FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:コロナ再流行で経済回復を遅らせるとの懸念

NYダウは268.97ドル安の35601.98ドル、ナスダックは63.73ポイント高の16057.44ポイントで取引を終了した。オーストリアが再び全土ロックダウン入りするなど欧州で新型コロナが再流行、米国でも一部地域で感染件数の増加が見られ世界経済の回復を遅らせるとの懸念が根強く、寄り付き後は下落した。連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長が12月連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング加速協議が適切となる可能性を示唆し早期利上げへの懸念も更なる重石となり、NYダウは終日軟調に推移した。『ボーイングは中型機787ドリームライナーの生産ペースを一段と落としている』との報道を受けて、同社株が5.7%下落した。1銘柄でダウ平均を81ドル程度押し下げた。 一方、長期金利の低下でハイテク株は好調で、ナスダック総合指数は連日で史上最高値を更新し終了した。VIX指数は17.59から17.91へ上昇した。

 

NY外国為替市場:欧州景気の回復が遅れるとの懸念からユーロ売り

ユーロ/ドルは、新型コロナウイルス再拡大による経済活動の抑制で、欧州景気の回復が遅れるとの懸念が強まりユーロ売りが先行した。シュパーン独保健相が『国内の新型コロナウイルス感染状況が極めて深刻なため、ワクチンを接種した人も含めてロックダウンを排除できない』などと発言したことで、独ロックダウン入りへの警戒感も高まり、一時1.1250ドルと昨年7月以来の安値を更新した。ただ、売り一巡後は下げ渋る展開になった。『マース独外相は独全土のロックダウンの可能性について否定した』との報道が伝わると、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退しユーロを買い戻す動きが広がり、1.1322ドル付近まで下げ幅を縮めた。なお、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁はこの日、『物価上昇への懸念をECBは非常に深刻に受け止めている』と述べたうえで、『来年の利上げは想定していない』との考えを改めて表明した。 

 

ドル/円は、新型コロナ感染再拡大で欧州経済の回復が遅れるとの懸念が強まる中、欧州株相場や時間外のダウ先物が下落すると、リスク回避の円買いが先行した。米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りも入り、一時113.59円と日通し安値を更新した。日経平均先物が軟調に推移したことも相場の重石となった。ただ、売り一巡後は下げ渋る展開になった。独ロックダウン入りへの警戒感が和らいだほか、米下院が1兆7500億ドル規模の気候変動・社会保障関連歳出法案を可決したことなどが相場を下支えした。また、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が『持続的な高インフレや堅調な雇用の伸びを踏まえて、FRBはテーパリングペースを加速させ、予想よりも早期に利上げを実施する用意を整える必要がある』との見解を示すと、米利上げ前倒し観測が高まりドル買い戻しを誘った。クラリダFRB副議長が「12月FOMCでテーパリングの加速について議論することが適切となる可能性』と発言したことも相場の支援材料となり、114.07円付近まで強含んだ。 

 

NY原油先物市場は反落:コロナ感染再拡大を嫌気した売り

NY原油先物市場は75.09ドル-79.33ドルのレンジ相場となった。オーストリアでロックダウンが実施されるなど欧州におけるコロナ感染の再拡大が、エネルギー需要を圧迫するとの不安が高まった。ドル相場の底堅い動きも、ドル建て原油価格の圧迫要因となった。アジア市場で79.33ドルまで買われたが、ユーロ安ドル高は続いていることや、欧州諸国における新型コロナウイルスの感染再拡大を嫌気してリスク回避的な売りが優勢となった。需給ひっ迫の状態は年内に解消されるとの見方が一段と広がっており、75.09ドルまで下落した。通常取引終了後の時間外取引では75ドル台で推移した。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週末比7基増加の461基になった。

 

NY金先物市場は続落:ドル高を嫌気した売り優勢

NY金先物市場は1844.20-1868.10ドルのレンジ相場となった。欧州のコロナ感染再拡大によるロックダウンなど行動規制の強化を嫌気してユーロが売られた。ユーロなど主要通貨に対するドル上昇により、ドル建て金価格に割高感が生じた。ドル高は、ドルの代替資産とみなされることもある金の相対的な価値低下も意識させた。ロンドン市場の序盤で1853.00ドルまで下げた後、ニューヨーク市場の序盤にかけて1868.10ドルまで戻したが、欧州諸国の都市封鎖を警戒した換金売りが増えたことで1844.20ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引ではおおむね1850ドルを下回る水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:欧州景気の下振れ懸念から買い優勢

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.01%高い(価格は下落)0.51%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)1.55%で終了した。欧州景気の下振れ懸念から、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。 

 

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