FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:世界経済の正常化が遅れるとの懸念強まる

NYダウは308.05ドル安の32423.15ドル、ナスダックは149.84ポイント安の13227.70ポイントで取引を終了した。欧州で新型コロナウイルスが収束せずドイツがロックダウンを延長するなど、欧州では新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、世界経済の正常化が遅れるとの懸念が強まった。上昇基調にあった金融や資本財など景気敏感株に利益確定の売りが出た。長期金利の低下にもかかわらず四半期末にかけたリバランスなども影響しハイテク株も下落した。また、 北朝鮮が短距離ミサイルを先週末に発射したとの報道を受けた地政学的リスク上昇への警戒感も強まり、下げ幅を拡大した。指数は一時370ドル超下げる場面があった。VIX指数は18.88から20.30へ上昇した。

 

NY外国為替市場:リスク回避のドル買いがやや優勢

ユーロ/ドルは、欧州では新型コロナウイルスの感染が再拡大しておりユーロ売りが出やすい地合いだった。NYダウが一時370ドル超下落したこともリスク回避のドル買いを促し、前日の安値1.1872ドルを下抜けて1.1842ドルまで下げ幅を広げた。なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は米下院金融サービス委員会で『我々は物価安定の責務に強くコミット』『インフレは今年、経済の回復とともに上昇すると予想』『行き過ぎた高インフレに対処する手段ある』『テーパリング(量的緩和の縮小)については開始のかなり前に知らせる』などと述べた。また、パウエル氏とともに議会証言に臨んだイエレン米財務長官は『税制の変更を検討する予定』『企業に打撃を与えるような政策は提案しない』などと語った。

 

 ドル/円は、欧州市場では一時108.37円まで売られる場面もあったが、NY市場では米国株安に伴うリスク回避のドル買いが優勢となり108.76円付近まで下げ渋った。もっとも、クロス円が下落した影響も受けたため、引けにかけては再び上値が重くなった。米10年債利回りが一時1.6136%前後まで低下したことも相場の重石となった。

 

カナダドルは一時買いが強まる場面があった。対米ドルでは一時1.2521カナダドル付近、対ユーロでは1.4857カナダドルの本日高値まで値を上げたほか、対円では86.83円付近まで買い戻された。カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)が市場機能改善を理由に、1年前に導入した危機流動性プログラムを縮小すると表明したことを受けた。なお、国債購入プログラムの縮小開始時期については言及しなかった。もっとも、米国株安や原油先物価格の大幅下落を背景に、カナダドル買いの勢いは長続きしなかった。

 

NY原油先物市場は大幅下落:エネルギー需要減への懸念高まる

NY原油先物市場は57.25ドル-61.35ドルのレンジ相場となった。新型コロナウイルス感染の拡大抑制のため、ドイツではロックダウン(都市封鎖)が延長された。欧州でワクチン接種が遅れていることも経済正常化への期待感を後退させ、エネルギー需要減への懸念が高まるなかで原油売りが進んだ。また、欧米諸国と中国の対立を警戒してポジション調整的な売りが広がった。時間外から軟調だった原油先物は、為替のドル高も重しとなり一時57ドル前半まで大きく値を下げた。

 

NY金先物市場は続落:ドル高・ユーロ安を嫌気した売り

NY金先物市場は1722.70-1742.70ドルのレンジ相場となった。米長期金利の低下を眺めながら時間外では底堅く推移する場面もあった。ただ、為替相場でドル高が進むとドル建ての金に割高感がでて売り優勢となり、そのまま上値重く引けた。また、欧米諸国と中国の対立は長期化するとの見方が出ており、ポジション調整的な売りが再び広がった。

 

米国債券市場は続伸:世界経済の正常化が遅れる懸念から買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.07%低い(価格は上昇)1.62%で終了した。欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界経済の正常化が遅れると懸念されたため、相対的に安全資産とされる米国債に買いが集まった。この日行われた2年債入札が堅調な需要を集めたことも相場の支援材料になった。 

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