★米国株式市場はまちまち:好決算を受けた買い再燃
NYダウは73.94ドル高の35677.02ドル、ナスダックは125.50ポイント安の15090.20ポイントで取引を終了した。中国恒大のドル建て債利払い実施で短期的な破たんリスク後退で安心感が広がり、寄り付き後は上昇した。10月PMIの上昇も手伝いNYダウは日中取引で一時史上最高値を更新した。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が討論会でインフレのリスクに言及すると早期の利上げ観測が強まりNYダウは下落に転じた。引けにかけては好決算を受けた買いが再燃し、再び上昇して終了した。ハイテク株は売られナスダック総合指数は下落した。VIX指数は15.01から15.43へ上昇した。
★NY外国為替市場:パウエル米FRB議長の発言に上下に振れる展開
ドル/円は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がオンライン会合で、米経済の懸案となっている物価高や供給制約について『予想よりも長く、来年にかけて続く可能性が高い』と述べ、インフレ圧力の長期化に対する警戒感を示すと、米長期金利の上昇とともにドル買いが入り、一時113.85円付近まで値を戻した。ただ、同議長が『我々の見解では高インフレは緩和する可能性が高い』『利上げは時期尚早』と発言し、早期利上げを否定すると一転ドル売りが優勢になり、一時113.34円と日通し安値を更新した。週末を控えたポジション調整目的の売りも出た。なお、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した10月19日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は10万2734枚の売り越しと2018年12月以来の水準となった。市場では『過熱感』を指摘する声も出ている。
ユーロ/ドルは、NY市場に限れば大きな方向感は出なかった。パウエルFRB議長の発言を受けた米長期金利の動向に一喜一憂する展開。24時過ぎに1.1656ドルと日通し高値を付けたものの、すぐに失速し1.1622ドル付近まで押し戻された。引けにかけては1.1646ドル付近まで強含んだ。
トルコリラは大幅安になった。前日のトルコ中銀による大幅利下げをきっかけとしたリラ売りの流れがこの日も続いた。対ドルでは一時9.6625リラ、対円で11.79円といずれも史上最安値を更新した。格付け会社フィッチ・レーティングスは大幅利下げについて『時期尚早』とし、『不確実性を高める政策上のミスステップ』と批判した。『中銀のリラ防衛余地もほとんどないだろう』との見解を示した。
★NY原油先物市場は反発:根強く残る需給ひっ迫への懸念
NY原油先物市場は81.76ドル-84.22ドルのレンジ相場となった。昨日の引けにかけて買い戻し優勢となった流れが継続した。根強く残る需給ひっ迫への懸念が依然として支えとなり、83ドル台で堅調なまま引けた。週引けの水準としても約7年ぶりの高値を更新した。アジア市場で81.76ドルまで売られたが、まもなく反転し、ロンドン市場で83ドル台を回復した。ニューヨーク市場の中盤にかけて82.54ドルまで売られたが、需給ひっ迫の思惑は後退せず、通常取引終了後の時間外取引で2014年10月以来の高値となる84.22ドルまで上昇した。米国の石油掘削装置稼働数(リグ)は前週末比2基減少の443基になった。
★NY金先物市場は反発:米長期金利の低下を意識した買い戻し
NY金先物市場は1783.40-1815.50ドルのレンジ相場となった。サプライチェーンの混乱が懸念されるなか9月米製造業PMI速報値が予想を下回ったことで、安全資産とされる金に資金が向かい一時1815ドル台まで大きく上値を伸ばした。もっともその後、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がテーパリングの開始に言及すると金先物は一転売り優勢になった。為替が対ユーロでドル高に振れたこともドル建て金の圧迫要因となり、1800ドル割れまで上昇幅を縮めた。ニューヨーク市場の中盤にかけて1815.50ドルまで買われたが、米長期金利の動向を意識して1783.40ドルまで急反落する場面があった。ただ、米長期金利の低下を意識して1800.40ドルまで戻しており、通常取引終了後の時間外取引では主に1795ドル近辺で推移した。
★米国債券市場はまちまち:長期ゾーンに持ち高調整目的の買い優勢
米国債券市場で中期ゾーンは横ばいだった。米2年物国債利回りは前営業日比と同じ0.45%で終了した。また、長期ゾーンは6日ぶりに反発(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.07%低い(価格は上昇)1.63%で終了した。足もとで相場下落が続いたあとだけに持ち高調整目的の買いが入った。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がオンライン会合でインフレリスクを指摘すると、金融政策の正常化が早まるとの懸念から債券売りが強まる場面もあったが、反応は一時的だった。
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