FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:仮想通貨の急落で投資家心理悪化

NYダウは164.62ドル安の33896.04ドル、ナスダックは3.9ポイント安の13299.74ポイントで取引を終了した。代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインが一時30%超急落したことで、投資家心理が悪化した。しかし、アトランタ連銀のボスティック総裁が「暗号通貨にシステミックリスクはない」とするなど、金融市場における暗号資産の割合が限られているとの見方が広がり、下げ幅を縮小した。景気敏感株中心に幅広い銘柄に売りが広がり、NYダウは一時580ドル超下げる場面があった。なお、市場では『一部の機関投資家がビットコインから安全資産の金に資金を移している』との声も聞かれた。連邦準備制度理事会(FRB)が公表した4月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、もし、経済の速やかな成長が継続した場合、大規模緩和を見直す可能性も示唆したため緩和縮小の可能性を警戒した売りに戻りも限定的となった。VIX指数は21.34から22.18へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米FOMC議事要旨公表後ドル買い戻し強まる

ドル/円は、一時109.33円と日通し高値を付けたものの、17日の高値109.50円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。NYダウが一時580ドル超下落したほか、日経平均先物が大証終値比370円安の2万7600円まで下げると、リスク回避の円買いが優勢となり、108.54円と日通し安値を付けた。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢になった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27日-28日分)で『一部の参加者は経済の急速な進展が継続すれば、今後ある時点の会合でテーパリング(量的緩和の縮小)を巡る討議を開始することが適切になるとの考えを示した』と伝わると、米長期金利の上昇とともにドル買い戻しが活発化し一時109.30円付近まで持ち直した。 

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の指標である米10年債利回りが低下に転じた場面ではユーロ買い・ドル売りが入り一時1.2239ドル付近まで上げたものの、日本時間夕刻に付けた日通し高値1.2245ドル手前で失速した。FOMC議事要旨でテーパリングの議論開始が示唆されると全般ドル買いが優勢となり、一時1.2160ドルと日通し安値を付けた。 

 

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは行って来いの動きになった。ビットコイン・ドルは一時30016ドル前後まで下落し、下げ幅は前日比で30%を超えたものの、売り一巡後は急速に買い戻しが進み4万ドル台を回復した。ビットコイン・円も一時351万円前後まで売り込まれたものの、そのあとは442万円付近まで急速に持ち直した。電気自動車テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が12日に『ビットコイン決済停止』を発表して以降、投資家心理は悪化。また、中国人民銀行によると、中国銀行業協会などは19日までに金融機関に対してビットコインなど仮想通貨の関連業務を禁じる通知を出したと伝わった。市場関係者からは『急ピッチな市場拡大で高値を更新してきた仮想通貨市場から急速に資金を引き揚げる動きが広がっている』との声が聞かれた。

 

NY原油先物市場は大幅続落:供給増加を警戒した売り優勢

NY原油先物市場は61.95ドル-65.35ドルのレンジ相場となった。イラン核合意の再建を模索しウィーンで行われている当事国交渉で、イランと米国が妥結に近づいているとの報道や、インドや日本、台湾などを中心にアジア地域でコロナ感染拡大が深刻化していることを背景に売りが先行した。米株が大幅安になるなど、投資家のリスク回避ムードも売りを後押しした。原油在庫統計を受けて買いが入る場面もあったが、反応は一時的で売りが継続した。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計では、原油在庫が132.0万バレルの積み増しと市場予想ほど増加せず、ガソリン在庫は196.3万バレルの取り崩しと、予想以上に減少した。アジア市場の序盤で65.35ドルまで買われたが、まもなく反落し、ニューヨーク市場で61.95ドルまで下落した。 

 

NY金先物市場は5日続伸:米FOMC議事要旨公表後は弱含み

NY金先物市場は1852.20-1891.30ドルのレンジ相場となった。暗号資産ビットコインが急落し、米国株が大幅安になるなど、投資家のリスク回避姿勢が強まり、逃避資産の金に買いが入り、6月限は一時1891.3ドルまで上昇した。ただ、時間外では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でテーパリングが言及されたことを背景にドル高が進み、ドル建ての金は売り戻しが優勢となり、上げ幅をほぼ吐き出した。ロンドン市場で1852.20ドルまで下げたが、ニューヨーク市場の序盤にかけて1891.30ドルまで買われた。ただ、利益確定を狙った売りが増えたことによって金先物は伸び悩んでおり、通常取引終了後の時間外取引で一時1862.00ドルまで下げている。 

 

米国債券市場は反落:米金融緩和縮小の思惑から売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%高い(価格は下落)1.67%で終了した。米国株相場の下落を受けて買いが先行したものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27日-28日分)でテーパリングの議論開始が示唆されると一転売りが優勢となった。 

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