FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:インフレ懸念と地政学リスクから売り優勢

NYダウは473.66ドル安の34269.16ドル、ナスダックは12.43ポイント安の13389.43歩イントで取引を終了した。高値警戒感からハイテク株を中心に利益確定の売りが広がり、大幅に下落した。消費関連株や景気敏感株にも売りが波及し、下げ幅は一時660ドルを超えた。サイバー攻撃により主要パイブラインの操業が停止されたことが響き、給油所ではガソリン不足が報告されており、価格の先高感がさらなるインフレ懸念につながった。そのため、12日の4月米消費者物価指数(CPI)の発表を前に、市場では『投資家のインフレ懸念が再燃した』との声も聞かれた。 さらに、中東の混乱が激化したため、売りが加速。しかし、引けにかけ、押し目からの買いにハイテク株が回復すると、NYダウも下げ幅を縮小した。VIX指数は19.66から21.84へ上昇した。

 

NY外国為替市場:欧米株安でリスク回避の円買い優勢

ドル/円は、欧州株相場やNYダウ先物の下落を背景にリスク回避の円買い・ドル売りが先行した。前日の安値108.47円を下抜けて一時108.31円まで値を下げた。ただ、前週末の安値108.34円が目先サポートとして意識されると下げ渋る展開になった。米長期金利の上昇も相場を下支えし、108.69円付近まで値を戻す場面があった。米長期金利の指標である米10年債利回りは一時1.6289%前後まで上昇した。明日発表の4月米消費者物価指数(CPI)を前に、市場では『金融市場ではインフレ懸念から金融緩和の縮小が早まるとの観測が広がっている』との声が聞かれた。米国株市場でNYダウは一時660ドル超下落し、日経平均先物は大証終値比430円安の2万8260円まで売られた。
 なお、ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事はこの日の講演で、米物価上昇率が4-5月に前年の低迷の反動などで高まるとしたうえで、インフレ加速は『一時的』との認識を改めて強調した。また、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁は『経済情勢は改善しているものの、回復はまだ途上にあり、景気支援策を引き揚げる理由はまだ見当たらない』との見解を示した。

 

 ユーロ/ドルは、欧州時間発表の5月独ZEW景況感指数が予想を大幅に上回ったことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.2182ドルと日通し高値を付けた。ただ、米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いやユーロポンドの下落につれた売りが出たため、NY午後に入るとやや上値の重さが目立った。 

 

NY原油先物市場は3日続伸:サイバーテロによる供給不足から買い優勢

NY原油先物市場は63.68ドル-65.48ドルのレンジ相場となった。石油輸出国機構(OPEC)の月次レポートで、21年第2四半期の世界石油需要予測を下方修正したこともあり、一時63ドル台まで原油先物価格は弱含んだ。しかしながら、サイバーテロを受けた『コロニアル・パイプライン』の稼働停止により、一部地域で深刻な供給不足が報告されていることで、引けにかけては買い戻しが優勢となった。なお米国の17の州とワシントンDCでパイプライン停止による緊急宣言を発令している。株安を警戒してニューヨーク市場の序盤にかけて63.68ドルまで下落した。ただ、原油在庫の減少予想を意識して65.48ドルまで戻しており、時間外取引では65ドル台前半でもみ合う状態が続いた。

 

NY金先物市場は5日ぶりに反落:換金目的売りが優勢

NY金先物市場は1817.80-1842.50ドルのレンジ相場となった。米長期金利が上昇したこともあり、金先物価格は5日ぶりに反落した。もっとも、ポンドを中心にドル安が進んでいることもあり、引けにかけては下げ幅を大幅に削った。ロンドン市場で1842.50ドルまで買われたが、ニューヨーク市場の序盤にかけて1817.80ドルまで反落。欧米株安を警戒して安全逃避的な取引が増えており、換金目的の売りが優勢となった。 

 

米国債券市場は3日続落:インフレを懸念した売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは3日続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)1.62%で終了した。明日発表の4月米消費者物価指数(CPI)を前に、インフレを懸念した売りが優勢となった。ただ、米国株相場の下落に伴う買いも入ったため、下値は限られた。 

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