FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:インフレ高進への脅威後退で買い優勢に

NYダウは220.30ドル高の35484.97ドル、ナスダックは22.95ポイント安の14765.14ポイントで取引を終了した。7月消費者物価指数(CPI)の伸びが一段落しインフレ高進への脅威が後退した。金融引き締めを急ぐ必要性が示されなかったため、寄り付き後は上昇した。インフラ投資が回復を強めるとの期待も根強く、NYダウは終日堅調に推移した。連日、史上最高値を更新し、引けた。一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅続落した。VIX指数は16.79から16.06へ低下した。

 

NY外国為替市場:過度なインフレ懸念が和らぎ全般ドル売り優勢

ドル/円は、欧州時間に一時110.80円と7月7日以来約1カ月ぶりの高値を付ける場面もあったが、NY時間に入ると一転売りが優勢となった。注目の7月米消費者物価指数(CPI)は前月比0.5%上昇と市場予想通りとなったが、前月の0.9%上昇からは鈍化した。また、食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.3%上昇/前年比4.3%上昇となり、短期的な基調をみるうえで重視される前月比で前回から大きく低下し、予想を下回った。過度なインフレ懸念が和らぎ、米連邦準備理事会(FRB)の早期金融引き締め観測が後退すると、全般ドル売りが広がった。米財務省が実施した10年債入札が『好調』と伝わると、米長期金利が低下傾向を強め、一時110.28円と日通し安値を付けた。もっとも、前日の安値110.28円が目先サポートとして意識されると引けにかけては下げ渋った。 

 

ユーロ/ドルは、米CPIを受けて『インフレがピークを付けた兆候も垣間見られ、インフレ上昇が一過性というFRBの認識を支える可能性がある』との見方が広がると、米長期金利が低下した。全般ドル売りが優勢となり、一時1.1753ドルと日通し高値を付けた。好調な米10年債入札を受けて、米10年債利回りが1.3000%前後まで低下幅を拡大したこともユーロ買い・ドル売りを誘った。
 なお、ジョージ米カンザスシティ連銀総裁は講演で「米経済は堅調なペースで成長しており、景気支援を縮小し始める時期に差し掛かっている」と述べたほか、カプラン米ダラス連銀総裁は「9月にテーパリングを発表し、10月から開始すべき」と発言したものの、相場の反応は限られた。 

 

NY原油先物市場は続伸:インフラ投資法案成立への期待から買い

NY原油先物市場は66.67ドル-69.45ドルのレンジ相場となった。バイデン米政権が石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟産油国で構成する『OPECプラス』に原油の増産を求める声明を発表し、原油は売りが先行した。ただ、その後に米政府がこの声明は即時の対応を求めるものではなく、長期的視点での要求であり、米国の生産者に増産を求めていないとの報道が伝わると買い戻しが入った。米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で、原油在庫は44.8万バレルの取り崩しと予想ほど在庫が減少しなかったが、反応は限られた。また、米議会上院でインフラ投資法案が可決し、法案成立の可能性がやや高まっていることや長期金利の伸び悩みが買い材料となった。

 

NY金先物市場は続伸:インフレ加速の懸念が後退

NY金先物市場は1724.60-1756.870ドルのレンジ相場となった。米7月消費者物価指数(CPI)の伸びが前月から鈍化し、米金融政策の早期縮小観測が後退した。米長期金利が低下し、金利を生まない金に買いが入った。ドルが対ユーロで下落したのもドル建ての金の買いを後押しした。アジア市場で1724.60ドルまで売られた後、ニューヨーク市場の終盤にかけて1756.70ドルまで買われた。ユーロ安は一服したことや、インフレ加速の懸念が緩和されたことが金先物の上昇につながった。通常取引終了後の時間外取引では1750ドル台で推移した。

 

米国債券市場は反発:米FRBの早期金融引き締め観測後退から買い優勢

米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)0.21%で終了した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い1.33%で終了した。7月米消費者物価指数(CPI)の結果が伝わると、過度なインフレ懸念が和らぎ、米連邦準備理事会(FRB)の早期金融引き締め観測が後退し、債券買いが優勢となった。好調な米10年債入札も相場の支援材料となった。 

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