FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:資本流入や防衛関連への期待から買い優勢に

NYダウは110.02ドル高の35625.40ドル、ナスダックは29.14ポイント安の14793.76ポイントで取引は終了した。中国や米国の経済指標が市場予想を下回ったほか、中東の地政学的リスク上昇で寄り付き後は大きく下げた。新型コロナ・デルタ株感染拡大への懸念も根強く、さらなる売り材料になった。その後、ディフェンシブ銘柄への買いが膨らんだほか、低調な中国指標に圧迫されて序盤に下落していた銘柄に押し目買いが入ると切り返した。 引けにかけては、資本流入や防衛関連への期待に上昇に転じると、NYダウは連日史上最高値を更新して引けた。米道路交通安全局(NHTSA)が「電気自動車(EV)のテスラの運転支援機能『オートパイロット』 の正式な調査を始めた」と発表したことを受けて、同社株は一時5.5%超下落する場面があった。VIX指数は15.45から16.12へ上昇した。

 

NY外国為替市場:リスク回避姿勢の強まりから円買い優勢

ドル/円は、この日発表の中国経済指標が予想を下回ったことを受けて、世界的な景気減速への懸念が高まるとNYダウが一時280ドル超下落した。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが優勢となった。世界的に新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大が警戒されており、世界経済の回復鈍化への懸念が市場心理の悪化につながった面もある。8月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が18.3と予想の29.0を下回ったほか、米長期金利の指標である米10年債利回りが一時1.2217%前後まで低下したことも相場の重石となり、一時109.08円と4日以来の安値を付けた。市場では『アフガニスタン情勢を受けた地政学リスク回避の円買いも見られた』との指摘があった。もっとも、売り一巡後は109円台前半で下げ渋る展開になった。NYダウが上げに転じ、史上最高値を更新したほか、米10年債利回りが低下幅を縮小したことなどが相場を下支えとなった。

 

ユーロ/ドルは、 一時本日安値となる1.1768ドルまで売り込まれた影響が残ったが、NY市場に限れば狭いレンジでのもみ合いに終始した。低調な米経済指標や米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入った半面、ユーロ/円やユーロ/スイスフランの下落につれた売りが相場の重しとなり、大きな方向感は出なかった。ユーロ/スイスフランは一時1.0736スイスフランまで下落した。アフガニスタンでイスラム原理主義勢力・タリバンが勢力を拡大し、首都・カブールまで制圧した。タリバンは国際テロ組織『アルカイダ』と関係が深いとされ、地政学リスクの高まりが避難通貨とされるスイスフラン買いにつながったようだ。 

 

NY原油先物市場は3日続落:中国の経済活動鈍化懸念から売り優勢

NY原油先物市場は65.73ドル-68.27ドルのレンジ相場となった。中国の7月鉱工業生産や小売売上高が市場予想を下回り、エネルギー消費大国である同国の経済活動鈍化が懸念されて原油先物は売りが先行し、一時は65.70ドル台まで下げ幅を広げた。ただその後、一部通信社が石油輸出国機構(OPEC)筋の発言として『現時点では、すでに計画されている以上の原油を市場に供給する必要はない』を伝えると、67ドル後半まで買い戻される場面があった。通常取引終了後の時間外取引では主に67ドル台前半で推移した。

 

NY金先物市場は続伸:地政学リスクの高まりと米長期金利低下で買い優勢

NY金先物市場は1772.00-1791.30ドルのレンジ相場となった。アフガニスタンでイスラム原理主義勢力・タリバンがほぼ全土を掌握した。同勢力は国際テロ組織アルカイダと関係が深いとされ、地政学リスクの高まりと共に安全資産とされる金に資金が向かった。米長期金利が低下したことも金相場の下値を支えた。ニューヨーク市場の序盤にかけて1772.00ドルまで下落したが、米長期金利の伸び悩みや中東情勢の悪化を警戒した買いが入った。一時1791.30ドルまで買われた。通常取引終了後の時間外取引でも金先物は底堅い動きを維持し、主に1790ドルをやや下回る水準で推移した。

 

米国債券市場は続伸:中国の景気減速懸念と地政学リスクから買い優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.01%引き(価格は上昇)0.20%で終了した。米10年物国債利回りは前営業日比は0.02%低い1.26%で終了した。中国の景気減速懸念とアフガニスタンでの地政学リスクの高まりが投資家心理の悪化につながり、相対的に安全資産とされる米国債には買いが入った。ただ、安く始まったNYダウが上昇に転じ、史上最高値を更新すると徐々に上値が重くなった。 

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