コロナウイルスの感染再拡大による行動制限の強化で、ユーロ圏の経済回復が鈍化することへの警戒感が広がり、ユーロ売り・ドル買いが進行し一時1.1186ドルと昨年7月以来の安値を更新した。売り一巡後はショートカバーが入り、1.12ドル台前半まで下げ渋ったものの、米利上げ前倒し観測が高まる中、ユーロドルの戻りは限られた。なお、独中道左派の社会民主党(SPD)と自由民主党(FDP)、緑の党は3党による連立政権を発足させることで合意した。来月にはSPDのショルツ氏が16年にわたってドイツを率いてきたメルケル首相に代わる新たな首相に就任する見通しとなった。 

 

トルコリラは足もとの暴落に対する反動からショートカバーが活発化した。対ドルでは一時11.5871リラと前日終値から9%超の反発となったほか、リラ円は9.95円と前日比10%超の大幅反発となった。市場では「前日の急落がセリングクライマックスだった可能性がある」との声も聞かれた。

 

NY原油先物市場は小反落:石油備蓄放出の効果は限定的との見方も

NY原油先物市場は77.98ドル-79.23ドルのレンジ相場となった。原油相場は最近、日米中などの石油備蓄の放出決定を背景に神経質な動きとなっているが、この日は感謝祭の祝日の前に手控えムードが広がった。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫で原油在庫は予想に反して101.7万バレルの積み増しとなったが、反応は限られた。市場では石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の主要産油国で構成する『OPECプラス』が12月2日の会合で消費国の石油備蓄の放出への対応が注目されている。アジア市場で79.23ドルまで買われた後、石油の主要消費国による戦略石油備蓄放出計画を意識して利食い売りが観測されたが、原油価格の大幅な低下につながる策ではないとの見方も多く、原油先物の下げ幅は小幅にとどまった。ニューヨーク市場の序盤で77.98ドルまで下げたが、まもなく反転し、一時78.95ドルまで戻した。通常取引終了後の時間外取引では78ドル台で推移した。 

 

NY金先物市場はほぼ横ばい:米長期金利の上昇一服で買い戻し

NY金先物市場は1777.40-1796.20ドルのレンジ相場となった。昨日4日続落し本日は下げ渋ったものの、上値も重かった。米長期金利の上昇やドル高で金に売り圧力が強い一方で、インフレ回避目的の買いも入り、方向感は限られた。アジア市場で1796.20ドルまで買われた後、ユーロ安を意識してニューヨーク市場の序盤にかけて1777.40ドルまで下落した。ただ、米長期金利の上昇が一服したことから、1791.40ドルまで戻しており、通常取引終了後の時間外取引では1780ドル台で推移した。 

 

米国債券市場はまちまち:感謝祭の祝日控えポジション調整目的の売買

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)0.64%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い(価格は上昇)1.63%で終了した。米利上げ前倒しへの思惑から売りが先行し、利回りは一時1.6913%前後と約1カ月ぶりの高水準を付けた。ただ、そのあとは25日の米感謝祭の祝日を控えたポジション調整目的の買いが優勢となり、上げに転じた。 

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