FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:景気への警戒感強く利食い売りが優勢に

NYダウは151.69ドル安の34879.38ドル、ナスダックは38.39ポイント安の15248.25ポイントで取引は終了した。新規失業保険申請件数が予想以上に減少し、パンデミック以降で最小となったことを好感して寄り付き後は上昇した。しかし、新型コロナウイルス変異株の流行によりソフトウェアメーカーのマイクロソフト(MSFT)が従業員のオフィス復帰を無期限に延期したほか、航空各社が予約減少で見通しに慎重な見方を見せたため、消費、景気への影響を警戒した売りが強まり、下落に転じた。NY午後には利食い売りなどが優勢になった。また、バイデン米政権が薬価引き下げの包括案を発表し、製薬株が売られたことも指数の押し下げ要因になった。VIX指数は17.96から18.80へ上昇した。

 

NY外国為替市場:入札好調で米長期金利低下からドル売り

ドル/円は、米長期金利の低下などをながめ円買い・ドル売りが先行した。この日実施された米30年債入札が『堅調』だったことを受けて、米長期金利の指標である米10年債利回りが1.28%台まで低下幅を拡大すると、全般ドル売りが活発化し、一時109.59円と日通し安値を更新した。一目均衡表の雲の下限を下抜けたことでテクニカル的な売りも出やすかった。ただ、8月米雇用統計が発表された3日の安値109.59円が目先サポートとして働くと下げ渋った。米長期金利が低下幅を縮めたことも相場を下支えした。なお、米労働省が発表した前週分の米新規失業保険申請件数は31.0万件と予想の33.5万件より強い内容となり、昨年の新型コロナウイルス感染拡大以降の最少を更新。米雇用情勢の改善が示されたものの、為替相場への影響は限定的だった。 

 

ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)がこの日の理事会で政策金利を市場予想通り0.00%に据え置き、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模縮小を発表すると全般ユーロ買いが先行し、一時1.1841ドルと日通し高値を付けた。ただ、ラガルドECB総裁が理事会後の会見で『PEPP購入ペース減速はテーパリングではなく、微調整』『ECBは次の動きについて議論していない』との考えを示すと、一転ユーロ売りが優勢になり、一時1.1805ドルと日通し安値を更新した。もっとも、前日の安値1.1802ドルが目先サポートとして意識されると買い戻しが優勢になった。米長期金利の低下に伴うドル売りも出て、1.1840ドル付近まで値を戻している。 

 

米ドルカナダドルは軟調だった。原油先物価格の下落を受けて産油国通貨とされるカナダドルには売りが強まる場面もあったが、マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁が『量的緩和(QE)による景気刺激策を継続する必要がない時期に近づいている』との考えを示すとカナダドルを買う動きが広がり、一時1.2623カナダドルまで値を下げた。

 

NY原油先物市場は反落:中国の原油備蓄放出を嫌気した売り優勢

NY原油先物市場は67.56ドル-69.89ドルのレンジ相場となった。NY序盤に68ドル割れまで売られたが、米エネルギー省(EIA)の週間統計発表に向けて69ドル後半まで大きく反発した。しかしながら、原油在庫が152.8万バレル減と前回から大きく取り崩し幅を縮めたことが分かると伸び悩む展開になった。その後、中国が戦略原油備蓄を放出したことに対する影響が懸念され、一時67ドル半ばまで急落した。ロンドン市場で69.89ドルまで買われたが、ニューヨーク市場では株安を意識して伸び悩み、67.56ドルまで下落した。通常取引終了後の時間外取引では主に67ドル台後半で推移した。

 

NY金先物市場は3日ぶりに反発:米長期金利の低下を意識した買い

NY金先物市場は1785.10-1803.40ドルのレンジ相場となった。NY午前に為替相場でドルが対ユーロで強含む場面では、ドル建ての金先物も上値を圧迫されて再び1790ドルを割り込んだ。ただその後は、30年債入札をきっかけに米長期金利が低下幅を広げると、金利のつかない金の価値が相対的に高まり1800ドル台まで持ち直した。ロンドン市場で1803.40ドルまで買われた後、ニューヨーク市場の中盤にかけて1785.10ドルまで反落した。ただ、通常取引終了後の時間外取引では1800ドルを下回る水準で推移し、上げ渋る状態が続いている。 

 

米国債券市場は上昇:好調な入札結果受け買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.01%低い(価格は上昇)0.20%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い1.30%で終了した。しばらくはもみ合いの展開が続いていたが、好調な米30年債入札をきっかけに債券買いが広がった。

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