FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:投資家心理の悪化材料が重なり売り優勢

NYダウは614.41ドル安の33970.47ドル、ナスダックは330.07ポイント安の14713.90ポイントで取引を終了した。中国不動産大手の経営危機が欧米経済や金融市場に波及することを警戒した投資家心理の悪化で寄り付き後は下落した。また、イエレン財務長官がウォールストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で、民主、共和両党の財務当局者やエコノミストの間での圧倒的なコンセンサスが債務上限を引き上げられなければ広範な経済的大惨事が生じるだろうというものだと、警告したことも警戒感に繋がった。連邦公開市場委員会(FOMC)で、連邦準備制度理事会(FRB)が緩和縮小を示唆するとの警戒感も加わり、大幅安となった。さらに、米株の変動性指数(VIX、恐怖指数)が一時28.79と5月13日以来の高水準まで急伸したことで、『リスク回避の売りが加速した』との声も聞かれた。VIX指数は20.81から25.71へ上昇した。

 

NY外国為替市場:リスク回避姿勢が強まり円買い優勢

ドル/円は、巨額債務を抱え経営危機に陥った中国不動産開発大手、中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念を背景に、世界的に株価が急落した。投資家がリスク回避姿勢を強め、円買い・ドル売りが優勢となった。米長期金利の指標である米10年債利回りが1.29%台まで低下したことも相場の重石となり、一時109.24円と日通し安値を更新した。NYダウは一時前営業日比970ドル超下げたほか、CME日経平均先物は925円安の2万9250円まで売られる場面があった。

 

ユーロ/ドルは、中国恒大を巡る懸念で欧州株相場が急落すると、リスク回避のドル買いが優勢となり、欧州序盤には一時1.1700ドルと日通し安値を付けた。ただ、同水準には大きめのオプションが観測されており、売り一巡後は買い戻しが進んだ。米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、アジア時間早朝の高値1.1734ドルを上抜けて一時1.1737ドルまで値を上げた。

 

ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド/円は一時149.19円、豪ドル/円は79.05円、NZドル/円は76.70円、カナダドル/円は84.90円、南アフリカランド/円は7.37円まで値を下げた。また、代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは対ドルで4万2522ドル台まで下落したほか、対円では466万円台まで売られる場面があった。

 

NY原油先物市場は続落:欧米株安を嫌気した売り強まる

NY原油先物市場は69.71ドル-71.93ドルのレンジ相場となった。中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)警戒感でこの日は株安・債券高が進み、為替相場では円高・ドル高に傾くなど、金融市場全般がリスク回避一色となり、リスク資産の原油も売りに押された。欧米株式の下落を受けて下げ幅は拡大し、一時69.71ドルまで下落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引で70.77ドルまで戻しており、下げ幅はやや縮小している。

 

NY金先物市場は4日ぶりに反発:リスク回避強まり安全資産の金買い優勢

NY金先物市場は1742.30-1768.40ドルのレンジ相場となった。資金繰り難に陥っている中国の不動産開発大手、恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念で投資家のリスクオフ姿勢が強まり、安全資産とされる金に買いが入った。アジア市場で1742.30ドルまで下げた後、ニューヨーク市場の中盤にかけて1768.40ドルまで戻した。ただ、戻り売りの興味は残されており、一時1759.70ドルまで下げる場面があった。

 

米国債券市場はまちまち:安全資産の債券買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは横ばいだった。米2年物国債利回りは前営業日比変わらずの0.21%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りては低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は上昇)1.31%で終了した。中国の不動産大手、中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念で株価が急落すると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。 

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