FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:雇用回復の遅れとFRB副議長のタカ派発言を嫌気

NYダウは323.73ドル安の34792.67ドル、ナスダックは19.25ポイント高の14780.54ポイントで取引を終了した。7月ADP全米雇用報告が予想を大幅に下回り、雇用回復の遅れが警戒されたほか、クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長の発言を受けて、早期の量的緩和の縮小(テーパリング)観測が高まり売りが膨らんだ。前日に発表した四半期決算で通期見通しを据え置いたバイオ製薬アムジェンが6%を超す下落となり、1銘柄でNYダウを97ドル程度押し下げた。ただ、ナスダックはプラス圏を維持した。VIX指数は18.04から17.97へ低下した。

 

NY外国為替市場:良好な経済指標と米FRB副議長の発言受けドル急騰

ドル/円は、7月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が33.0万人増と予想の69.5万人増を大きく下回ったことが分かると、全般ドル売りが先行し、一時108.67円と5月26日の安値に面合わせした。ただ、その後発表の7月米ISM非製造業指数が64.1と予想の60.5を上回り、統計開始以来の最高値となったことが分かるとドルを買い戻す動きが優勢になった。また、クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長が講演で『利上げのための条件は2022年末までに満たされる可能性がある』『23年の利上げ開始は新たな枠組みと整合する』と発言すると、米長期金利の上昇とともにドル買いが活発化した。前日の高値109.34円を上抜けて一時109.67円まで上値を伸ばした。
 米長期金利の指標である米10年債利回りは低調な米雇用指標を受けて一時1.1258%前後と2月11日以来の低水準を付けたものの、その後1.21%台まで急上昇した。また、カプラン米ダラス連銀総裁は一部通信社とのインタビューで『7月と8月の雇用統計で進展が続けば、近くテーパリングに着手するのが得策』と述べ、『そうすることで利上げに忍耐強く対処するための柔軟性が増す』との考えを示した。 

 

ユーロ/ドルは、低調なADP全米雇用報告を受けて一時1.1900ドルと日通し高値を付けたものの、予想を上回る米ISM非製造業指数をきっかけに一転下落した。クラリダFRB副議長が『米経済が予想通りに推移した場合、量的緩和の縮小(テーパリング)について年内に発表し、23年には利上げを開始する』との見通しを示すとさらにドル買いが進み、一時1.1833ドルと日通し安値を更新した。 

 

豪ドル/NZドルは昨年12月2日以来となる1.0468NZドルまで下落し、年初来安値を更新した。NZ準備銀行(RBNZ)によるローン資産価値比率(LVR)の一段の厳格化や日本時間早朝に発表された4-6月期NZ雇用統計が良好な結果になったことが材料視されて豪ドル売り・NZドル買いが進んだ。

 

NY原油先物市場は3日続落:原油需要の減速予測の高まりから売り優勢

NY原油先物市場は67.85ドル-70.81ドルのレンジ相場となった。新型コロナウイルス・デルタ株の感染拡大で、経済の停滞による原油需要の減速予測が高まったことで原油先物価格は大幅に続落して引けた。本日発表されたEIA原油在庫が、予想を上回る積み増しとなったことも原油価格の重石になった。ロンドン市場の序盤に70.81ドルまで買われたが、新型コロナウイルス変異株の感染流行を警戒して反落し、67.85ドルまで売られた。原油在庫の増加も嫌気された。通常取引終了後の時間外取引では68ドル近辺で推移している。

 

NY金先物市場はほぼ横ばい:米経済指標の動きに振り回される

NY金先物市場は1808.30-1835.30ドルのレンジ相場となった。米経済指標の動きに振り回される動きとなった。7月ADP全米雇用報告が市場予想を大幅に下回ると、米金利低下とドル安で金先物価格は1835ドル台まで上昇した。しかしながら、米ISM非製造業指数が好結果となり、クラリダFRB副議長からタカ派発言が出たことで、米金利が急上昇し、ドルも反発し、金先物価格も上げ幅を吐き出し前日比ではほぼ横ばいで引けた。ニューヨーク市場の序盤にかけて1835.30ドルまで買われたが、その後1808.30ドルまで反落。通常取引終了後の時間外取引では1815ドル近辺で推移した。

 

米国債券市場は下落:米FRB副議長のタカ派発言が重石

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.01%上昇(価格は下落)0.18%で終了した。米10年物国債利回りは前営業日0.01%上昇の1.18%で終了した。予想を下回る7月ADP全米雇用報告を受けて債券買いが先行した。利回りは一時1.1258%前後と2月11日以来の低水準を付けた。ただ、7月米ISM非製造業指数が予想を上回ったことが分かると一転債券売りが優勢になった。クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長が『米経済が予想通りに推移した場合、量的緩和の縮小(テーパリング)について年内に発表し、23年には利上げを開始する』との見通しを示したことも相場の重石となり下げに転じた。 

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