FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:好材料・好決算発表銘柄が指数を押し上げた

NYダウは53.79ドル高の34987.02ドル、ナスダックは101.82ポイント安の14543.13ポイントで取引は終了した。強弱まちまちの経済指標を受けて、寄り付き後はいったん下落した。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が上院銀行委員会の証言で、緩和縮小の条件達成は程遠いとの見解を繰り返すと上昇に転じ、好材料が出た銘柄や好決算を発表した銘柄が買われ、指数を押し上げた。一方で、足もとで上昇が目立っていた主要ハイテク株が売られ、相場の重石となった。NYダウは序盤マイナス圏で推移し、一時170ドル超下げる場面があった。ハイテク株は利益確定売りが継続し、ナスダック総合指数は下落した。VIX指数は16.33から17.01へ上昇した。

 

外国為替市場:ドル/円では米長期金利低下で上値の重い展開

ユーロ/ドルは、日本時間夕刻に一時1.1851ドルと日通し高値を付けたものの、その後失速した。欧米株価が軟調に推移する中、リスク回避のドル買いが優勢となった。原油先物価格の下落を受けて、対資源国通貨中心にドル高が進んだ影響も受け、一時1.1796ドルと日通し安値を付けた。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は米上院銀行委員会で開かれた公聴会で『金融政策はかなりの期間、緩和的であり続ける』『高インフレが予想以上に長引けば、FRBは適切に対応する』『量的緩和の縮小(テーパリング)の道筋や構成巡り次回会合で議論する』などと証言したが、新味の乏しい内容で市場の反応は限られた。 

 

ドル/円は、日本時間夕刻に一時109.68円と日通し安値を付けたものの、9日の安値109.70円や一目均衡表雲の上限109.55円がサポートとして働くと買い戻しが優勢になり、一時110.09円と日通し高値を付けた。原油安でドル高・資源国通貨安が進んだ影響も受けた。ただ、米長期金利の指標である米10年債利回りが一時1.2906%前後まで低下したこともあって、上値は重かった。クロス円の下落も相場の重しとなり、引けにかけて109.78円付近まで押し戻されている。

 

南アランド/円は、ズマ前大統領の収監をきっかけに暴動が全土に拡大する中、一時7.52円まで下落した。当初はズマ氏の支持者による収監への抗議デモが中心だったが、次第に無関係の貧困層の人々も加わり暴徒化した。略奪なども横行し、地元メディアによると『無政府状態』になっている。 

 

NY原油先物市場は続落:需給ひっ迫の思惑が後退で売り優勢

NY原油先物市場は71.40ドル-72.96ドルのレンジ相場となった。アラブ首長国連邦(UAE)が増産を決定と伝わり、石油輸出国機構(OPEC)加盟と非加盟の主要産油国で構成する枠組み『OPECプラス』による生産調整の協調体制が崩れるとの見方が売りを誘った。UAEの生産に関する姿勢はまだ決定していないとの報道もあるが、市場は不透明感を嫌気した。アジア市場の終盤にかけて72.96ドルから71ドル台後半まで下げた。ニューヨーク市場で一時72.93ドルまで戻したが、主要産油国は減産規模を縮小するとの見方が広がったことから、需給ひっ迫の思惑はさらに後退した。ポジション調整的な売りが再び活発となり、時間外取引で71.40ドルまで下げている。

 

NY金先物市場は小幅に3日続伸:米長期金利の低下を好感

NY金先物市場は1820.60-1835.00ドルのレンジ相場となった。欧米株が重く推移、原油価格が下落と、リスク回避が意識されやすい状態で、逃避先資産とされる金を買う動きにつながった。米金利が低下するなかでもドル相場がリスク回避の買いで底堅かったことは、ドル建て金価格の重しとなった。しかし、金利低下は、金利を生まない資産である金の相対的な優位性にもつながり下値を支えた。アジア市場で1835.00ドルまで買われた後、ニューヨーク市場の序盤にかけて1820.60ドルまで反落した。しかしながら、米長期金利の低下を受けて金先物は反転し、通常取引終了後の時間外取引では1831.30ドルまで戻している。

 

米国債券市場:金融緩和の早期縮小観測の後退を好感

米国債券市場で中期ゾーンは横ばいで長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年国債利回りは前日と変わらず0.22%、米10年物国債利回りは前営業日比0.04%低い(価格は上昇)1.30%で終了した。金融緩和の早期縮小観測が後退する中、債券を買う動きが続いた。 

 

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